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2010.04.07 *Wed*

The Gift of the Magi ~She is always walking ahead. ~(下)1/3

ぴくもんさんとの合同企画ものです♪
リレー方式で、私が追っていっています。
ちょっと日にちがたってしまいましたが、今回は直樹が謝恩会から帰るところからの話になっています(^_^;)
そして、ぴくもんさんの書かれた琴子視点の「The Gift of the Magi ~ I send you the bouquet with love.~【下】 1/3」(←ぴくもんさんの作品にリンクしています)の直樹視点になります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


家に帰りたくて仕方なかった。
昼間会ったばかりの琴子に会いたくて仕方なかった。


タクシーの中で、少し降り出した雨を目に映しながら、変に急く気持ちがおれらしくないなと思う。
雨・・・・・昔、琴子が金之助にプロポーズされてどうなったかと、いてもたってもいられなくなったことを思い出す。
今思えば、気持ちよりも身体が先走り、雨の中、琴子を迎えに行ったことが、すべては始まりだったのかもしれない。

あの日の急く気持ちとはまた違うが、とにかく身体が気持ちよりも早く琴子に向かってしまって制御できないという感覚は、今日も同じかもしれない。
今でないといけない。
今を逃せない。
昼間キスをしながら感じた気持ち。
この雨の音がおれを余計にそんな急いた気持ちにさせるのかもしれない。



 
「おかえりなさい」

家に戻ると、琴子だけがおれを迎えてくれた。

「皆は?」

「うん、少し前に自分の部屋に戻ったよ。なんだか気を遣ってくれたみたい・・・」

どんな気を遣ったのやら・・・。
ま、いろいろ詰問、詮索されることを考えると、もってこいといってはもってこいだな。
今日はいろんなことがありすぎて・・・、ちょっと落ち着きたいという気持ちが強かったから。

琴子に一服するためにコーヒーを頼み、リビングに向かおうとすると、なぜかリビングに入ることをしばらく止められた。


「ったく、帰って来て早々なんだよ」

「へへ、ごめんねっ。疲れたでしょ?すぐできるから待っててね」

ちょっと舌を出して焦ったような琴子の顔は、今までの生活でよく見たものだった。
また何かろくでもないことを考えてるのか、計画してるのか・・・。
でも、こんな光景にもしばらく会えないとなると、過去の琴子の行動を思い出し、どこか懐かしいような温かい気分にもなる。




リビングのソファーに座って、琴子の淹れてくれたコーヒーを飲む。

いつもの琴子だけが出せる、いや出せているように感じてるのかもしれないが、とにかく落ち着くコーヒー。
まだ春とはいえ、少し冷えた夜に、身体がじんわり温まって、コーヒーを持つ指先にまでその温かさが伝わっていくのがわかる。



「卒業、したね・・・」

おれの隣りに座り、琴子も一口コーヒーを飲みながら静かに呟く。

おれはゆっくり、その声を発した琴子の顔を見る。
少し笑ったような、そしてちょっと泣きそうな、不安があるような、それでいて凜として真っ直ぐに前を見つめている表情。
今日の琴子の決心を聞いた今なら、その顔の意味がわかるような気がする。

家にはおれたち以外誰もいないような静けさ。
外からは、かすかに雨の滴る音が聞こえてくる。
その雨の音が、サイレント映画のザーザーという音のようで、おれと琴子の時間も今は何も言葉がなく、ただ外の雨音だけが静かに流れている。

「卒業」という言葉が、重いなと思った。
何からの「卒業」・・・大学を「卒業」しただけとは言えない、不思議な気持ちの解放感がある。
それは、多分、離れて生活してもおれと琴子はやっていけるという、安心感を得たからかもしれない。
琴子が、それをしっかりわかって、この言葉を呟いたのかはわからない。
でも、琴子の呟きは、この静寂の中、いつもとは違う重みと色を感じさせてくれた。


「おまえさ・・・昼に言った事、いつ決めたの?」

そうなんだ、いったい琴子はいつから、こんなに先を見据えたことを考えていたんだ。

「ん・・・、少し前」

「きっかけは?あんなにぐずっていたのに」


琴子はまた、ちょっと笑って、そして少し泣き出しそうな顔をしておれを見つめた。

コーヒーを飲みながら、ぽつりぽつりといろんなことを思い出すように話し出す。
自分の将来を考えたこと。
そして、看護師を目指したこと。
それらは全て、おれを追いかけて、おれと一緒に歩くことを目的としたことだったこと。

琴子の話を聞きながら、看護師を目指している過程で、琴子はただおれを追いかけるだけでなく、おれと共に歩いて行くことを選んでいったのだと・・・そう、わかってきた・・・。
どこかでおれは、琴子は自分のもので、おれの掌中に必ずあるものだと思い込んでいたのかもしれない。
そして琴子との生活に満足して浸っていたかったのは、実はおれの方だったかもしれない。
だからどこかで手放さないと、琴子にとって、いやおれにとって、お互いに発展ができないと本当はもっと前からわかっていたのに・・・おれは何もできていなかった・・・。

琴子はもっと前からおれの伴走者であったのを、しっかり見ようと、認めようとしなかったのは、間違いなくおれの方だったんだな・・・。


でも、その呪縛から今、「卒業」できた―――。
もっと先を、二人の未来を。
その思いが一つになった今、まさにおれたちは「卒業」を迎えた気がする・・・。


「神戸で待っていて―――」

「ああ、わかった」

少し琴子を引き寄せ、琴子の頭をポンポンと撫でる。

「―――先に行くから・・・。ちゃんと追いついて来い」


本当はどっちが先を歩いているかなんてわからない。
ただ、離れて暮らす神戸に、ずっと1人で生活するなんてことはやはりおれの頭の中にはなかったから・・・。
琴子が道をしっかり歩いた上で、神戸で同じ道を歩いていきたいという気持ちを込めて、おれは言葉を発した。


「うん―――!」

琴子の顔がじんわりと和らいで、花が咲くように笑う。

「あっ!!」

そう言うやいなや、琴子は急に立ち上がった。

「入江くん、目、瞑って」

またかよ・・・。
何があるのか知らないが、こんなサプライズ的なことをしでかすのはやはり今に始まったことじゃない。
でもまあとりあえず・・・こんな夜だし、付き合ってやるかとおれは目を瞑った。


琴子の「いいよ」と言う声が聞こえて、おれはゆっくりと目を開ける。

目の前には花。
たくさんの色とりどりの花がおれの視界全部に広がっていた。
琴子が自分で作ったという。
おれのために作ったという花束―――。


「入江くんのかどむけのために」

これまたとびっきりの笑顔で琴子が言ってくれるが、おれの頭は一瞬硬直する。


・・・・・「はなむけ」だろ・・・・。


そういう琴子の言葉の間違いも今となっては定番すぎて・・・、むしろこんな日常がどんなに心地よいものかと、今夜はそれさえもおれを熱くさせる。


「ぶっ・・・はははははは!!!」

腹の底から笑えてくる。
おかしな言葉を遣う琴子も。
それを琴子らしく愛しく思うおれも。
ここ数日、お互いの心が見えなくて近くにいても離れたような気分になっていたばかばかしさも。
心が通じ合った昼間に、講義室で人目もはばからずキスしたことも。
謝恩会で学友たちにやたらとムキになって、対抗したことも。

何もかもが今はおかしくて、心の底から笑いが溢れてくる。



「――――ありがとう」

琴子をゆっくりとおれの胸に引き寄せる。
花束の匂いか琴子の髪の匂いかわからない、甘く温かい、春のような匂いがおれの身体の中に染みこんでくる。

抱き寄せた琴子がまだ握っている花束に目をやる。
本当にたくさんの色が集まった花束。
いろんな色が集まっているにもかかわらず、なぜかそれが不思議と調和していて、バランスを保ち、そしてなによりもホッとさせてくれる――――。


「この花束、お前みたいだ―――――」

そして匂いに誘われるように、琴子の唇に自分の唇を落とす。
周りには花の匂いが漂いながらも、琴子の口内は少し苦みを帯びたコーヒーの味がする。
甘いのか苦いのか・・・、それを確認するかのように深く深く琴子の唇を割って、隙間を残すことなく堪能する。
自然に絡み合う舌が化学反応を起こしたように、コーヒーの苦みを消し、甘く柔らかい感触だけを残してくれる。


―息を何分も止めて、唇だけをただ重ねるだけ―

そんなものは、キスじゃねーぞ、船津。


さっきの船津とのキスの話を思い出すと、思わず口元が緩んで、口角があがってしまう。
おれのその様子に琴子は反応したのか、少し唇を離し一瞬動作を止める。
しかし目も開けることなく、琴子はおれの襟足に手を回して少し撫でると、今度は琴子からおれの唇を割って、小さな温かいものを差し入れてきた。
もちろんそれは、おれにとっては大歓迎の小さな生き物。
すぐに絡みとって、いろんな角度から甘いそれを味わう。


知り尽くした、相手のちょっとした反応も逃さない・・・、それが通じ合ったもののキスの醍醐味――。


ザーザーザーと、外から少し雨足が強まっているらしい音がしてくる。
その音を聞きながらキスを重ねると、今夜は長く深い夜になるなとおれは確信した。




**********


とりあえず・・・ぴくもんさんの琴子視点を追わせていただいただけの短めの1/3で、すみません・・・(^_^;)
ちょっとずつ違う場面も出てきますので(ぴくもんさんが配慮してくださってますので♪)、この先、よろしくお願いします。

次2/3は、パスワード記事にさせていただきます。
決してものすごい描写があるわけではないのですが(むしろ、かなり抑えました)、私がお借りしているテンプレート配布元様の規約により、大人表現にあたると思われるため、そのような処置をさせていただきます。

COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>りきまるさま

こんにちは。入江くんの気持ちがよくわかったとの感想に、ものすごくうれしかったです(^^)本当に、この素敵なストーリーは全部ぴくもんさんが考えてくださったので・・・私もいろいろ感化されながら、直樹の心情を探っていきました。本当に寂しいのは直樹の方だったと私も思います。ありがとうございました。

>ぴくもんさま

こんにちは。ぴくもんさんと同じく、三部作にさせてもらいました(←この意味、わかりますよね?笑)初めは、ぴくもんさんの話をとにかく追って書いてたのですが、それだとただ単にコピーにしかならず、勝手に省略したり、勝手に直樹が解釈したり・・・、でもまあそれでも、ぴくもんさんの話にちょっと脚色したに過ぎなかったのですが(^^;)それでも、気持ちに添っていただき、私も感激です。ありがとうございます。そして、私のためにお話もふっていただき、そのお心遣いにも感謝です☆

>藤夏さま

こんにちは。「雨」に反応していただき、ありがとうございます。さすがに原作を網羅されている藤夏さんですから、いろんな気持ちを察していただき、感無量です。そうですね、コーヒーってイリコトの必須アイテムですよね?琴子=コーヒーみたいな?そして直樹はそのコーヒー(=琴子)が大好きみたいな?(^m^ )「伴走者」にも反応していただき、うれしいです♪このお話のテーマに通じるのではないかな~と思いつつ、それを表す中の一つの言葉として使ってみました。多分、最終回にも通じる言葉だと思います。

>繭さま

こんにちは。ぴくもんさんの琴子は本当にいじらしくて、健気でしたよね。そのお話を軸にしながら、いろいろ直樹の心情を考えて、そしてうまくまとまらず(笑)、でもできるかぎりなんとか表現したくて・・・の繰り返しで、なんとかここまできました(^^;)一人だけが考えて、一人だけが行動しても、何も先はなかったでしょうね。二人が同じ気持ちで未来を考えたからこそ、「卒業」になったんでしょうね。(ってまた、繭さんからいろいろ教わったような・・・)そして、また出てきた船津くん(笑)。私も変に気になります(^m^ )
by chan-BB
2010/04/09(金) 13:39 [Edit

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千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆

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