05
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
<< >>


--.--.-- *--*

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010.04.14 *Wed*

HOLIDAY in Kobe 「動物園」編  ③


「な、なんなんだ、ここは・・・」

「わーーー、楽しそうよ~~。入江くん、早く、早く~~」

確か初めはコアラ館を見てたはずだと直樹は思わず、今まで来た道を振り返った。
コアラ館からそのまま順路に沿って歩いていたら、どうも勝手が違うようなところに入ってしまった気がする。
小さなゲートを自分たちで開けて入ったそこは、「ふれあい広場」。

小動物や草食動物がその辺をを歩き回っている。
ここはまさに、その名のとおり動物たちと直にふれあいができる場所。

直樹は嫌な予感がした。
入口からここまで琴子の行動を見ても、相当なハイテンションであることはわかっていたが、ここに入った時の琴子の目はもっとそれ以上に輝いていた。
琴子のそんな顔を見るのは、直樹にとって、とても微笑ましくうれしい。
しかし反面、どうもここは自分には似つかわしくない場所であることを、ぴりぴりと肌で感じていた。


「入江くん!入江くん!!来て来て!ほら、何かみんな集まってる!今から何かあるみたいよ!」

案の定、あっという間に琴子に腕をひっぱられ、少し人が集まる場所へと連れて行かれる。
琴子が飼育員に何か聞きに行ってる間に、周りの人間を思わずウォッチする直樹。

(平日なのに、親子連れが多いな)

多くがまだ小さい我が子と小動物とのふれあいを楽しみ、親が必死でそれをビデオやカメラに収めている光景。
子供の成長が楽しみな幸せそうな家族連れを見ていると、いつも病院で病気と闘ってる子供とその家族を思い出し、複雑な、それでいて、いつかはみんなこんな風に元気になってこんな笑顔を見せてくれたらと、いつになく神妙な様子で家族連れを見つめる直樹。


「入江くん、こっちよ、こっち!」

物思いにふけっていると、ふと琴子によって現実に戻される。
そしてよくわからないまま琴子にひっぱられて、ある場所に連れて行かれる直樹。
円形のスペースに入れられ、直樹は無理矢理琴子に、その中のイスに座らされた。。


「なんだ?何するんだ?」

「抱っこするのよ~~。抱っこさせてくれるんだって~~」

「はあ?」

そういうやいなや、座った直樹の膝に飼育員によって、いきなり小さな動物が乗せられた。

「な、な、なんだ、これは!?」

「モルモットだって!ほら入江くん、いつも実験に使ってるんじゃないの?」

「なっ!!お、おまえ!!いつの時代の話・・・」

そう言って弁解をしようとして、ここに子供を連れた家族連れがたくさんいることに気づき、慌てて周りを見回し言葉を噤む直樹。


―じ、実験?
―今、実験って言った?
―なに?どういうこと?


思わずざわざわとしだす周りの大人たち。

(琴子・・・やめてくれ・・・モルモットで実験なんて今はない・・・でも、そんなリアルな説明、ここで言えるわけもなし・・・)

琴子は時々、こうやって本人には悪意がないが、びっくりするような発言をして直樹を困惑させる。
慣れているとはいえ・・・こんな子どものいっぱいいるところで、さすがに天才の直樹も、これをどう対処していいか瞬時にわからなかった。
直樹は、ただただ唇を噛みしめ、今日何回目かの逃げ出したくなる衝動をぐっと堪えていた。




「わ~~~、うさぎさんいっぱい~~」

「ねずみさんみたいなんもいっぱいおるーーー」

急に賑やかな声が背後から聞こえだし、たくさんの子供たちが直樹と琴子のいる円形のスペースの近くに集まって来た。
それは、先ほど少しかかわった幼稚園児達だった。


「わー、みんなも来たの~?」

琴子は、うれしそうに園児たちに微笑みかける。

「あ、フラメンコのお姉ちゃんや!先生!フラメンコのお姉ちゃんがおるで!」

「え、ああ・・・(またかい・・・)」

保育士も思わず琴子に少し会釈してしまう。


(またかよ・・・)

直樹も少し視線を外して、勘弁してくれよって顔で小さく呟く。


「さあ、順番にみんなも動物を抱っこさせてもらいましょう。はい、まずはここから10人だけ、この中に入って下さい~」

保育士に誘導されて、直樹と琴子がいる円形のスペースに子供たちが急になだれ込んできた。
そして、みんなそれぞれイスに座り、膝の上にうさぎやモルモットという小動物を飼育員に乗せてもらう。

「わ~~~かわいい~~~」

「やわらかい~~~」

園児たちのうれしそうな声が、響き渡る。
その場はとても和やかだ。
その光景に思わず頬を緩める直樹。
そして、ふと我に返って気づく。

(お、おれだけじゃないか!?この中で動物抱っこしてる大人って、おれだけか!?)

周りをきょろきょろ見回して焦る直樹。
そして気がつくと、さっきまで直樹の傍で立っていた琴子の姿もいつの間にかなくなっている。


「入江く~~~ん!こっち向いて~~、ほら、こっちよ~~」


琴子はいつの間にか、この円形のスペースから外に出ていた。
そしてこのスペースの外壁の向こうから、デジカメを手に直樹に手を振る。
カシャカシャと音が聞こえるかのように、何度もカメラを直樹に向けて撮る琴子。

「なっ!こ、琴子!や、やめろ!」

(い、いつの間に!)

直樹は思わず立ち上がって、琴子に大きく手で空を切り、拒否の姿勢を表す。

「あ!お、お兄さん!急に立ち上がらないで下さい!動物が落ちてしまいます!!」

「え、ああ・・・・」

「みんなさんも注意して下さい。小さい動物は赤ちゃんと同じです。落としてしまったら、骨を折ったり、大変なことになります。絶対に急に立ち上がったり、動物を落としたり、また驚かしたりしないで下さいね」

「は~~~い」

元気のいい園児の返事が響き渡る。

「・・・・・」

直樹はしかたなく、またモルモットを膝に置いて座るしかなかった・・・。


「入江くーーーん!赤ちゃん抱っこしてるみたい~~。もう、たまんないよ~~。うちにはでっかいチビしかいないから~。もう、小さい動物抱っこする入江くんってたまんない!!ほら、こっち見て、笑って!笑って!」


琴子が懲りずにまた外から大きな喚声をあげて、直樹を写真に収めようとする。

「やめろっ!!撮るなっ!!」

思わず怒鳴る直樹。

「大きい声も、動物が怖がるので、出さないで下さいね」

「はーーーーい」

直樹は園児の手前にもかかわらず、再度!!飼育員に注意されてしまった・・・。


「お兄ちゃん、モルモットってやわらかいね」

隣りに座ってる女児が直樹を見上げて笑顔で話しかけてくる。
それはこの過酷な状況の中、直樹の前にふと現れた救世主のような存在。
思わず直樹もその無邪気な園児の顔に頬が緩み、自分の膝の上のモルモットに手をやり、少し撫でてみる。

「そうだな。やわらかくて温かいな」

心が和むそのひととき。


「きゃあーーーーー、入江くんがモルモット撫でてる、撫でてる~~~~!!」


カシャ カシャ カシャ
カメラを撮りまくりながら、琴子の黄色い喚声が響き渡る。

(・・・堪忍してくれ・・・ホントに・・・。おれはどうすればいいんだ?いつここから解放されるんだ・・・!?)

苦渋の表情を浮かべる直樹。

「お兄ちゃん」

「ん?」

また救世主の女児に話しかけられて、顔の表情を緩め、少し頭を屈めて話を聞こうとする直樹。

「お兄ちゃんの彼女テンション高いよなー。なんか、めっちゃ大変そう」

「・・・・・」

「お兄ちゃんめっちゃクールでイケメンやのに、女の子のタイプはやかましいのが好きなんやなあ。めっちゃ意外!!」

「・・・・・」

ちょっとため息まじりに、呆れた表情で女児にそんなことを言われて、直樹は言葉がすぐにでない。
でも、痛いところをつかれていると直樹は思った・・・。


カシャ カシャ カシャ

琴子は直樹が幼稚園児にそんなことを言われているとはつゆ知らず、モルモットを膝の上に置いた直樹の写真を撮りまくる。


(お義母さん、すごくよろこぶわ~~~。あと、モトちゃんたちにも入江くんの神戸での写真を撮って来てって言われてたし。ああ~~~もうすごくいい光景~~~神戸サイコー~~~動物園サイコー~~~!!)


琴子は至極幸せそうな顔をして、何度も何度も直樹を激写した。
その結果、少し顔色の悪い直樹の写真は、ここだけで108枚にもなっていた。



**********

直樹の受難はまだ続く・・・。
すみません、直樹がこんなやられっぱなしで(>_<)
しかも、琴子が完全に紀子ママ化してて(>_<)

実はこの回は、元々全く書いてなかったのですが、全部書き上がってからふと思い立ち書き足した回なんです。
その理由は・・・「番外編(そんなものまで存在!?笑)で使えるから」。

なので、この回は全て番外編のための「伏線」です。
直樹の写真108枚は、またいずれ使わせてもらいます~( ̄m ̄*)


COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>りきまるさま

こんばんは。りきまるさんのコメント読んで、「確かに!」と今頃ハッと気づきました。直樹の仕返しが恐いよ・・・(>_<)とりあえず、もう最後まで書いちゃってるので(笑)、今回は久しぶりに会った二人なんで直樹もちょっと大目にみてくれたという、勝手な解釈をしていただけたらと思います(^^)はい、つまり、今回は直樹わりと優しいんです(^^;)こんなんですが、よかったら最後までお付き合いください~♪

>ぴくもんさま

こんばんは。おかしなテンション、ハイテンション、大歓迎ですよ~♪そうです、幼稚園女児ってませた子は本当に大人顔負けのこと言いますよね( ̄m ̄*)そしてそれは必ず「女の子」なんですよね(笑)ぴくもんさんもりきまるさんと同じく、直樹の反撃を想像されている様子で!?でも、今回割と直樹おとなしめなんですよ・・・なぜか?でもでも、まあどうなんだろう?自分でもなんだかよくわからなくなってきました(>_<)とりあえず、さっさとUPしま~す♪

>繭さま

こんばんは。あの状況は・・・直樹でなくても、若い男性は特に恥ずかしいですよね、確かに(^_^;)動物セラピーってとこに、思わず笑っちゃいましたが、直樹は琴子と一緒でないとこんなところは絶対来るタイプではないな~と思いつつ・・・そういうギャップも考えて連れて来ちゃいました。そしてこんな可哀想な目に遭わせてしまったのですが・・・(-_-)とりあえず、直樹よれよれになりながらも、出口に向かって進ませます~(^^)/
by chan-BB
2010/04/15(木) 17:05 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
藤夏さま

こんにちは♪動物園シリーズ、藤夏さんのツボを刺激することができたみたいで、私、とってもうれしいです~~(^^)/そうだそうだと思い切り賛同させてもらったのが、直樹の幼少期!!きっと紀子ママによって、こんな風に動物園とかいろんなところに連れて行かれて、写真撮られたんでしょうね~(^_^;)紀子ママの歓声と子どもでありながら、どんどん冷めていく直樹がもう目に浮かび!!これ、めちゃくちゃ萌えました!!(笑)まさにここに(写真に)ルーツありですよね(*^m^*) そしてアヒルちゃん♪♪恐れ多くも、同じにおいを私も感じさせてもらいました・・・結末もちょっとパターン的には似ているような?(* ̄m ̄)失礼しました。でも萌えが同じなのかと思うと、かな~りうれしいです♪
by chan-BB
2010/04/19(月) 13:06 [Edit

Comment Form


秘密にする
 


プロフィール

千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆

カテゴリ

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

最新記事

最新コメント

リンク

●Swinging Heart(ぴくもん様) swingingheart
●のんきもののお家(わさこ様) no banner
●日々草子(水玉様) 日々草子
●kiss shower(幻想夢 影菜様) kiss-shower
●雪月野原~snowmoon~(ソウ様) snowmoon
●初恋(miyaco様) no banner
●HAPPY☆SMILE(narack様) HAPPY☆SMILE
●イタズラなkissの二次創作マナーを考えよう!(イタkiss創作マナー執筆者X様)
●みぎての法則(嘉村のと様) no banner
●Embrasse-moi(ema様) no banner
●φ~ぴろりおのブログ~(ぴろりお様)
●真の欲深は世界を救う(美和様)
●イタKiss~The resident in another world ~(九戸ヒカル様)
●むじかくのブログ(むじかく様) no banner
●つれづれ日和(あおい様) no banner
●Snow Blossom(ののの様) no banner

Copyright © こんぺい糖と医学書 All Rights Reserved.
テンプレート:サリイ( ブログ限定配布版  / 素材:hadashi )    
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。