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2010.03.22 *Mon*

The Gift of the Magi ~She is always walking ahead. ~(中)1/2


ぴくもんさんとの合同企画ものです♪
ぴくもんさんがすでに書かれている「The Gift of the Magi ~ I send you the bouquet with love.~【中】」の直樹視点です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


―答辞
―医学部 入江直樹

講堂におれの名前が響き渡り、おれは壇上へと向かう。


―斗南の学舎に
―過ごした日々を
―今思いおこせば


答辞を読みながら、会場にいる琴子とおふくろの顔をみつける。
斗南大を卒業。
それ自体、不思議な感覚だ。
もともとおれが斗南大に進むなんて、高校の時に思っていただろうか。
しかも、おれが医学部に編入し、医学の道に進むなんて。

この数年。
いや、琴子と知り合って関わった数年で、おれの人生は激しく変わった。
琴子と一緒に斗南大に通うようになった頃から、おれの歯車は琴子と一緒に回っていたのかもしれない。

そして初めは何も期待してなかったこの大学で、おれは初めて自分の進路を真剣に考えた。
そして初めて就きたいと思える職業をみつけた。

そして初めて恋をして、結婚した―。

琴子と出会っておれの人生は、果てしなく視界が広がった気がする。


―忘れがたい
―数々の思い出が
―いくつも脳裏に
―よみがえります


琴子が泣いている。
いろいろ思い出しているのか。
それとも、もうすぐ近づく別れを想像しているのか。
答辞を読みながら、涙ぐんでいる琴子をおれはずっと壇上から見続けていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


式が終わり、その後謝恩会を控えたおれは、今ここで琴子と話さなければ、二人の時間がもてなくなる。
壇上から確認していた琴子の席に、すでに琴子がいないことに気づき、おれは慌てて人混みをくぐり抜けて講堂の外へと走った。


「おふくろ!」

「あ、お兄ちゃん!さっきの答辞素敵だっ・・・」

「琴子は!?」

思わずおふくろの言葉を遮り、琴子の居場所を聞き出す。

「え、琴子ちゃんなら、なんでもお兄ちゃんとの思い出の場所を見てくるって」

「・・・・」

「え、え、お兄ちゃん~、どこ行くのーー!?」

おれは少し慌てたおふくろの声を背後で聞きながら、走り出した。

「もうっ。なんだかんだいっても妻の行き先の見当もついているのね。ほんと、大好きなくせに、いつも素直じゃないんだから・・・・ゆっくりと話してらっしゃいよ」



飛び出したものの、琴子の行き先がはっきりわかったわけではない。
ただ、あいつなら必ず、おれとの接点のあった場所に行くはず。
その勘だけを頼りに、おれはとにかく広いこの斗南の校舎の中を走り続けた。


―斗南の学舎に
―過ごした日々を
―今思いおこせば


「琴子」

ちょうど理工学部の校舎に入ったところで琴子の姿を見つける。

おれの声には気づかずに、少し笑みを浮かべて教室を覗く琴子。
思わず足を止め、呼吸を整える。
そしてこのまま黙って、しばらく琴子の様子を見ていようと、少し離れた場所で琴子の姿を追うことにした。

理工学部から、テニス部の部室、食堂へと琴子はゆっくりと歩いていっては、その場所場所で笑みを浮かべて覗き込んでいる。
少し離れた場所から見ても、その琴子の目は遠くを見ている気がする。

そして最後に、医学部のおれがいつもいた講義室へ。
琴子は片手を身体の後ろに回して、少し首を傾げながらその教室をひょこっと覗きこんだ。

よく見た光景。


―入江、また相原来てるぞ


そんな声が聞こえてきそうなその光景。


―忘れがたい
―数々の思い出が
―いくつも脳裏に
―よみがえります

答辞の言葉が、頭の中で繰り返し思い出される。



「入江くん、入江くん・・・――入江くぅん!!」


突然教室から琴子のばかでかい声が聞こえてびっくりしたおれは、小走りで教室の前に向かう。

「なんだよ、でけえ声で」

こいつだけは・・・なぜいつもこう突拍子もないことを、誰もいないところでも平気でやってくれるんだ。

「わ、わっ・・・い、入江く・・・っ!ど、どうして!?」

「多分、ここにいるだろうと思って・・・」

「・・・・・」

全くおれの存在に気づいていなかったらしい琴子は、大きな瞳をさらに目一杯広げて、真っ赤な顔をしておれを凝視する。

「・・・・おまえに、話があるんだ」


今、言おうと思った。
この教室で、きっとおれとの別れを覚悟して、思い出の場所で一人いる琴子に、また胸が締め付けられそうになっているから。
だから、今、言うしかないと思った。

「入江くん」

「家で話すより、いいと思って・・・・神戸の話・・・」

そう言っておれは、スーツの上着のポケットの中に手を入れ、中に入れているものをぎゅっと握って、それを取り出そうとする。


「あたし!絶対一年で、看護師になる!」

思わずポケットから手を出そうとして、おれはその手を止めた。

「それから神戸に行く。絶対に行く!だ、だから、ま・・・待っててね・・・、う、浮気しないでね・・・、ま・・・毎日電話しても、お、怒らないでね・・・」


琴子が涙を流しながら、どんどんと言葉をつなげていく。
それはいつもの突拍子もないセリフ。
でもいつもと違うのは、その琴子の言葉を、まるでおれが映画のワンシーンを観客になって観ているかのようで・・・。
目の前で起きている琴子の紡ぐ言葉が・・・、何を意味しているのか・・・すぐにわからなかった。

ぽろぽろと流れる琴子の涙は、しっかりとおれの目に映っている。
そしてその画像を眺めながら、次第にやっと、心の中にひとつだけ核心したものが、熱く激しく、おれを揺さぶってくるのがわかった。
それは琴子の揺らぎない決心―。


「それから、休みに・・・会いに・・・」

一言も発さないおれにたたみかけるかのように、琴子はまだ言葉をつないでいく。


少し震える琴子の身体。
ポケットから出した手で琴子の腕を掴んで、その震えを体感する。
そして、いつまで続くかわからない琴子の止めどなく流れる琴子の涙と、精一杯のおれへの気持ち。
それは琴子の確固とした返事―。

今、しっかりと目に映った琴子の涙と、心の中のおれの熱いものが、融合するように身体中に染み渡る。


もういいよ。
もうよくわかった。


琴子の甘い唇に久しぶりに、おれの唇を重ねる――。

柔らかいその感触は、初めて知った時から変わらない。
昨夜、近くにいながら触れることのできなかったその甘い唇が、今、おれの中にある。

ゆっくりと琴子の顔を見ながら、少し唇を離す。

びっくりして、さらに大きく目を見開いた顔の琴子を見て、おれは笑みがこぼれる。


よく言った―。


おれの気持ちが伝わり、琴子の気持ちが伝わった今、晴れ晴れとした気持ちで思わず呟く。

涙が止めどなくつたう琴子の頬にキスをして、その涙のしょっぱさに琴子の辛酸な決意が表れているようで、いじらしく感じる。
そして、ぎゅっと琴子を抱きしめる。
やっと全てを手に入れた。


「い、入江くん、人が来るよ」

廊下から、卒業式が終わって講義室に向かっているであろう、何人かの人の声がしている。
琴子が、おれの腕の中から逃れようとするのを、決して許さず、さらに力を入れて抱きしめる。


「いいよ。―――見られたって・・・」


そう言って、おれはさっきよりも長いキスを琴子に落とす。


見たらいいんだ。
キスにだって「旬」がある。
二人の心が通じ合った今こそ、ここでキスをしなくてどうする。

琴子も、おれとの距離がなくなったことを肌で感じているのか、腕をおれの首に絡ませてくる。
おれも琴子をさらにぎゅっと抱き寄せ、さらに深く、唇を割って、口内をおれのものとばかりに堪能する。


―入江、また相原来てるぞ


琴子はいつもおれを先回りして見ていた。


―入江くん、大好き

―入江くんなら、どうにかできるかも・・・よねっ
―たくさんの病人の人もすぐ治って
―みーんなが、入江くんに感謝するんだ


琴子はいつもおれより先を歩いて、無意識に導いてくれていた。
そして、今回も・・・。

立ち止まっていたのは、おれの方だった・・・。

昨日までの決意にずっとどこかもやを感じていたおれの心が、琴子をキスを繰り返しながら、どんどん浄化されていくのがわかる。
気持ちがひとつになった、快感。

おれを毎日、この教室で覗き込んでは待っていた琴子が、これからもおれを待っていてくれる。
変わらず追いかけてくれる。
それってすごいことだと思うだろ。

おれは外のギャラリーにそれを発信するかのように、そしてを挑発するかのように、琴子とのキスにおぼれていった――――。



**********


自分で書いていながら・・・「原作まんまやん!!」(ぴくもんさんもあとがきに書かれてましたよね。お気持ちすごくわかりました(>_<))
この場面は、あまり触れようがないというか、あまりむやみに触っちゃいけない?って感じで・・・すみません。

それでも無駄に長くなっちゃったので、二話に分けさせてもらいました。
次、「謝恩会」の様子は、ちょっと再確認してから、なるべく早めにUPするようにします~。


COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>ぴくもんさま

こんにちは。UPしてすぐにコメントいただきありがとうございました(^^)このシーンは難しかったですよね・・・というか、やはり原作が素晴らしすぎて、もうそれ以上がないって思ってしまって・・・それでもなんとか私なりの直樹の心情にできたようなまだ消化不良のような・・・(^^;)でも、その中にも、少しでもぴくもんさんの心に響いていただけた部分があって、本当にうれしかったです。またそう言っていただいて、ありがとうございました。「旬」って言葉はどうかな?もっと他に適当な言葉がありそうだと思いながらも、みつけられませんでした。もうあと少し、よろしくお願いします(^^)/

>匿名さま

こんにちは。ぴくもんさんのところから来てくださって、ありがとうございます。私の作品もたくさん読んでくださって、本当にありがとうございます。とてもうれしかったです(*^_^*)続きも読んでいただけたでしょうか?これからもどうぞよろしくお願い致します。

>繭さま

こんにちは。今回の私の直樹はちょっと解釈が強引な感じがしないでもないですよね(自分で書いていながらなんですが)・・・でも、この直樹の心情に同意していただき、本当にほっとしてうれしかったです(^^)ありがとうございます(^^)この話では直樹は琴子がいつも前を歩いていると思ってますが、本当はお互いが前に行ったり、後ろに行ったりしながら、二人で道を歩んでいるって感じですよね。私も二人は本当に年を重ねるごとにいい夫婦になってるんだな~と思っております(^^)/繭さんのイタキスの読みも本当に深くて、いつも本当に影響受けさせていただいてます。

>藤夏さま

こんにちは。ぴくもんさんの琴子視点は、本当に感動的でしたよね。それでいて、とっても幸せな感じが私も伝わってきました~♪直樹もそれになんとか応じるようにと、直樹なりの琴子への愛情を伝えたかったのですが、自分で読むと原作のまんまなんですけど(^_^;)、藤夏さんの心に伝わっていただけたみたいで、本当にうれしかったです。原作でのキスシーン、あの直樹が「いいよ。見られたって」っていうところは、本当に心を鷲掴みにされましたよね!!すごく甘かったです♪
by chan-BB
2010/03/25(木) 17:06 [Edit
拍手コメントありがとうございます

紀子ママさま

読み返ししていただきありがとうございました♪思わず私も、久しぶりに読み返しましたよ。
かなり前に書いたものでちょっとドキドキだったのですが、これがなかなか!(笑)今も、同じ思いで読むことできるな~というのが、自分への率直な感想だったりします(^^;)
そして紀子ママさんの言われるように、この時って、琴子ちゃんから入江くん離してあげないと、入江くんの方が自立できなかったと思います。
入江くんったら「琴子はおれがいないとダメだから・・・」的なことを言ったりしてましたが、いいえいいえ、「おれが琴子がいないとダメだから」が心の中に絶対あったと思います。そしてそれは読者にばれています(笑)!
原作の卒業式からお別れのシーンはすばらしかったですよね~・・・そして当時連載を読んでいた私は、離れて暮らす二人の場面がこれから始まるのかと思うと、少し寂しかったことも思い出しますね。
いや~過去作にコメントいただき、私も久々にこの時期に浸らせてもらいました。ありがとうございます。
by chan-BB
2012/01/20(金) 12:39 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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