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2010.04.18 *Sun*

HOLIDAY in Kobe 「動物園」編  ⑤(終)


「ったく」

今日こそはしっかり国家試験へ向けての勉強をと、問題集やノートを広げて、直樹が問題集にチェックをしている間に、琴子はノートに突っ伏して寝息をたてていた。

昨日もあまり寝てないし、今日も傾斜の多い動物園を子供のようにはしゃぎまくった琴子。
仕方もないかと直樹も少し首を傾げて眠る琴子を見ながらため息をつく。

何度も広げたであろう痕跡が残っている問題集。
琴子の問題集には、たくさん蛍光ペンでラインがひかれている。
要点が少しずれいてる箇所もあるが、どのページにもしっかりと書き込みがしてある。
琴子が東京で、しっかりと自分なりに勉強している様子がそれらからわかる。

〈入江くんにに会いた~い〉
〈一緒に働くまで絶対がんばる〉
〈眠たいよ~、でも入江くんの顔を思い出して、がんばるよー(^_^)v〉

書き込みの中に混ざる、琴子の呟きのような落書きが目に留まる。


「何やってんだ」

そう言いながらも、思わず綻ぶ口元を覆う直樹。


結局勉強らしい勉強もできなかったこの二日。
明日はもう、琴子は東京に帰ってしまう。
でもまあ、今日のことでまた直樹を一緒にいたい、一緒に働きたいという気持ちが高まってくれて、これまでのように、これまで以上に勉強してくれたらと、直樹は琴子の髪の毛を撫でながら思った。

今日一日、本当に疲れた。
直樹も、いつになく疲労感を感じていた。

琴子が来て何が変わるかというと、自分の感情が普段の生活では見られないくらいに高ぶることだ。
今日だけでも、どれだけ動物園でいろんな感情に惑わされたか・・・。

呆れたり、怒ったり、イライラしたり。
でも、うれしくなったり、愛しく思ったり。
相反する感情までが、短時間で自分の中で存在する、琴子との時間。
病院でのやりがいはあるが、張り詰めていた生活が、今日だけで本当に一変してしまった。


(一度知ると、病みつきになっちまうな)


その感情に惑わされながらも、それに心地よさを感じてる自分に思わず、笑みが漏れる。

「しかし、こいつ、どうするか・・・」

テーブルに突っ伏して、完全熟睡している琴子を見て、直樹はまたため息をついた。
もう、勉強する気力はないだろう。
とりあえず、琴子を抱き上げて、ベッドへと運ぼうとする。

完全に眠ってしまっている琴子の身体は、全く抵抗なく直樹の腕に抱かれる。
くたっとした柔らかい身体。
少し乱暴に持ち上げて運んでも、全くその様子は変わらない。

直樹はふと考えたように琴子を抱き上げたまま、ベッドの前で立ち尽くす。
そして、わざとドサッと少し高い位置から琴子をベッドに落とした。

「う~ん・・・」

琴子はさすがに振動を感じたのか、顔をしかめるが、そのままむにゃむにゃと丸くなってまた眠りについた。


「起きねーな、こいつ、さすが」

ベッドの上から、少し不満顔で直樹が呟く。

今度はしゃがんで膝をついて琴子の顔を見る。
そして琴子の唇に指をあてて、ぽんぽんと叩く。

「『がんばる』って言ったよな」

次にむぎゅっと琴子の鼻をつまむ。

「んん・・・」

少し苦しそうに顔を横に揺らすが、すぐに口で呼吸しだして、琴子は鼻をつままれたまま、またスウスウと寝息をたてて眠ってる。

「すげえ」

直樹はぷっと吹き出すと、手を琴子の鼻から放してやった。

「仕方ねーな」

そう言っておやすみの意を込めて、琴子の唇に自分の唇を重ねた。


パチッ。


そんな音が聞こえた気がして、直樹は琴子から少し唇を離して、無意識に目をうっすら開ける。

「な、なんだ、起きてたのか!?」

大きい瞳をしっかり開き、琴子は直樹をじっと見つめている。
思わず直樹は驚き、身体を反射的に琴子から離した。


(あんなに熟睡して、ベッドに落としても起きね―のに、なぜこんな軽いキスで目を開けるか!?)


「ねえ、あたし寝てた?」

琴子はキスのことには気づいていないのか、いたって普通にきょとんとした顔で話しかけてくる。

「熟睡してただろ」

「べ、勉強しなくちゃっ!!」

慌てて身体をガバッとベッドから起き上がらせて、勢いよくベッドから下りようとする琴子。

「いいよ」

直樹が琴子の肩を掴んで、ベッドから下りないように制する。

「だって!もう明日帰っちゃうのに、まだ全然・・・」

「今日は疲れただろ」

「でも」

「覚えるべき要点はノートに書き出しておいたし、問題集にも必要な箇所に付箋つけておいた。帰ってから、それゆっくりと覚えろよ」

「でも、でも」

「結構がんばってたな。ノートや問題集見て、おまえががんばっているのはよくわかった」

直樹は琴子の頬に手をやり、少し顔を覗き込むようにして撫でる。
そして穏やかな顔をして、琴子の目を見つめる。


「・・・ほめてくれた」

一瞬、呆然とする琴子。
しかし次には泣きそうな顔になり、自分の頬にある直樹の手に手を重ねる。

「別にほめてはねーけど。まあ、がんばってるのは、わかった。必修問題はもっと正答率あげるように、繰り返し問題集していけよ」

「うんうん」

琴子は親に思いっきりほめられた子供のように、本当にうれしそうに何度も首を縦に振って喜ぶ。
そして大きな目には涙が浮かんでいる。


(入江くんにほめてもらってうれしい。あたしの入江くんへの気持ちがわかってもらえたみたいで、すごくうれしい)


琴子は、直樹の首に腕を絡ませて、ぎゅうっと抱きついた。

柔らかい感触。
甘い匂い。

昨夜と同じ甘美な空気を直樹は思い出す。

直樹は自分の頬にあたる琴子の柔らかい頬の感触を感じながら、自分の顔を少し動かして唇をそこにゆっくりとあてて、その柔らかい頬の感触を唇で感じ取る。
そして―。


がぶっ。


「きゃああ、痛いっ!!」


思わず琴子が悲鳴をあげて、直樹の首に絡みつけていた腕を放す。

「か、か、噛んだ!入江くん、今、噛んだでしょ!?」

頬を手でさすりながら、琴子は抗議の目で直樹に言う。

「だって、おれ、肉食動物だし」

「はあ?」

「肉食のおれに、胸ときめいたとかって、今日言ってなかったか?」

「なっ・・・///」

直樹は優位に立ったように、挑戦的で余裕を持った目で琴子に目配せる。
直樹は琴子のこのびっくりした大きな目を見るのが好きだ。
またしばらくこの目を見ることができないかと思うと、もっとさらにからかってやりたくなる。

「でも入江くん・・・動物園、楽しかったでしょ?」

思いがけず急に琴子に動物園の話に戻され、ペースが乱れる直樹。
思わず表情も曇ってしまう。

「なんだよ、おれが楽しんでいたように見えるか?」

「うん♪幼稚園児ともなじんでたし!さすがに、小児外科医志望って感じだよね!」

「・・・どこをどう見たらなじんでいたのやら・・・・」

直樹は視線を反らして、複雑な顔をして小さく呟いた。

「まあ、関西の子供たちに、入江くんのギャグはあまりうけてなかったけど、ま、それは東京育ちの入江くんだから」

「ギャグなんて、言ってねーよ!!」

またムキになって、声を荒げる直樹。

「もう、また怒鳴る~・・・」

琴子が困った顔をして、また直樹の首に自分の腕を巻き付けた。
また琴子の無意識の掌中にはまりそうな予感の直樹は、琴子の腕を放してやろうかと考えたが、ふと考えてやめた。

また明日琴子が東京に戻ったら、いつ会えるかわからない二人。
正月も東京に戻れるか、今の時点ではわからない。
ここで琴子を離してしまうと・・・、もうこの柔らかく甘いものは、そう簡単に自分の腕の中に戻ってこない。


今は素直になって―――。


直樹も琴子の頭に手を添えて、また昨夜のようにぎゅっと引き寄せた。

「勉強するか?」

琴子の耳元で直樹の声が響く。

「ええ!?さっき、帰ってからでいいって!!」

直樹は腕の中で、琴子の驚く声とともに身体が弾むのを感じる。

「『今日も明日もがんばる』って宣言したじゃん」

「ええ・・・///ああ・・・あれは・・・///」

「滅多に会えないし、勉強って必要だろ?」

「うっ・・・、そ、そんなもんなの・・?///」

慌てふためいて直樹の腕の中で揺れ動き、琴子の熱く火照った顔が直樹の顔にも伝わってくると、直樹の気分も高揚してくる。

「それにおれ科学者らしいから、いろいろ研究しないとな」

「ぶぶっ!!意味不明だよ、入江くん」

「今日おきたこと全部が、おれには意味不明だ・・・・」

そう言って、直樹は琴子の頭を抱えたまま、ベッドにゆっくりと倒していった。


ひたい、まぶた、はな、ほほ、みみ、あご―――――。


ゆっくりゆっくりと直樹のキスが琴子の顔中に降ってくる。


「なんだか、肉食動物さんがやさしいね」

「壊れたら困るからな」

「ぶぶっ!!///」

「そうだ。ポイントもちゃんと教えておかないとな」

「もう!やだーーーっ!昼間のことは忘れて!!///」


直樹は少し暴れる琴子を制するように、自分の鼻を琴子の鼻にくっつけて動作を止めた。
そして、何度か鼻を擦り合わせながら、琴子の顔を至近距離でしっかりと眺める。

琴子のこの無邪気な笑顔が、直樹のこれからの心の支えになる。
そして琴子の笑顔を見て、満足そうな顔をした直樹の顔が、琴子のこれからの心の支えになる。

次会える日まで、たくさん充電して。
次会える日まで、しっかりお互いのぬくもりを忘れないように。

その形態をその感触をその甘さを噛みしめるように。
直樹は琴子の桜色の唇を、ゆっくりゆっくりと開花させていく。


桜咲く季節に、二人で満開の桜並木を歩けることを祈って―――――。





**********

最後にやっと二人の会話が噛み合いました~~~(^^)/

せっかくの神戸の話をこんなどこまでもバカップルで仕上げてしまい、すみませんでしたm(_ _)m
今回直樹が琴子にやられっぱなし、しかも最終回はちょいと甘々メロメロ系で・・・。
でも、私はなんだか楽しく書くことができました(*^_^*)♪

番外編は、琴子がこのあと東京に帰ってからをモトちゃん目線で考えています。
でも、今は・・・・こういうラブコメ書いたあとなので、くら~いの書きたい気分です(^^;)

※パソコンの前になかなか座れなくて③④のコメレスができていなくてすみませんm(_ _)m
この記事も出先から(もう出かけています(^^;))、携帯で操作させてもらっています。
明日には必ずコメレスさせていただきます。
とってもうれしいコメントばかりで私は本当にいい気分にさせてもらっているのに、返事が遅くなってごめんなさい(>_<)

COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>ぴくもんさま

こんにちは♪私のラブコメ、お気に召してくださり、うれしいです~(^^)/私自身もラブコメが一番筆が進むのですよ。そして変に暴走してしまいます(^^;)また、ジェリービーンズをイメージしてもらったことに、本当に本当にうれしかったです!!(>_<)ふ~、そんな感想もらえるのなら、こんな暴走動物園(笑)を書いてよかったと思えます(≧m≦)ありがとうございます。暗めの話は苦手なんですけど、こういうもののあとにはなぜか書きたくなってしまいます。ぴくもんさんのまた新しい分野、そして進化した作品の完成も楽しみです~~♪

>藤夏さま

こんにちは。なんとか無理矢理(?)終わらせました(^^;)ラスト甘く温かく感じていただき、幸せです。私は藤夏さんの「直樹は琴子なしでは・・・」のコメントが非常に心に響きました!!それがイリコトの根底にあって、いろんな話が妄想できるのだと私も思います。番外編は、モトちゃん視点でちょっと書いてたのですが、もうあれこれ話が飛んで飛んで(笑)、脱線脱線でどうまとめようか?って感じなんで、またちょっと寝かせてます(^^;)(つまり、放置気味・・・)いや、でも絶対書き上げますので、またぜひよろしくお願いします。
by chan-BB
2010/04/19(月) 14:08 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
まあちさま

こんばんは。まあちさんのうふふふふ~が聞けて、私超うれしいです~~♪直樹、本当にうまく自分のペース(のぞみどおり?)にものごと進められましたよね(^^;)今回のちょっとかわいい(?)直樹もOKと言ってくださり、感激です。私も、こんなちょっとメロ系の直樹も好きなんだと、今回書きながら自分で再確認しました(^m^ )私も直樹の方が本当は激しく琴子を必要としていると思っています。それを普段は見せないようにしているけど、たまにそれを垣間見させる直樹にかなり萌えます~。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました☆
by chan-BB
2010/04/19(月) 21:18 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
繭さま

こんにちは。今回、本当に直樹災難の回でした(^_^;)でも、最後はお部屋でそれもまんざらでもない様子で、今日のいろんな出来事からも琴子の存在の大きさ、そして繭さんのおっしゃってくれる琴子の優しさを感じているのかもしれませんね。なんだか、そこまで感じてもらえて、ものすごくうれしいです(*^_^*)そして、あはは!同意!って思ったのが、琴子ビジョンでは直樹が園児や動物と楽しそうに戯れているように見えたって!!琴子には、本当にそう見えたんだと思います(笑)。しかし、自分で書いておきながらなんですが、ほっぺたってなかなか噛めないもんだと思うんですよ(^_^;)でも琴子のほっぺはやわらかそうだし、直樹は天才だし、もう無理矢理!(笑)東京帰ったら、モトちゃんくらいにはぜひ気づいてほしいですね(^m^ )いつもありがとうございます♪
by chan-BB
2010/04/21(水) 13:22 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
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原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
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まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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