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HOLIDAY in Kobe 「動物園」編  ④

2010.04.15 *Thu*

結局、琴子の思うように、ほとんど全部の動物を見て廻った二人―――。
途中、お昼になり、園内の食堂で二人でビーフカレーも食べた。
動物園でのおしゃれではない食堂だが、琴子はその時間さえも、とても幸せに感じた。
二人で廻った初めての動物園。
その事実だけで夢のような一日。

二人ともが子供の頃に何度か行った、東京の上野動物園よりも小さく感じるこの王子動物園。
でも、神戸の山の傾斜を利用したような造りで、かなりの坂道を歩き、小さい頃に行った動物園の時よりも、もっと遊び廻ったような疲労感が漂う。

少し疲れて、二人でベンチに座る。
さっきどうしても欲しいと琴子が買った「パンダの豚まん」を出して、直樹に勧めるが、直樹は速攻それを拒否する。


「なかなかおいしいよ。入江くんが、『パンダの豚まん』食べるところ見たかったな~」

「さっきのカレーで、お腹いっぱいだ」

「肉食のくせに・・・」

「はあ?」

「いや、なんでも・・・」


そう言いながら、ベンチに座り、二人でちょっと高い秋の空を眺める。

もう、冬が近い秋―。
木にはわずかばかりの紅葉が残っている。


「ねえ、これって何の樹かな?」

「桜だろ」

「桜!!この並木道の樹、全部桜なの?すごい!!」

「何がすごいんだ」

「だって、春になったら、桜の花道だよ~!うわあ、絶対きれいだよ。入江くん!!春!春、絶対また来ようよ!!」

琴子がパンダの豚まんを頬張りながら、必死な顔で直樹に懇願する。

「春になって、おまえが、看護師にちゃんとなれてたらの話だよな」

少し目を細め、嫌みを含めたような目で直樹が琴子の方を見る。

「うっ・・・」

それを言われると、琴子も心にぐさっとささる。
国家試験に受からなければ、看護師になれない。
看護師になれないと、直樹と一緒に働くこともできない。
そして、直樹は神戸の病院・・・。
1年のしんぼうだと我慢して、二人の未来を思い描いて離れて暮らすことにも、渋々承諾したものの・・・、正直、これ以上離ればなれの生活をするなんて、琴子は考えたくもなかった。
離ればなれは、もうこれ以上無理だと思った。


「あたし・・・受かるかな・・・」

二人で桜を見て、喜ぶ春が迎えられるかと考えると、琴子もだんだん自信がなくなって不安になってくる・・・。


「とにかく、勉強するしかないだろ」

「そうだね・・・」

直樹は、ちょっと元気のなくなる琴子を見て、琴子の心中を察する。
期間限定だと決めて、なんとか離れて暮らすことを承諾した琴子。
それが、延長されることになるのは、どうしても避けたいと思っているはず。
だが、そうは思い通りにいかない国家試験。
言葉には出さないが、直樹もまた、琴子とこれ以上離れて暮らすことは望んでいない。

直樹は冷たいベンチに片手をついて、惚けている琴子の顔を横からながめる。
そして、琴子のベンチについている手を、ぎゅっと握って引き寄せた。


「入江くん」

思わず手を握られ、琴子は直樹の顔を覗き込む。

「とりあえず・・・、今日も、がんばるか」

直樹が琴子の手をぎゅっと握り、目を見つめて、少し柔らかい表情で優しく語りかける。

「今日も!?」

「そうだ。当たり前だろ!何のためにおまえ、神戸に来たんだ!?」

「な、何のためって・・・」

「こっちにいる間は、毎日するに決まってるだろ!」

「ま、毎日!?」

琴子が目を仰天させる表情で見開いて、驚いて応える。

「何、驚いてるんだ?当たり前だろ!おまえ、まさか昨日のあのちょろっとしたくらいで、終わったと思ってるのか!?」

「え・・・、ちょろっとって・・・、昨日のあれでちょろっと~っ・・・!?」

琴子がブツブツ呟く。

「明日も帰るまで、やるからな」

「ええーーーーーっ!?明日も!?」

「当たり前だろ!」

「あ、あたし・・・それは無理かも・・・何か、壊れちゃうよ・・・///」

琴子は直樹に掴まれていない方の手で、パンダの肉まんを口元に押しつけて、唇でそれをぎゅうっと噛む。

「おまえの頭は、初めから壊れてるだろっ!使わないと余計に壊れるんだ」

「そ、そ、そんなもんなの!?」

異常に困惑する琴子。

「当たり前だ。帰ってからも、毎日ちゃんとしろよ!」

困惑する琴子に、一抹の不安を覚える直樹。

「ええーーーーーっ!?帰ってからって・・・・どうやって!?」

「どうやってっておまえ!今さらなんだ!おまえ、東京で一人でやってなかったのか!?」

「ひ、ひ、ひ、一人でって!一人でなんかできるわけないじゃないーーーーっ!!」

「ちゃんとポイントは教えているだろっ!」

「い、い、い、入江くん、こんなとこでやめてよーーーっ!!///」

琴子は周りを見回し、顔を紅潮させ、悲痛な叫び声をあげる。

「何やってるんだ!!」

「そんな、何って・・・。い、入江くんこそ、ひひひひひ、一人でやってるっていうの?」

「おまえはおれは何もしなくても、何でもできると思ってるのか!?おれだって毎日一人でがんばってるっていう想像ができないのか!?」

「いやああーーーーっ!想像なんてしたくないーーーーっ!!」

琴子は思わずパンダの豚まんをベンチに放り投げ、片手で目を瞑って、耳を覆って、大きく顔を横に揺らした。


(どうなってんだ!)


直樹も思わず、握っていた琴子の手を大きく揺さぶって放した。
あんなに看護師になって自分と一緒に働きたいと言っていたのに、こんなやる気のない消極的な返事をしてくるとは思わず、直樹はだんだんイライラしてくる。

(琴子の看護師にかける気持ちはこんなものだったのか? )
(琴子のおれと一緒に働きたい、一緒に暮らしたいって気持ちはこんなものだったのか? )

直樹は秋の高い空をながめて、思いがけない琴子のやる気のなさに、大きなため息をついた・・・。


琴子は覆った指の間から、ちらりと直樹を見る。
直樹のちょっと落ち込んだような暗い顔を見て、琴子もまた、なんだか切ない気分になってくる。
さっき直樹に握られてた手が、今はスースーと風にさらされ、少し冷たく感じる。


「入江くん」

少し冷たくなった自分の手を直樹の手の上に重ねる琴子。

「あたし、がんばるよ。今日もがんばるし、明日もがんばる」

「・・・当たり前のこと、今さら言うなよ」

直樹は小さくため息をつき、突き放すように言う。

「そ、そんながっくりしないで・・・。当たり前かもしれないけど・・・、でも、あたしだってもういろんなことでいっぱいいっぱいで。期待には添いたいけど、でも、でも・・・」

みるみるうちに琴子の目が赤くなって、涙がたまっていくのがわかる。


(・・・・泣くなよ・・・でも・・・・)


琴子の頭で、一回で国家試験に受かれというのも、確かに酷なものがあるのを直樹はわかっている。
でも、やるしかない。
直樹を助けるために看護師になると言った琴子。
今までの、直樹にかける情熱を見ても、琴子なら、やってくれるのではないかと直樹は期待していた。

ポンポンと琴子の頭を少し叩いて、そしてその頭を少し自分に引き寄せる。


「まあ、できる限りがんばれ。今日と明日、おれもできるかぎりやるから」

「う・・・・うん・・・でも・・・ひっく」

琴子がしゃくりあげながら言う。

「なに?」

「でも・・・勉強もしないとダメだから・・・ひっく・・・その時間くらいは作れるくらいに・・・」

「・・・・・」

「看護師になって・・・ひっく・・・どうしても春には、入江くんと一緒に働きたいから・・・」

「・・・・おまえ・・・」

「うん?」

直樹は引き寄せていた琴子の頭をぐいっと離して、そして琴子の顔を両手で掴んで覗き込む。



「おまえ、何の話してんだ・・・?」





「わあーー。科学者とフラメンコのお姉ちゃんがラブラブやー」

「わーーほんまやー。ピンクになっとう。ラブラブやー」


また急にさっきの幼稚園児の群れに囲まれる直樹と琴子。

「こ、これ、みんな。列を乱さないでー。行きますよ-。(またこのバカップルか!なんやねん、遠足に来とう子供もおるっちゅうのに、昼間っからいちゃつくなっちゅうねん!)」


直樹がベンチから勢いよく立ち上がる。

「帰るぞ!」

「う、うん」

琴子は涙を拭い、二人はバツ悪そうにその場を離れて、動物園をあとにした。



**********

う~~ん・・・。
私の文章力で、この二人の勘違いがちゃんとわかってもらえるのかが、ちょっと心配・・・(-_-)

それと桜咲く前にこれ書いてたんですが、すっかり桜も散っちゃいましたね(^_^;)


COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
コメントのお返事が大変遅くなって、申し訳ございませんでした。


>りきまるさま

こんにちは。騒がしい動物園デートも、やっとイスに座って、ちょっと小休止の二人でした。二人の会話、かみ合ってません・・・ホントに・・・(^_^;)でも、りきまるさんにこの会話のかみ合ってないところをわかってもらえて、私はうれしかったです~~~♪そうですね、琴子、天然でさりげなくお誘いしてる感じです・・・( ̄m ̄* )コメントうれしかったです。ありがとうございます(^^)

>繭さま

こんにちは。繭さん、そうです!この会話「勉強」という言葉を抜かしたために、成立しなかったんですよね!!日本語って、古文の時代からやたらと省略語が多いのが特徴ですが、そう思うと日本人ってかなり空気読むのがうまいのかも?とコメント読んで思わせてもらいました(^^)そして今回間違いなく空気読めてなかったのは、天才直樹の方ですよね・・・(^^;)そう思うと、イタキスに反する創作かも?ですが(汗)ついてきてくださり、いつもありがとうございます。心身ともにかなりきている直樹ですので、とりあえず最終回では直樹のお好きなようにさせてみました(^^)

>まあちさま

こんにちは。しっかりここまで読んでいただきありがとうございます~♪この勘違いに、にんまりしていただき、とてもうれしかったです(*^^*)まあちさんのコメント読んで、あとで考えると、この琴子の発言はかなり直樹のツボを刺激したかもしれない、琴子が帰ってからもこれで直樹が思い出し笑いでもしてるかも~とか思うようになりました♪動物園は桜のきれいなところがたくさん全国にあるようですよね。ただ、その時期の動物園は、人が多い!!私も今年は行けませんでした。ここに妄想しに行く人は・・・(* ̄m ̄)笑わせていただきました(^^)

>藤夏さま

こんにちは。うわ~めちゃくちゃうれしいです(^^)/ありがとうございます~♪藤夏さんをドキドキさせただけで、私非常に光栄なことだと思っています。そして、もうなんという深い考察!!ここで引用するのもどうかと思いつつ、曖昧な表現で申し訳ないのですが(笑)、うんうんと頷きながら読ませていただきました。そして!!意見の中でも1番激しく同意する部分は、最後の解釈(=「再会」の時のこと)でしょう!!そうなんで、そこまでもってこないと!!私たちも萌えませんから!(笑)ってのが、最終的希望でもあると思うのですが、いかがでしょうか?またそういうお話たくさんしてみたいです~~♪
by chan-BB
2010/04/19(月) 13:44 [Edit
行って来ましたよ~♪
千夜夢さんが書いた王子動物園のお話が、しっかり脳内保存されていたから神戸と言えばでレッツラゴー(^^)/
フラメンコいましたとも(笑) 羽の色を見ながら入江くんの寒~いギャグ(じゃなかったのよね)思い出しました。
なんと言ってもパンダをあんなに近くでゆったり見れるとは感激でしたよ。それに気を取られすぎて小動物と触れ合う時間が…グスン(T_T)
また息子夫婦に連れて行ってもらいますわ。
by 紀子ママ
2012/12/20(木) 00:05 [Edit
報告ありがとうございます~♪

紀子ママさま

超うれしい報告をいただいたのに、お返事が遅くなってしまって申し訳ございません(>_<)
王子様のいる動物園!入ったらすぐにフラメンコ!(笑)
私も自分で書いたものでありながら、紀子ママさんにコメントでいろいろ思い出しました。
入江くんが琴子ちゃんによって悲惨な目にあうシリーズって、この話がスタートだったかもしれないとさえ今は思っています(^_^;)
私も子供が大きくなって最近はご無沙汰の動物園です。久々に行ってみたくなりました。
そしてぜひ次回の機会には、小動物とのふれあいを(*^m^*) 琴子ちゃんが激写しまくったあのシーンを思い出していただけたらうれしいです。
本当に年の暮れに、素敵な報告をありがとうございました。
by 千夜夢
2012/12/23(日) 20:03 [Edit

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千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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