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2010.03.13 *Sat*

異星人とバレンタイン


女の子

女性


今おれの横で寝てる物体は、どれにあてはまるんだ―――。


スウスウと寝息をたてている物体。
おれのバイト先で胃痛で倒れ、雪のために交通手段がなく、仕方なくおれのマンション連れてきてしまったこの物体。

おれが、好きで好きでしかたないはずのこの物体。
さっきまで、あからさまにおれと何かあるんじゃないかとドキドキしている様子がおかしかったこの物体。

こいつ、絶対朝までおれの横で眠れねーよな!?

そう考えると笑いがこみあげてきて、さっさと寝たふりでもしてこいつの様子をこっそり見てやるか?などとおれは変な楽しみを思い描いていた。


なのに・・・・熟睡・・・。



―おふくろの思うツボにはなりたくないから

―だから期待しないで寝てくれよ


確かに、おれはそう言った。
しかしだからって、あれから数分もたたないうちに、こんな熟睡・・・いったいこれはどういう物体だ!!?
ええ!?琴子!!


そして琴子と反して、なぜか眠れなくなってしまっているおれ。
それはいつもと違い、部屋が明るいせいかもしれない。
そして、琴子という物に対して答えがみつからないから、こうして答えをみつけるために目が開いているのかもしれない。
そうだ、問題はわかるまで考える。
そして、おれにわからない問題なんて、今までなかったからな。



・・・・・。
しーんとした部屋に、自分の心の呟きが漏れてきそうで、胸を掻きむしりたくなるような衝動にかられる・・・。


ぼんやりと天井をみつめる。
外から時折照らされる車のライトが、天井に映る。
いつもはそんなライトは部屋に入り込んでこないはず。
そう思って目を窓の方に向けると、少しブラインドが開いてる。

誰に見られるわけではないが、なんとなく閉めておきたい気分になる。



でも、身体が動かない。



おれの左手は、琴子の右手に触れている。

横で眠る琴子が自然に寝返りをうって、おれの手に自分の手を重ねてきた。
おれから触れたわけではない。

仰向けで、口を開けて眠る姿が、琴子のためにつけられた明るい照明の下ではっきりと目に映る。


醜態だ。
今にもよだれをだしそうで、ぽかんと口を開けた金魚のような顔。
醜態だ。

これは、なんだ?
どういう物体だ?


それでも触れる手から、温かい小さな脈動のようなものが感じられる。
何か手の中で小動物をつかんでいるかのような、ぎゅっと握るとつぶれてしまいそうな、そんな感覚。
壊れてしまいそうな。
愛しいような。
そして、生きているもの。


「う~~~ん・・・・」


ガサッという音と共に、おれの腰に琴子の投げ出した足があたる。


「ったく。信じられねーな、こいつだけは」


好きな男が横にいるのに、自覚のないこの様子。
こんな醜態をよくもおれに平気で晒すもんだ。


そしてそれと同時に、さらっとした髪がおれの頬に少しあたる。

髪からさえも、脈動が伝わってくるような気がして、さすがにそれはないだろうと、自分の感覚を疑う。
でも、もっとそれが本当なのかちょっと興味がわく。
髪の毛からも、脈動が感じられるのか。

そう、これは実験だ。


少しだけ自分の顔を琴子の顔に近づけて、琴子の髪の毛が広がるシーツの上に、自分の顔を乗せる。
つるっとして、少し冷たい琴子の髪の毛が、俺の頬の下敷きになる。

髪からの脈動は・・・。


余計なものに邪魔をされて、実験は失敗だ。


琴子の吐く息が、近すぎて俺の頬にあたるようになってしまった。
湿気を帯びたその息が、俺の頬に生暖かく規則的にあたる。

髪からの脈動を感じ取ろうとするおれの感覚も、その湿った空気に神経が向けられ、集中できない。

湿った、生暖かい琴子の吐く息が、頬にあたるたびに、また胸が掻きむしられるような衝動にかられる。


ブラインドを閉めよう。
今こそ、ここで起き上がろう。

心がそうおれの脳に指令を出しているのに、おれの身体がその指令を受けつけない。
金縛りのようになり、身体が全然動かない。
それどころか、指令の出てない動きをし始める。

琴子の髪を掬い、おれの口元にもってくる。
甘い匂いにくらくらする。
おれと同じシャンプーを使ったはずなのに、どう化学反応を起こせば、こんな甘い匂いになるのか。


また、実験材料になりそうなことが、おれの頭を支配する。

もっと知りたい。
理由を知りたい。
そうだ、それだけ。

そう思って、琴子の髪をさらにひっぱって、おれの口元にあてる。

ぎゅっとひっぱられて、思わず琴子がおれとは反対方向に寝返りをうとうとする。
ピンと張られた髪に、琴子の身体が反応する。

「やあんー!」

寝ながら、拒否のような声を上げて、俺の腰を思いっきり蹴り上げてくる。

「って!」

おれの声と同時に、おれを蹴り上げた反動で、琴子はベッドの下にバタンと落ちた―――。




ベッドの上から、そっと少しずつ顔を出すように下に落ちた琴子を見る。
覗き込んで、目が合ってしまうのは、かなりバツが悪い。


スウスウスウ。


しかし琴子は片足をベッドに残したまま、おれの大きなパジャマを着て、肩を出して、そのまま寝ている。


「なんだ、これは?」

今さらながら、声に出して問うてみる。


とりあえず、ベッドの下から抱き上げて、ベッドの上に乗せようとする。
琴子の胸の下と膝の下に手を入れ、ぐっと持ち上げる。
あまりの柔らかさに、思わず腕の力が緩みそうになる。
でも、柔らかいけど、かなりずっしり重い。


このまま床に寝かせておけばよかったのかもしれない・・・。
この物体が柔らかいと認識してしまったことに、またおれは後悔しはじめる。


しかしここまでしてしまったからには、さすがに落とすわけにはいかない。
気持ちを切り替え、またぐっと力を入れて持ち上げる。
ベッドに寝かす時、琴子が起きないように、おれがこうして抱き上げてるところを悟られないように、ゆっくりゆっくりとベッドに置こうとする。
壊れ物を扱うように、ゆっくりとシーツに琴子の身体を沈ませていく。
腕が震えて、ぴりぴりとしびれる。


おれのこんな重労働も知らず、琴子は全く起きる気配もなくベッドに沈んだ。
ベッドで、変わらずスウスウと、金魚のように口を開けて、醜態をさらす。



これはなんだ?
女の子

女性


いや、これは「異星人」だ―。


だから、おれは実験材料として気になってしかたなかっただけだ。
あの金魚のような醜態の唇が、やたらと目につくのもそのせいだ。
知らないものを知りたい、それだけだ。


自分で理由を考えて、なんとか納得する。
そして、おれもベッドに入り、目を瞑って唱えるように確認する。


異星人。
横で眠るのは異星人。
おれはバレンタインに異星人と眠る。

雪の降るバレンタインデー。
世の中の恋人たちはみんなどんな風に過ごしているんだろう。
少なくとも、異星人と同じベッドで眠る男はおれくらいだろうな。



―おれは何もしねーよ



自分で宣言してしまったこのことばを、何度も思い出す。
これでもし異星人に手を出したら、おれはきっと地球追放だ。


おれは眠りに入りながら、こんなくだらないことばかり考えた。
最高にくだらない夜。






そして―。

あれから何回このイベントを迎えただろう。
今年もおれたちの部屋には、望みもしないのにそこらへんにチョコが転がり、その甘い匂いが部屋を充満している。
そして変わらずおれの横には、金魚のように大きく口を開いてスウスウと寝息を立てている物体。
脚で蹴り上げた布団をもう一度かけてやり、この醜態を再確認する。

ホント、異星人だなこいつは―。


しかしあの時と違い、今のおれはいろいろな実験結果を知っている。

この金魚のような唇のやわらかさ。
この栗色のしなやかな髪の甘さ。
こいつがおれをチョコの味や匂いよりも、もっと甘美な世界に連れて行ってくれることを。


髪を撫で、やわらかい唇に自分の唇を重ねる。
もう何も躊躇うことはない。

そして今年は新しい実験・・・。
少し丸みの出てきた異星人のお腹の上に手を添え、その中にいる異星人にコンタクトをとる。
お腹の中からおれの手を蹴り上げる子異星人の様子は、母異星人そっくりで、吹き出しそうになる。

そっと壊れないように。
だけどぎゅっと抱きしめて。

今年もおれはバレンタインに異星人と眠る――。

そしてまた、おれは眠りに入りながら、くだらないことばかりを考える。



宇宙征服―――――。


最高に満足な夜。




**********

ホワイトデーなのにバレンタインデーの話をUPする、どこまでも空気の読めない私・・・。
そして、直樹視点の話になると毎度ですが

こんな直樹でごめんなさい(>_<)

とつい謝りたくなってしまいます。

でも、最後の「宇宙征服」のところは、至極幸せな顔をしている直樹(←それはまた人によって浮かぶ顔が違うでしょうが)を想像していただきたい(笑)!


COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>ぴくもんさま

あの妄想やまないバレンタインの日をこんな形でしか描けなくって、なんだか申し訳ない気分です。どうもしっとりと甘い雰囲気は私には無理みたいで・・・(^^;)でも、小道具に反応してもらって、うれしいです☆直樹がいろいろおかしな方向に考えをもっていかないと、そわそわしちゃってると想像してもらえたらいいな~って思いながら書きました。そして琴子のお腹の異星人がいることに、ご満悦な直樹を「宇宙征服」ってしてみたんですけど、こんな直樹もありにしてください(*^-^*)


>繭さま

ま、繭さん・・・・すっごい解釈です。もうびっくりしました!!目から鱗です!!私のこの作品にそんな高尚な詩人のような解釈ができるなんて・・・!!というか、繭さん、創作できないですか?こんな素晴らしい感性で、創作されたらどんな話になるんだろう?ってそっちに気持ちが動いちゃいました(^^;)ああ~・・・でも、すっごくうれしいです。こんな見方してもらえるなんて、感激です。
お腹の中にいる赤ちゃんの感触って、確かに懐かしいですね(*^_^*)


えっと、それと・・・すごい感想もらったので、思わず公表しちゃいますが、「『異星人とバルタン星人』だと思って最後まで読みました」って!!爆!!
ほんまかいなっ!( ̄∇ ̄;)
いくら私でも、バルタン星人の創作をここでUPするなんて?(笑)
で、でも・・・バ、バルタン星人が「宇宙征服」って・・・・、話のつじつま合うのが恐いです(>_<)
あー、おもしろかった☆まさにご満悦です。


by chan-BB
2010/03/15(月) 11:43 [Edit
>藤夏さま

タイトルを褒めていただきありがとうございます。うれしいです♪ええっ?そんな藤夏さんのタイトルにいつも反応してる私を知ってるじゃないですか~!?(^_^)少なくともタイトルは大事だとそこからも勉強させていただいてます。ちょっと「異星人」を連発しちゃって、うざい感があったのですが、大丈夫でした?(笑)直樹は、もう無理矢理なんとか理由をつけてこの感情を理解しようとしてる様子ですね(^^;)この頃の直樹も私はすごく好きなんですよ。そして幸せな顔の直樹を想像していただいて、私もとっても満足です(*^-^*) 素敵なコメントありがとうございました。

>匿名さま

こんにちは。お迎えいただいて、本当にありがとうございます(^_^)とてもうれしいです♪幸せな入江くんが目に浮かんでくれましたか!もう、それだけで私も幸せな気分になります。どうぞこれからもよろしくお願いします。また遊びに来てください。
by chan-BB
2010/03/16(火) 07:18 [Edit
はじめまして!
はじめまして!
ソウさんのリンクからたどってまいりました。millと申します。
入江くんの大変そうな様子がなんだかおかしくって吹き出してしまいましたw
最後でほんわかあったかな気持ちになれました。
ステキなお話ありがとうございました。
またお邪魔いたします♪
by mill
2010/11/04(木) 16:07 [Edit
コメントありがとうございます(*^_^*)
millさま

こんばんは。ソウさんのリンクから来ていただき、感激です!!millさんに私の拙いお話を読んでいただき、恥ずかしく恐縮するばかりです(>_<)でもしっかり読んでいただきコメントまでいただけて、とってもうれしかったです~ありがとうございます!!
このお話の入江くん、心の中の声ですが、しゃべりすぎですよね!?(爆)今さらながら、どんな入江くんを書いていたのかと・・・(^_^;)でも、確かにそれはそれでおかしくって!millさんに楽しんでいただけたようで、本当によかったです。うれしいです♪
ぜひこれからも、どうぞお見知りおきよろしくお願い致します。訪問していただいたこと、心から感謝致します☆
by chan-BB
2010/11/06(土) 23:06 [Edit
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
by
2012/05/13(日) 19:27 [Edit
コメントありがとうございます

アキミママさま

はじめまして!
訪問していただいてありがとうございます。
そして・・・ぷぷぷ!このお話をUPした時に、同じ勘違いされた方がいたのですが、まだ他にもいらっしゃったとは!!?(笑)
でもそれだけ、わけのわからないタイトルだったかもしれません(^_^;)
現在ひっそりと(?)まったりと裏だけに出没している私ですが、そちらも訪問してくださっていてありがとうございます。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
by chan-BB
2012/05/14(月) 21:15 [Edit

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千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆

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