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2010.03.27 *Sat*

琴子日記⑱   ぎっくり腰(後)


注意
(前)を読んでも、読み流せた方のみお進み下さい。
そして、意味ないオリキャラも出てきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「どうした直樹?痛むのか?」

ベッドの上で無念の高校球児になっている入江くんにお義父さんが、心配そうに語りかける。
入江くんは、その語りかけにも無言で、でも右手を腰に置いて、とんとんと叩きはじめた。
こ、これは・・・・!?


―入江くん・・・演技ですか?


「琴子ちゃん、お兄ちゃん、いったいどうしていて、こんなことに??」

お義母さんに質問される。

「あ、どうしてって・・・あの・・・起きてすぐに・・・」

「起きてすぐ?何かしてたの?」

「あ、いや・・・、朝は特に何もしてないで・・・す・・・」

うっ!
「朝は」なんて言ってしまっちゃった!!
な、なんか変に意味深かも・・・!?

でも本当に朝は、あたしが変な夢見て入江くんのおへそ舐めてただけで・・・、それからなぜかあんなもの掴んじゃって・・・あ、いや、でもそれはあまり今関係ないか・・・。
う・・・、何をどう説明したらいいやら・・・、正直に叩いちゃったと言うべきなのか・・・ぎっくり腰で通すべきなのか・・・。


「病院に運んだほうがいいな」

お義父さんの冷静なツルの一声に、みんな一斉に顔を向ける。

「どうやって!?」

裕樹くんがまず第一声を放つ。
その顔はいつになく真剣だ。


「そういや、近所の山本さんもぎっくり腰で、救急車呼んだって言ってたわよ、パパ!ぎっくり腰は動かすのがダメらしいし!」

「そうなんだ。とにかく動かさないで、そのままの姿勢で運んだほうがいいだろう。救急車しかないだろうな。直樹は身体も大きいし、家族だけでどうすることのできないし」


ええええーーーーっ!?
きゅ、救急車ですかーーーーっ!?

し、しかも、そのままの姿勢って!
入江くんが、無念の高校球児の姿で、救急車に乗せられるんですかーーーーっ!?


・・・・自分のしでかした事の重大さに、ここにきて本気で青ざめるあたし・・・。
い、入江くん・・・そんな重傷だなんて・・・。
でも、病院に行って、ぎっくり腰と違うとわかったら、いったいどうしたら・・・。
こんなものにも治療ってあるのかしら?
どうしたら、どうしたら・・・。


「・・・・・めろよ・・・」


へ?
メロヨ?
また夢の続き?


「大丈夫だから・・・救急車なんて、やめろよ・・・」


「直樹!」

「お兄ちゃん!」

「お兄ちゃん!」

「い、入江くん・・・」


みんな一斉に、ベッドの周りに集まり、入江くんを囲むようにする。

「ましになってきた・・・。もう大丈夫だから」

まだ冷や汗をかいて顔色は悪いけど、入江くんはやっと上体を起こす。
そして、また手で腰をとんとんと叩く。


―入江くん・・・それってまた・・・演技ですか・・・?


「でも、直樹。無理したら、また痛めるぞ」

「いや、大丈夫。一瞬だけだったから。もう平気」

そう言って入江くんは、ぐいっと腰を伸ばしてみる。

「お兄ちゃん、いくら医者の卵だからって、過信はダメよ!ちゃんと病院で診てもらわないと!」

お義母さんも心配そうに入江くんに声をかける。

「本当に大丈夫。またおかしいと思ったらちゃんと行くから」


今、確信した。
入江くん・・・ぎっくり腰で通すつもりなんだね!!?
うん、わかった、あたしもこれで通すよ!!


「でも、お兄ちゃんどうして?何をしててこんなことに?」

「ちょっとストレッチしてただけ。おれ、最近身体なまってんだな」

そう言って、入江くんはふーーっと息を吐き出し、自分の前髪を息で吹き上げた。

「琴子ちゃんは、朝は何もしてなかったって言ってたけど・・・。なんだか、話違うわよね・・・」

「え!?・・・」

お義母さんが、何やら不審そうな顔、いやちょっとにやりと笑ったような顔であたしの方を見て、そして入江くんの方をまた見る。
入江くんも一瞬目がぴくってしたけど、もうそれ以上何も言わなかったから・・・、あたしももうそれ以上は言わない方がいいんだと思って、口を噤んだ。


そうしたら、部屋に5人もいるのに、ものすごい静寂が漂った・・・・・。


「と、とにかく・・・腰は本当に身体の中でも『要(かなめ)』だぞ!十分に気をつけておかないと」

お義父さんがちょっと家族の顔を一周見回して、そして家長の威厳っぽくその沈黙を破り、入江くんの肩をポンと叩いた。


「ああ・・・そうだな。使い物にならなくなったら、大変だからなっ」


入江くんが少し大きな声で、吐き出すように言う。
その入江くんの目は、真っ直ぐあたしの方を向いていて、かなり殺気だって見えて・・・。
あたしは、びくんっとして、思わず目を反らしてしまった。


〈ラブなワードをウィスパー〉どころか、〈アイロニーなワードをシャウト〉されてしまったあたし・・・。


・・・あの夢は逆夢だったんだね・・・・。


それからみんなは、部屋を静かに出て行った。
裕樹くんが、出て行く時に小さな声で呟いていた。

「腰って、『要』なんだ・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


家を出て、数十メートル。
非常に気まずい雰囲気の中、あたしたちは二人で大学へと向かっている。
入江くんは、険しい顔をしてあたしの前を歩いていて、例の件には触れてこない。
あたしから触れた方がいいのか・・・。


「琴子」

「は、ははははあい」

いきなり前を向いたまま名前を呼ばれ、あたしは顔をあげて怪しげな返事をしてしまう。

「おまえ・・・。俺に謝ってないよな」

「え・・・ああ・・・」

そういや、心の中では何度も謝ったけど、あの騒ぎの中、入江くんにちゃんと謝っていなかったような・・・。

「俺に再起不能になってほしかったのか?」

ギロッと睨む入江くんの顔が、もう本当に恐くって。

「え!いや、そんな!そんなことは、絶対!!」

あたしは必死で、手と顔をぶんぶん振りながら否定する。

「おれが再起不能になったら、おまえだって困るよな-!?」

「うん、それはもちろん!!え!?いや、それは、入江くんの身体が心配っていう意味で・・・///」



「あら~、入江さん家のお兄ちゃん!」

突然、ある家から人が出てきて、いきなり入江くんに向かって話しかけてくる。
あたしたちは同時にその人に視線を向ける。

「大丈夫なの?ぎっくり腰なんですって?」

思いがけない言葉に、びっくりして思わず目を合わせてしまうあたしたち。


「紀子さんから電話あって!お兄ちゃんがぎっくり腰になっちゃったって、もう大騒ぎよ!!救急車呼んだ方がよかったのかとかいろいろ聞かれて・・・。あ!それは、私が前にぎっくり腰になって、救急車呼んだことがあるからっ!もうあの時は、大変だったわよ!!」


(誰だよ、この人?)

入江くんが、こそっとあたしの耳元で囁く。

(お義母さんのお友達の山本さんだよ)

入江くんは、「ははーん、この人が」って顔をしながらも、とりあえず山本さんに軽く会釈をして、さっさとこの場を通り過ぎようと歩き始める。
が!

がしっ!

山本さんに入江くんは腕を掴まれ、立ち止まるしかなくなってしまった。


「ぎっくり腰を甘くみちゃダメよ!」

山本さんが入江くんの腕を掴みながら、じりじりって顔を入江くんに近づけて、真剣な声で言う。

「は、はあ・・・」

さすがの入江くんも、なんか腕を放せず、なんだかたじたじって感じで・・・。

「あなたたちまだ若いんだから!気をつけないと!」

「はい。今から大学なんで・・・」

またさりげなくその場を立ち去ろうとする入江くん。
しかし、また山本さんにがしっときつく腕を掴み直される。


「今朝は紀子さんから聞いたら、ちゃんと服着てたようだけど!?ふふふ///。もう本格的にぎっくり腰になっちゃった時は、服着ることさえできないんだから!!これからは、本当に気をつけないと!!裸はあまりに情けないわよ!!」

バンバンバンと山本さんに背中を連打され、入江くんはゴホゴホゴホと咳き込む。

あたしは思わず、無念の高校球児の姿で裸で病院に運ばれる入江くんを想像する・・・。
ダメ!ダメ!
そんな入江くん、絶対見たくないです!!

「とにかく!要注意よ!しばらくは、自重よ!!自重!!くせになるから!!」

そう言って、また入江くんの背中をバンバン乱打する山本さん。

「ゲホッ!」

「まあ、若い人に自重しろっていう方が、や・ぼ・な・話だけど~~♪うふふ♪紀子さんがもうすぐ孫に会えるかもって本当に楽しみにしてたわよ~~♪じゃあ、いってらっしゃ~い♪」

自ら話したいことを話すと、山本さんは入江くんを解放してくれて、さっさと自分の家の中に入ってしまった。


「な、なんなんだよ、あれはーーー!?」

呆気にとられながらも、憤慨する入江くん。


「山本さんのあだなって知ってる?」

「知るわけねーだろっ」

「九官鳥だって・・・」

「・・・・マジかよ・・・・はあああ・・・・おふくろのやつーーー!!帰るころには、この一帯がこの話、知ってるってことかよーっ!」

入江くんが手で顔を覆って、嘆くように呟く・・・。


そういうことですね・・・。
もしかしたら、もうすでに大学に張り紙もされているかも・・・。
ぎっくり腰でもないのに、ぎっくり腰の噂を流されるであろう入江くん・・・。
しかもなんだか、みんなにすっかり勘違いされている様子で・・・。

・・・って!それって全部あたしのせいなんだよね!?


「入江くん・・・今日は本当にサプライズハプニングをエキサイトしちゃって、ソーリーです」

思わず夢の延長で、変なカタカナ英語をつかって謝っちゃうあたし。


「・・・めろよ!つまんねーこと言うな!だいたいおまえのせいで、おれは変態のぎっくり腰野郎扱いだ!」

そう怒鳴られて、入江くんに頭を小突かれた。


メロヨ・・・。
三度目・・・。
正夢・・・。


なぜか怒鳴られて小突かれても、あたしは変に冷静だ。
そして「男のプライド」ってやつに、ちょっと感動している。


入江くん・・・、そんな変なぎっくり腰の噂流されても、あたしに大事なところ叩かれちゃったことは絶対に隠し通すんだね・・・。



**********

本当に何の「オチ」もなく、バカバカしい話で失礼しました。
でもこういう話も私はこれからも書きますので・・・、苦手な方は注意書きなどで選択してもらえたらと思いますm(_ _)m

COMMENT

拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>くーこさま

おはようございます。笑っていただけて、すっごくうれしいです。みじめ~な直樹にさむ~い感じもしたでしょうが(^^;)、いや、こんなのもライク(笑)との大きなお心で、ホッとしました♪またむらむら~とこんなの書いちゃうと思いますが、よろしくお願いします☆

>ぴくもんさま

おはようございます。ルー語!!ご指摘三人目です!(爆)いくら夢でも直樹がそんな言葉発するわけない!って感じですけどね(^_^;)直樹、なんで腰叩いてたんでしょうね?(笑)本当にこんな直樹でごめんなさいの話でしたが、笑って流してくださってうれしいです♪脳内でぴくもんさんの創作の妨げにならないように・・・と心からお祈りしています・・・。

>花さま

はじめまして!広いお心で笑っていただいて、本当にうれしいです(*^_^*)これからもよろしくお願い致します。

>繭さま

おはようございます。お仕事お疲れ様です。目が冴えてしまったようで(笑)。自分で書いててなんですが、なんで直樹は本当にことを打ち明けなかったかは、理由も何も決めてないんですよ(^_^;)でもなんとなく直樹ならこうするかな?と・・・勝手な話です・・・。直樹パパや裕樹の部分も拾っていただきありがとうございます。私的にそこは気に入っています ( ̄m ̄*) それと!!よくぞ、山本さんが初出でないことがわかりましたね!!?いや~、うれしいです。そこでも登場してました(o^^o)そして、私も周りも山本さん的人物は多いです(笑)本当に細かい部分まで読んでいただき、感激しました☆


こういう話は読む方にはちょっと・・・だろうな・・・と思いつつ、私はこういうの書くんのが結構好きです(^_^;)くだらない内容の上、ギャグのレベルも低く・・・、それでも広いお心で読んでいただき、正直、こんなにコメントや拍手もいただけるとは思っていませんでした。本当にありがとうございましたm(_ _)m
by chan-BB
2010/03/29(月) 07:31 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>なおき&まーママさま

こんばんは。なんだかめちゃくちゃ興味ある分野の論説文を読んだ気分で♪本当に食いついて何度も読んじゃいましたよ!頭の中で図式がループしています。すばらしい解釈(妄想?笑)です!!なおき&まーママさんって、天才直樹脳ですよね!!(断言!)そっかあ・・・そうだったんだ、直樹(笑)私は本能だけで書いたんで、難しいことがわかってなかったんですけど(←いいのか、それで?)、なおき&まーママさんにて「ぎっくり腰」も意味あるものとなった気分です☆ありがとうございます。うれしかったです(^_^)v

>藤夏さま

こんばんは。藤夏さん、素敵なお言葉たくさんありがとうございます。もう、私の方がそのお言葉全部お返ししますよ!投稿サイト様でもどんなに影響与えてくださってることか・・・。ちなみに私、「嫉妬直樹」をいつか絶対書いてみたいと思ってるのですが・・・なかなかいい知恵が浮かびません(^^;)
野球の話に爆笑しました!!見てるんだ!藤夏さんもそういうところ!あははは。でも私って、直樹がかっこよければかっこいいほど、ちょっとみじめにしてやりたくなるんですよね・・・これって絶対少数派ですよね・・・かなりヤバイ部類だと自覚しております・・・(>_<)
by chan-BB
2010/03/29(月) 21:28 [Edit
拍手コメントありがとうございます

カリーナさま

はじめまして!
情けない入江くん、楽しんでいただけてなによりです(*^m^*)
うちのブログは、このような情けない憐れな入江くんの話が多々あったりします(苦笑)。
たまには・・・な気分の時には、ぜひ情けない入江くんシリーズを楽しんでいただけたらと思います。
by chan-BB
2012/07/24(火) 14:42 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆



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