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2010.03.19 *Fri*

琴子日記⑰   積み木


今あたしは、積み木でお城を作っている。
お義父さんの会社の試供品。
今って、こんなシンプルな普通の木製の積み木がまた、静かにブームなのかもしれない。
あたしはリビングのソファーの机の上で、積み木を広げて積み上げている。

あたしのイメージするお城はもちろん、あたしと入江くんの住むお城。

頭の中ではとても素敵なお城をイメージしているのに、このシンプルな積み木でそれを実現しようとすると、かなり難しい。
あたしは、イメージしてるにもかかわらず、全然思い通りに積み木が積めない。
計算もなくただ横に縦に、積み木を重ねていってるだけのような気がする。


ホントあたしって、つくづく不器用で要領が悪い・・・。


ふと思う。
こんな適当な積み木の積みようは、まるであたしの今までの人生のようじゃないかと―。


あたしの青春は、入江くんを好きになったとこからスタートした。
そして、あたしはこうやって、一つ一つ入江くんとの出来事を積み上げてきたんじゃないだろうか―。




入江くんの家で一緒に暮らすようになった日。
―ひとつ積み木を積んだ。


入江くんに初めて勉強を教えてもらった日。
―こんな日がくるなんて!あたしは有頂天になって、積み木をたくさん積んだ。


入江くんに初めてキスされた日。
―びっくりして、でもよくわからない入江くんの気持ちに、あたしはふわふわした気持ちで、変な場所に積み木を置いたかもしれない。


入江くんと初めてのデートで、「きらいじゃない」と言われた日。
―もううれしくてうれしくて、一生入江くんを好きでいよう思って、積み木を一気に安定感など全く考えずに、10個以上高く高く積み上げた。


入江くんが裕樹くんの入院であたしを抱きしめてくれた日。
―あたしは本当に入江くんの存在に安心して、横に横に線路のように積み木を並べたような気がする。


入江くんがお医者様になりたいと教えてくれた日。
―入江くんの夢が叶いますようにと、一つだけ願いをこめて積み木を立てた。


入江くんがお義父さんの入院で、大学を休学すると決めた日。
―入江くんの気持ちが痛いほどわかって・・・何か力になれないかと、積み木と積み木を重ねて包み込むように積み上げた。



そして――――。



入江くんが、沙穂子さんとの婚約を決めた日。
―カタッと音をたてて、どの場所かわからないけど、積み木が一つ崩れた。


入江くんと沙穂子さんのデートに出会った日。
―今まで積み上げた積み木を、自分で全部壊してしまいたくなった・・・・。



不器用で計画性のないあたしは、あの頃、もうただ入江くんに関して一喜一憂する度に、積み木を積み上げていた。
お城にはほど遠い、ただ意味なく積み上げただけのもの。
見た目も悪く、安定感もない。
その先に何ができるのか、何があるのか、積んだあたしにさえわからない。


そこに現れた、大きな正方形の立方体。
縦に転ばしても、横に転ばしても、何も変化がなく、ただその存在の安定感が目立つ。
ゆるぎない完璧なもの。

それが、沙穂子さんの存在だった―――。


どこかひとつ積み木を取れば、あっという間に崩壊していまうあたしの積み上げたお城は、こんな完璧なものの前でどうすることもできない・・・・。
どうすることもできなかったのに・・・・。


そして今でさえ、うまく頭の中でイメージしたものが再現できないバカなあたし。
あたしは今でもちゃんとしたお城を築くことができないのだろうか・・・・。




「ここにひとつ置かないと、崩れるぞ」



背後から急に入江くんが、ひとつ積み木をとって、ちょうどお城の真ん中あたりに置いてくれた。


「入江くん!帰ったの?」

「積み木遊びか?幼稚園児でももっとしっかりしたもの作れそうだよな」

そう言って、またひとつ、あたしのお城の中に積み木を重ねてくれた。



「入江くん!!」

「な、なんだよ!」

あたしが急に抱きついたから、入江くんがまだ掛けたままだった鞄が、ドサッと音をたてて床に落ちた。

「おかえり~」

あたしは自分の顔を入江くんの顔に擦りつけるようにくっつけた。

「なんだよ、気持ちわりーなー」

そう言いながらも、入江くんの腕があたしを抱き寄せてくれる。


「これって、なんかの城?」

「そ、そう!!わかる?」

こんな意味なく積み上げたものを、入江くんがお城とわかってくれて、あたしはものすごく興奮する。

「おまえの城って・・・、ホント、計画のない造りだな」

そう言って、入江くんがまた積み木をひとつ、不安定な場所にぐいっと差し込んでくれる。


あたしはその様子を見て、顔がニヤニヤするのを止められない!


そうなんだ。
そうだよね。


あの時も、入江くんが、あたしのめちゃくちゃに積み上げた積み木の隙間を、最後に全部埋めてくれたんだよね。
あたしの積んだ積み木のお城は、完璧でなかった。
だけど、そんな不格好な積み木のお城を、入江くんがその手でしっかりしっかり補ってくれたんだよね。


あたしは一人でずっと積み木を積み上げてきたんじゃなかったんだよね――――。



あたしはなんだかこみあげてくる喜びを抑えられなくって、飛び上がって入江くんのほっぺにキスをした。
入江くんはびっくりした顔をして、自分のほっぺを触ってる。
そして、いつものように、ちょっと意地悪な顔をして、ぐいっとあたしを抱き上げた。


「ひゃああ」

突然浮かび上がる身体にびっくりして、思わず足をバタバタとさせるあたし。



ガタガタガタガタ――



バタつくあたしの足にあたって、積み木のお城が見るも無惨に崩れてしまった・・・。


「ばーか」

入江くんが舌を出して、あたしのことを嘲笑う。


入江くんに抱き上げられ、入江くんと同じ目の高さから見下ろす、崩れたお城の積み木たち。

こんなにたくさん積んでいたっけ?
あまりの数に、ちょっとびっくりするあたし。

もしかして入江くんは、いつもこの高さから、全部見えていたの・・・・?


「ねえ、今度また、一緒にお城造ってくれる?」

ちょっとぎゅっと入江くんに頬を寄せて抱きしめて、頼んでみる。


「おまえと造ったら、一生かかっても完成しねーし」

入江くんの意地悪な流し目はいつもと一緒。


まあ、いいか。


たくさんの積み木を見下ろして、なんだかあたしはお腹いっぱいの気持ちになる。
そして、完成しない積み木のお城を、あたしはまた、懲りずに造ろうと思った。

その土台は、愛情たっぷりに―――。


抱き上げられた高い位置はまるで天国のようで。
下界の積み木を見下ろしながら、あたしと入江くんはどちらともなくキスを繰り返した。




**********

本当はこれの前にもう一つ「琴子日記」があって、それが超くだらない注意書き必要なもので!
それをUPするか、これをUPするか、小一時間「こっち」「あっち」「こっち」「あっち」と悩み抜きました(ひまなのか)。

でもやはりまだブログ再開したばかりなんで、自重して先にこれをUPすることにしました~~・・・・ってどうでもいいあとがきですみません(^^;)






COMMENT

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
by
2010/03/20(土) 21:39 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
>ぴくもんさま

こんばんは。「琴子日記」はだんだん時期も設定も初めの方から狂ってきてますが(笑)、基本的にかなり自由に書かせてもらっているので、今回も琴子がこんなことまで考えるか?と思いつつ・・・かわいいっておっしゃってくださって、うれしかったです。そうですよね、直樹が一人で造ったら、きっと美しいけど何か物足りないお城になったと思います。ぴくもんさんの視点を読んで、改めて思いました☆すごいです(^_^)v

>繭さま

こんばんは。琴子いじらしく見えました?うれしいです(^^)崩れても懲りずに、そして間違えても修正して・・・二人はこれからも積み木を積み上げて、お城を造っていってほしいですね♪って!全部繭さんの感想でなるほど!!と思わせてもらったのですが(笑)でも私は琴子視点がどちらかと言うと書きやすいですね。

>maroさま

こんばんは。レス不要とのことでしたが、ご質問の件だけお返事させてください~。「そうです!」(笑)←お返事です。

>くーこさま

はじめまして。コメントいただき、ありがとうございます(*^_^*)「琴子日記」は本当に自由に書かせてもらってるので、かなりいろんな妄想広がっています。入江くん、かっこいいとのコメに、とってもうれしく、また張り切って書いちゃいそうです~♪これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

>愛結美さま

こんばんは。もう一つのお話は、本当にくだらないんですよ(苦笑)。でも、私は近々UPします!系統的には、「熱」「鼻血」そしてそのくだらないもので、「三部作」って言ってもいいと思います(爆)。これで見当がおつきかと思いますが、呆れずにこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m
by chan-BB
2010/03/20(土) 23:35 [Edit
コメントありがとうございます(*^_^*)
なおき&まーママさま

こんばんは。たくさんの感想を本当にありがとうございます。もう、満喫させていただきました(人´∀`)
いつも書き上がってみてから、いったいどこからこんな話書こうと思ったのか?と思い出せないんですが(かなりきてます)、二人の関係と積み木のリンクの反応していただき、とってもうれしかったです。あー、でも直樹確かにちょっと前から見てたような気がしますね(納得!)
リレー企画もまだまだこれからのもので、どうなるか私もちょっぴり不安なのですが、直樹の心情に添うように、がんばって妄想していきたいと思います(^_^)v
動物園も、多分ここでUPすると思います(もう全部できてるのですが)。かなりバカップルな二人が展開されるので(^^;)またこれも読んでやってください。それと「濃い・・・」のくだりに、ぶぶっ!と吹き出してしまいました。いや、私もまさに同感です(^^;)あはは。やはり。
そして私もいつもパトロールは欠かしていませんので(^m^ )
今後ともよろしくお願いします♪
by chan-BB
2010/03/20(土) 23:50 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
藤夏さま

こんばんは。ゆっくりじっくり読んでくださって、ありがとうございます(^^)/自分でもなぜ「積み木」って題材にしたのか・・・本当にヤバイくらいに思い出せないんですよ・・・(^_^;)でも原作を読み直しながら、二人の軌跡を辿ってエピにいれたことは覚えています。だから十巻までを超スピードで読んだような気持ちと言ってもらえて、とてもうれしいです(*^_^*)私も藤夏さんの創作にいつもとても感化されてしまってますよ♪そして萌えなコメも相変わらず大好きで(笑)。藤夏さんの創作も読みに行かせてもらいます♪
by chan-BB
2010/03/22(月) 20:48 [Edit
拍手コメントありがとうございます

嘉村さま

はじめまして。しっかり読んでくださっていて、めちゃくちゃうれしいです♪このお話以外にも「ドロップ」や他の作品、お名前あげてくださって感激です☆こうやって読み返してくださってる方がいるんだな~と思うと、またがんばろうって気持ちもわいてきます(*^_^*)
「積み木」は、ちょっと琴子の思考が大人っぽいかなと思ったので、言動をかなり甘めにした記憶があります(^^;)今読み返すと、結構甘いですね~(笑)でも楽しんでいただけて、本当にうれしいです☆そして、ええ待っておりますとも♪またお気が向いた時には、突然コメしてやってください~(^^)/ありがとうございました。
by chan-BB
2011/07/28(木) 13:17 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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