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2018.08.03 *Fri*

白いシャツの君


久しぶりのUPです。ご無沙汰しております。
もう、全然お返事もできていないし、顔を出すのも申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが(ごめんなさいm(_ _)m)、久々に書いてみました。

ぴくもんさんのブログをお読みになった方も多いと思いますが、この前今年二回目のオフ会を二人でしまして、そうするとプライベートの話も多いのですが、やはり創作の話もちらほら。
そしたらなんだかやたらとブログに記事をUPしたくなって!
やはり触発されるものですね。
オフ会報告は、私は写真もどうも下手でいまいちになるのでぴくもんさんにおまかせしました。楽しいひとときでした。
読ませてもらうとまたむくむくと私も記事をUPしたくて!
ほぼ無理矢理書きましたw

・・・・・・・・・・・・・・・・

「えーーっ!?琴子、また告られたの?」

「どうしたの?モテ期到来!?」

大学二回生の夏の終わり。
ここは大学近くの喫茶店。
琴子は、清里旅行のお土産をじん子と理美に渡すためにここに集まっていた。

「この前武人くんとの一件があったばかりなのに、琴子最近、どうしちゃったの?」

「わかんない・・・」

琴子はクリームソーダ―をストローですすりながら困惑した顔をしている。
自分でもなぜこう続けて告られるのか不思議で仕方なかった。

「で、もう断ったの?」

「どうせ、入江くんに敵う人なんていないんでしょ?」

じん子と理美もクリーム―ソーダ―をストローでつつきながら、気だるそうにとりあえず問うてみる。
かなりいけてた武人でさえ、入江直樹の存在には太刀打ちできなかったのだ。
勇気ある新参者が、それを打破できるわけがない。

「まだ、何も・・・」

「『何も』って何?」

「まだ、返事してない・・・」

じん子と理美は顔を見合わせた。

「「ええええ~?ええ~?」」

武人の件で、琴子が片思いから脱却できなくても、改めて直樹が好きだということを思い知ることになったのがついこの前。
なのになぜ、また、新参者を保留にするのか・・・。

「なんで?なんで?そんなにカッコ良かったの?入江くん以上に?」

「ま、まさか、清里で入江くんに今度こそ激しく振られたとか?」

じん子と理美は、身を乗り出して琴子に聞く。
琴子はもうなくなってしまったクリームソーダーを名残惜しくストローで吸い上げようとしていた。
そのストローを理美に取り上げられる。

「ん、もう!飲んでないで、ちゃんと答えて!」

「う、うん・・・」

「カッコ良かったの?」

と、理美は今度は琴子の腕をとって聞く。

「うん・・・。どうかな?実はあんまり顔を覚えていない」

「はあ?顔も覚えていない?やっぱ、なんか入江くんへの腹いせ?入江くんにこっぴどく振られたの?清里で」

「いや、別に改めて振られてはいないけど・・・。でも、全く進歩もないというか・・・。清里で入江くんはモテモテだったから、ちょっと自信は失ったけど・・・」

「もう!なんか歯切れ悪いわね!」

「ただ・・・」

「『ただ』なに?」

「その人が着ていた服が・・・」

「服?」

「その人が着ていた服が、白いシャツだったの」

「「・・・はあ・・・?」」


そのあと、琴子は急に流暢に頬を紅潮させながら話し出した。
琴子は少女マンガの中に出てくる白シャツ、ジーンズが良く似合う男性が好みなのだと言う。
少し古いが田淵由美子、岩館真理子がよく描いていたような男性を思い出してくれと。
長身、細身、足長、さらりとした髪、それはまさに直樹そのものだとも。
そして直樹こそが、白シャツ、ジーンズが一番似合う現実の人だとも。
しかし、意外に直樹はそのような服装をしてそうでしていないと鼻息を荒くした。

「ああ見えても、入江くん、結構今はやりの服を着てるのよ!派手な太陽の柄とかね。でも、まあそれはそれで似合ってはいるんだけど」

少しため息をつく琴子に、じん子は聞いた。

「で、その告ってきた男が、白シャツがカッコ良かったから、ちょっと付き合ってみてもいいとか思ったの?」

「え?いや、別に。ただ入江くんが着たらいいなっていう白シャツを着てたから、なんかそこに目がいってそのまま・・・」

「そのまま?」

「あ、次の日曜日に、この喫茶店で会わないかって言ってたな。どうしよう?またあの人、白シャツ着てくるのかな?あの白シャツ、入江くんが着てくれたらいいのに・・・」

じん子と理美は目を見合わせた。
そして暗黙の了解のようにお互い頷いた。

琴子は、本当にその白シャツの男のことなど多分ろくに顔をも覚えていないのだろうと二人は推測する。
琴子は、その白シャツを見て、直樹がその白シャツを着ているところを心に描いて、どこか自分の理想の好みの服装で直樹が告ってきたかのような疑似体験をしているのかもしれない。
馬鹿だ。本当に馬鹿だ。
でも、それが琴子なのだ。

「琴子、悪いけど、もう一回その話、してくれない?」

「え?何?何を?」

「その告った男が、白シャツを着ていたというところから。そして琴子がどれだけ、白シャツの男性が好みかと言うところをもう一度」

「なんで?」

「もう一度しっかり聞きたいから」

「変なの~。でも、ま、いいか。あのね~、あたしね~、田淵由美子や岩館真理子のマンガの中に出てくるような白シャツの男の人が~」

琴子が再び頬を紅潮しながら話し始めたと同時に、理美の合図により、じん子は鞄の中に持ってきていた小型のテープレコーダーを動かせた。
それはたまたま用意していたものではなかった。
直樹の母、紀子から託されたものだった。
清里で、自分の知らない間に、琴子と直樹の間に何か進展、もしくは事件があったかもしれないから琴子の話を録音していてほしいと。
この前、予想外に武人に告られた琴子だっただけに、紀子は少し琴子の身辺調査をきつくしていたのだ。
頼まれたときはそんな大がかりな・・・と思っていた二人だが、まさかここでそれが役立つとはと使命感に燃えた。

琴子の白シャツ談義は30分にも及んだ。
その話だけを聞くと、まるで琴子は、白いシャツを着ているだけで、その男性を好きになってしまうというようにも聞こえた。





次の日曜日。
琴子は、また同じ喫茶店にいた。
その白シャツの男性に会うためだ。

別に絶対に会うつもりはなかった。
が、しっかり断るにしてももう一度話してみるのが筋だと、じん子や理美に強く言われ会うことにしたのだ。
喫茶店には、じん子も理美も居る。
それは琴子も了承だった。
もしかして怪しい人だったなら、二人がなんとか助けてくれるからだ。
そしてじん子と理美の後ろの席には、いつもの見慣れた変装をした紀子が居たが、琴子は全く気付いていなかった。


「琴子さん、今日は会ってもらえてうれしいです」

「あ、こ、こんにちは」

琴子はおどおどとその男の顔を見た。
初めて見たような気がした。
この前は、やはりちゃんと顔を見ていなかったのだと改めて気付いた。
そして、その日も男は、白のYシャツだった。
そう。琴子の好きなマンガに出てくるようなノーアイロンのカジュアルな白のYシャツだ。
ボトムは当然洗いざらしのジーンズだった。

琴子は、その男の背後に緑の葉が見えてきた。
その当時の爽やかな少女マンガの背景は、いつも眩しいような葉っぱが多かったからかもしれない。


「ぷっ!ヤ、ヤバイ!琴子、ちょっと目がハート」

変な錯覚を起こす琴子に、理美は笑いが止まらない。

「理美、しーっ!」

そんな理美をじん子が阻止した。
二人は背後をゆっくり見た。
紀子が、直樹以外の男に頬を緩ませている様子を見て、ハンカチを噛みしめていた。

「お、おばさん、琴子は、決してあの男が好きなわけでなく、ただ白シャツに入江くんを反映・・・」

理美が紀子に弁解をする。

「わかってるわ。あたしはただ、ただ、こんな状況なのにお兄ちゃんが何もしていないことが悔しくって!お兄ちゃんの心に火を付けようと、白シャツの男を語る琴子ちゃんのテープを聞かせたのに、お兄ちゃん、何もしないなんて・・・」

「え?あのテープ、入江くんに聞かせたんですか?」

「あたしの予定だと、ここでお兄ちゃんがやってきて、『おい、おまえ誰だ!?琴子は、おれの女だけど?何か?』ってなるはずだったのよ!」

「え・・・、それは入江くんに限って絶対ない・・・」

「しーっ!理美、刺激しちゃダメ!」


しかし、その時、喫茶店のドアが開いてカランカランとチャイムが鳴った。
なんとなく慣れた音なのに、みんなはそちらに振り向いてしまった。
不思議な風が吹いたように思えたからだ。


「い、入江くん!!」

琴子が、激しく音をたてて立ち上がった。
風は直樹から吹いているように感じた。
みんなが直樹を見ずにはいられないような不思議な風だった。

直樹は声を掛けた琴子をちらりと見た。
が、特に反応を示さず、奥の席に歩いて行った。
そして、紀子のいるテーブルにズンと足を組んで座った。

琴子は、ふらふらと歩き出した。

「こ、琴子さん・・・?」

白シャツの男が声を掛けたが、琴子は全く反応しなかった。
琴子の目は、その熱く潤んだような目は、直樹だけを見ていた。
琴子の速い鼓動が誰にでも伝わるかのように、琴子は肩で息をして直樹に近付いた。


「入江くん」

直樹はゆっくりの琴子の方を振り返る。
が、何も声を発さなかった。

「入江くん、入江くんは、この世で一番白シャツが似合う」

琴子は、少し声を震わせながらそう言った。
その目は、もう世界でこの男しか見てないという真っ直ぐな熱い目だった。

その日、直樹は一点の曇りもない白のTシャツにジーンズ姿だった。

「やっぱり、入江くんのカッコ良さは人類一。大好き!大好きだよ!」

琴子は自分に確認するかのようにはっきりと言葉に出した。
琴子はデートしている男を放置し、直樹に告白したのだ。
じん子と理美は呆気にとられる。
紀子は感涙。

直樹は特に何も言わず、ただ小さくほくそ笑んだ。


カシャ―








「もう、このお兄ちゃんのドヤ顔!もういつ見てもサイコー!」

「神々しさを感じます。ああ~、白シャツの入江くん、ホントにすてき~」

「やめろ!毎年毎年、この写真出してきて、何が楽しいんだ!」

直樹は紀子の手から写真を取り上げ、その場で破り捨てた。
一体この写真、何回破り捨てればいいのか・・・。

あれから何度も夏が過ぎ、毎年恒例の清里での避暑生活の間、必ずあのとき撮られた直樹のドヤ顔写真が登場する。

「お兄ちゃんったら、琴子ちゃんが白シャツの君にとられるんじゃないかと、あの喫茶店に必死で駆けつけたのよ」

「違うだろ!おふくろが、無理矢理呼び出したんだろ!来ないとおれの一人暮らしのマンションを解約するやら、興信所をつけて毎日観察するやらおどしただろ!」

「でも、敢えて白シャツを着てきて、恋敵に対抗したのは、お兄ちゃんの作戦よ」

「きゃあああん~~///」

琴子は、甘い声を出して身悶えした。

「たまたまだ!」

直樹はそれでも否定するが。

「でも、何が笑えるって。お兄ちゃん、白のTシャツ着てきてるの!琴子ちゃんが好きなのは、白のYシャツの男性なのに〜。間違えちゃったの。お兄ちゃんらしくない〜」

「でも、白のTシャツの入江くんもサイコーにカッコイイです~」

「このとき、もう夏も終わりだっていうのに、お兄ちゃんったらTシャツだなんて、もうちょっと失敗よ~。でもそこがまた笑える~」

紀子にかかると、直樹のプライドはもうズタズタだ。

「うるさい!もう、おれは帰るぞ!」

「いや~。入江くん、帰らないで~」

琴子が直樹の腰に抱きついて引き留める。
その様子をまた、紀子がカシャカシャカメラに収める。
直樹は、顔をしかめた。
何でもできる直樹でも、この二人に対しては、何をどうすればこの場がおさまるのか見当もつかない。


「パパってさあ」

その時、小学六年生になった琴美が、毎年のこの様子を見ていて、初めて口を開いた。
直樹も琴美の発言は気になるのか、冷静に視線を向けた。

「パパって、ホントにいつもカッコ良くて自慢のパパだけど」

「うんうん」

琴子がその通りだと深く頷く。

「ママが絡んだら、ギャグっぽくなるよね」



珍しくみんなシーンとした。
場がおさまった。




**********

久々の創作なんで、めちゃくちゃ筆が重い気がしました。
テンポ悪いし、なんか違う、なんか違う・・・。
でも楽しかったです。
楽しくてのってきたときに、毎度のことですが家族帰ってきて・・・(T_T)
明日になったらまた書く気力なくなりそうなんで、無理矢理こそこそと仕上げました。
またこれを機に書けたらいいのとは思います。
つーか、続きものの話の放置とお返事がやはり気になるところです・・・。

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