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2016.10.12 *Wed*

Blue Diary (前)



この話は原作とは違う設定にしています。
イリコト、中学時代。
すでに出会っていて、同級生です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あ、入江くん、今日はバスが一緒だったね」

「・・・・・・」

「偶然だね。途中まで一緒に帰れるね」

本当は偶然なんかじゃないんだけど。
あたしは学校からずっと入江くんを追ってきた。
今日は、滅多にない部活の休みの日。
入江くんもあたしもテニス部なんだけど、今日は先生達の研修の日でどの部活も休みで、授業が終わって一斉下校の日だったんだ。
まだ時刻は昼の3時半。
こんな時間に入江くんとバスで一緒になるなんて滅多にない。
あたしは実はかなり二人きりを期待して、バスに乗り込んだのだ。

そんな入江くんは、声をかけたあたしの方をチラリと見ただけで、また視線を車窓の外に向けた。
あたしは、入江くんの後ろの席に座る。
そして同じように車窓から外を見る。
ああ、今同じ風景を見ているんだなあ。
でも、あたしの方が少し後ろに座っているから、視界に映っている景色は少しだけ違うのかなあ。
でも、でも、今、同じバスの中の空気を吸って、そしてほぼ同じの光景を目に映しているのは確か。
そう思うだけで、胸の奥がきゅううんとなんとも言えない幸せな音を立てる気がする。


「今日は、終点まで行ってみる?」

「・・・え?」

「おれ、このバスの終点まで乗ったことない」

入江くんは前を向いたままだけど、そう声をかけてきた。
そう。あたしに言ってきたのだ。
車窓に映った入江くんの目が、また車窓に映ったあたしの目にぴったり視線を合わせている。
間違いなくあたしに言っているのだ。

「あ、あ、あたしも、終点まで乗ったことない・・・」

びっくりしちゃって、そんなことだけしか言えなかった。
もう胸がドキドキして、顔が熱くなって・・・。
入江くんは、何事もないようにまた車窓から外を見ている。
あたしは・・・、また車窓を通して視線が合うとどういう顔をしていいかわらかないから、柄にもなく下を向いてしまった。
下を向くと、なぜかさらに顔に血が上る気がして熱くて熱くて・・・。


「着いたけど」

「・・・え?」

あたしが顔を上げたのは、それからどのくらい時間がたったのかわからないころ。
入江くんの声で、あたしはふと夢から覚めた気がした。

「降りるぞ」

「う、うん」

でもこれは、夢ではないんだ。



実は、入江くんとあたしは付き合っている。
中学の入学式であたしが一目惚れして、それから三度入江くんに告白をした。
一度目は、完全無視で声もかけてもらえず。
二度目は、ラブレターを渡したら、それの誤字などを添削したものだけが返ってきた。
それでも諦めず、三年生になった春に、もう一度入江くんを待ち伏せして告白してみたのだ。
そしたら、

「付き合ってること、誰にも言わないんだったらいいよ」

えええええーーーーっ!!?
付き合うことを夢見て告白していたんだけど、まさかそんなOKをもらえるとは思わず、あたしは宝くじが当たったときよりきっと驚愕の声を発してしまったと思う。

「な、なんで付き合ってくれるの?あたしのこと、入江くんももしかしてちょっと好き・・・だった?」

「いいや。ただ人生の経験上、そろそろ女子と付き合ってみるのも良いかなと思って」

つまらなそうな顔をしてそう言われた。

「え・・・、あ、ああ、そうなの。でも、あたしで、あたしでよかったんだよね?」

「三回も告ってくるやついなかったし」

「あ、そ、そうなの。あははは」

「でも周りに騒ぎ立てられたくないから、秘密にしてくれなきゃ、この話はなかったことに」

「秘密にするよ!絶対、絶対、秘密にする!」

入江くんもあたしのことを好きだったわけではなさそうだけど、それでもこんなチャンスを逃してはいけないと、あたしは入江くんの条件をその場ですぐにのんだ。
入江くんは、全国でトップの成績をとる天才で、そしてもう誰もが振り向いてため息をつくようなイケメンだ。
それに比べてあたしは・・・、成績は下位だし、顔も自分で言うのもなんだけど本当に人並みで・・・。
あたしも周りに騒がれたくないのは同じだから、この条件はもしかしたらあたしにとっても好条件なのかもしれないとそのときを思ったのだ。

でも、周りに秘密にするってことは、学校でも部活でもなかなか話しかけることができず、あたしは入江くんが学校で一人になったときを見計らって、通りすがりに何か話しかけるくらいで、家族にも内緒だから電話もしたことがなかった。
だから、告白したのは春で今はもう秋なのに、夏休みも含めあたしたちは秘密のカップルだけに一度もデートをしたことがない。
それが、今日!
まさかの、まさかのバスデート!?
いや、今からバスを降りるから、本当のデート!?
今も同じ斗南中学の生徒はバスに乗ってなかったし、とうとう二人っきりでデート!?


「あれ?ここ、まだ東京?」

「あたりまえだろ」

バスを降りたら雪国だったくらいを想像していただけに、周りの風景はめちゃくちゃ普通だった。
あたしたちの家や学校があるところよりやや郊外っぽいというか、家はたくさんあるけど、ちょっと草木が多いような気がする。

「スタバとかカフェがあったらいいんだけど・・・」

あたしはキョロキョロする。
でもここには、スタバやカフェがありそうにない。
喫茶店ならあるかもしれないけど・・・、喫茶店は中学生にはハードルが高すぎる。

「なんかあの辺、紅葉してる。あの辺り、行ってみる?」

「え?え?紅葉?」

入江くんが指を指したのは、ちょっと高台にあるところだった。
確かに樹木が紅葉している。
山?公園?
ううん、もうなんでもいい。
入江くんと一緒に行けるなら、もうどこでもいい。

「行ってみよう。紅葉見たいよね」

あたしがそう言うと、入江くんはくるりとあたしに背を向けて先に歩き出した。
あたしは慌てて、たたたたとその横に並んで歩いた。
ちらりと隣に歩く入江くんの顔を見上げる。
真っ直ぐに前を向いている。
あたしの方を見てはくれないけど、でもでも、一緒に並んで歩いているんだあ~。
ああ~、幸せ~~。


「あ、入江くん、ススキ!」

しばらく歩くと、家と家の間にちょっとした畑のような土地があった。
その周りにたくさんのススキが生えている。

「秋だね~」

「立派なススキだな」

「ホントだね!入江くんと同じくらいに身長あるね!」

そう言って、あたしはふと思いついた。

「入江くんと同じくらいの高さのススキ、あたし取ってくるよ」

あたしは、思い立ったらすぐに身体が動いちゃう。
すぐにススキの群れの中に入って行った。

「相原!」

「入江くんも来て。入江くんと同じくらいのススキってどれくらい?」

「やめろよ。そんなの取るなよ」

「記念だもん。今日の記念に欲しいもん」

「やめろって。琴子!」

「・・・・・・」

「もう先に行くぞ」

「あ、やだ、待って、待って入江くん!」

入江くんが背中を向けて歩き出したから、あたしは慌ててススキの群れから飛び出した。
入江くんに走って追いつきながら、あたしはドキドキしていた。
今、今、入江くんが、あたしのこと「琴子」って・・・。

「脱線ばかりすると、置いて帰るぞ」

「あ、うん、ごめん」

今、「琴子」って言ったよね?って聞きたかったけど、ちょっと入江くんの機嫌が悪そうだったので切り出せなかった。

「でかいススキなんて取って、帰りのバスとかどうするつもりだったんだ?」

「あ・・・」

何も考えてなかった。

「バーカ」

あ、入江くんが、あたしの方を向いた。

「おまえの頭って、本当に短絡的。後先何も考えてない」

「う・・・。そうだけど」

「おまえがあんな大きなススキ持って歩いていたら、まるで魔法使いのほうきのようだ」

「魔法使いのほうき」

あたしは、思わずなるほどと思ってしまった。

「想像したら楽しいね。ほんわかするね」

あたしは、入江くんの言葉がとてもステキだと思って、そして嬉しくなって思わず入江くんの制服の腕を掴んでしまった。
入江くんが、そのあたしの掴んだ腕に視線をやった。
あ、怒られるかも・・・と、あたしはすぐに腕をひっこめた。
そしてまた、入江くんの顔色をうかがうかのようにそっと入江くんの顔を見つめる。
入江くんは、笑っていた。
入江くんが笑っていて、そしてあたしは、もうもう、嬉しくってくるくる回って天に飛び上がって行きたい衝動に駆られる。
でも、そんなことしたらまた愛想尽かされそうなんで、ぐっと我慢する。
でも、嬉しくて口元が緩んで仕方がない。
緩むのを見られたくなくて、あたしは、ずっとずっと下を向いて入江くんの後に着いて歩いた。



**********

後半もほぼ書けていますが、もうちょっと推敲してみます。
短編で軽くと思っていたのに、思いがけず長くなってしまいました(^^;)
タイトルを「中学生日記」と迷いましたが、「Blue Diary」の方が露骨に青いかなと!w

コメントのお返事も滞っていますが、少しずつお返事させてもらっています。
いつも遅くてすみません。

COMMENT

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2016/10/12(Wed) 17:15 | [Edit
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2016/10/12(Wed) 17:35 | [Edit
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2016/10/12(Wed) 17:56 | [Edit
コメント&拍手コメントありがとうございます

紀子ママさま

めちゃくちゃ遅いお返事、毎度すみませんm(_ _)m
今回もありがとうございます。
結構いろいろなイリコトを書いてきたので、ふと初心に戻ったかのような二人を書いてみたくなりました。
タイトル通り青いです(笑)。書いてて思ったのは、どの時代でも琴子ちゃんの入江くんへの気持ちは一貫したものがあるので割と書きやすい!ということです♪包丁持つ鬼婆・・・爆!紀子ママさんの発想もいつもながらすばらしい!


マロンさま

またまた遅いお返事でごめんなさい。いつもありがとうございます。
イリコト中学生はまだ書いたことがなかったので、かなり加速して書けました。
そうですよ、これまたなかなか妄想を駆り立ててくれたのです( ̄m ̄*)
ま、私の話にありがちで、琴子ちゃんはずっと入江くんを好きだけど、入江くんはどのくらい?的な始まりであります。
でも入江くん、本能で琴子ちゃんを欲しているのですよね~(*^_^*)青い入江くん、いつ書いても楽しいです。


たまちさま

毎回遅いお返事ですみませんm(_ _)m今回もありがとうございます。
タイトル通り、青い二人、特に青い入江くんの話であります♪
まだまだ自分の気持ちがわからない入江くんだけど、本能で琴子ちゃんに惹かれて欲しているのだと思います。中学生時代からこんな野獣化していて大丈夫かな?(笑)
中学生設定にすると、あからさまにへんてこな初々しさが描けて楽しかったですよ~。ほんわかしてもらえてよかった~。


Yunさま

いつも遅いお返事ですみませんm(_ _)m
青さ全開の中学生イリコトを妄想してみました。これがなかなか筆が進んで!
バカップル初級編って感じですね。ふふふ。


コメリクさま

はじめまして!メッセージいただいたのに、こんなに遅いお返事でごめんなさいm(_ _)m
子育て世代のお母様が、ここで少しでも胸きゅんしていただけたのならとってもうれしいです。
中学生カップル、また書くかもしれないので、たまにのぞきにきてやってください(*^_^*)
2016/12/14(Wed) 11:18 | 千夜夢 [Edit

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千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

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