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2014.10.22 *Wed*

青い偶像(前)



イタキス期間2014

青いシリーズ・・・・・・なんて、そんなカテゴリなかったか(笑)。
・・・・・・・・・・・・・・



「おはよう」

「あら?お兄ちゃん、風邪引いたの?声が・・・」

「いや、別に」

おれはおふくろの顔も特に見ず、キッチンのテーブルについた。

「風邪ひいてないには、声がかれているわね。何か喉を使うことしたの?」

「別に」

「『別に』『別に』って、明らかに声がおかしいから。熱は?」

「ないってば!」

「きゃっ」

おれの額に触れようとしたおふくろの手を阻止しようと、おれは顔を急に傾けた。
するとおふくろの持っていたコップに、おれの肩があたった。
コップの中のおふくろが作った野菜ジュースが、テーブルに少しこぼれ落ちる。

「お兄ちゃん、危ないわよ、もう」

すぐにテーブルを拭きながらおふくろは言う。
ごめん・・・と謝りたかったが、なぜかおれはその言葉を飲み込んでしまった。
それどころか、とても不快な目でおふくろを睨んでしまったような気がする。


「ママ」

明らかに不愉快な顔をしたおれを見たせいか、親父が口を挟んできた。

「直樹は、きっと声変わりだよ。変声期」

「・・・え?」

おふくろをは、テーブルを拭く動作をやめ、口をぽかんと開けた。

「中一だから、きっと変声期だと思うよ。だから、心配することないよ」

「こ、こ、声変わり・・・」

おふくろは、何とも言えぬ困惑した顔をした。
おれはその顔を見て、またひどく不快な表情を浮かべそうになった。
だから、

「行ってきます」

「え?お兄ちゃん、もう?まだしっかり食べてない」

「遅れるから」

おれは、その場を逃げ出すように登校することにした。
「いってらっしゃい」とおふくろの声を背中で聞き、おれはすぐに玄関へと向かい、靴を履いた。
そして聞かなくていいのに、なぜか耳を澄ませてキッチンのおふくろたちの会話を声を聞いていた。


「なんだか寂しいわ。お兄ちゃん、大人になっちゃうなんて」

「順当な成長じゃないか。ありがたく思わなくちゃ」

「でも、でも、あたしの可愛いナオちゃんの面影が、もうこれで完全に・・・」

「直樹は、きっと精悍な男性になるだろう。わしは、とても楽しみにしているよ」

「もう、パパったら、パパは、あたしのこの寂しい気持ちをわかっちゃいないわ」

「子の成長に、寂しさと嬉しさの相反する感情を持って当然。それも味わい深いと思わなくちゃ」

「はあ・・・、お兄ちゃんが大人になっていく・・・」


おれは決して両親が、家族が嫌いではない。
おれに惜しみなく無償の愛を与えてくれていると思っている。感謝している。
しかし・・・。
今は、とても面倒に思うことが多い。何がどう面倒かはうまく説明できない。
ただもどかしくてたまらなく、時には心の中がぐにゃぐにゃとえぐられそうになる感情を抱くことがある。
それが申し訳ないやら、それを少しは気づいてほしいやら・・・。

そしてきっと、本当におかしいのは、おれの方だと自分で気づいている。







「入江くん、おはよう」

「入江、おはよう」

「入江くん、昨日はテレビとか観た?」

友達にあいさつするのは当然のことだろう。
だけど、こう次々と声をかけられると、どうしてもおれの口は重くなってしまう。
どこまでが友達なのだろう。
よく知らない者まで、声をかけてくる。
同じ中学に通う者は、全員友達になるのだろうか。
それが普通なのだろうか。


「入江くん、おはよう」

「おはよう」

そんなあいさつの有無を考えていたとき、またすぐに声をかけられ、そしておれはすぐにあいさつを交わした。

「数学の宿題した?私ね、一つワークでどうしてもわからないところがあって、入江くんに聞きたくって」

「どこ?」

「えっとね」

そう言って、鞄の中から数学のワークを取り出そうとする彼女は、白石沙綾。
今のクラスでおれが委員長で、彼女が副委員長だ。


-「あ、入江くんとサーヤ!また朝一緒だよ」
-「付き合ってんのかな?」
-「入江くん、女の子だとサーヤにだけちゃんと話すよね」


歩きながら、周りからそんな声が聞こえてくる。

「あ、入江くん、ここのステップアップ問題。解答と照合しても、どうしてもこの値にならなくて」

「ああ、それ、解答が間違っている」

「え?解答が?答えの本が間違ってるの?」

「白石の書いた答え見せて」

おれは白石からワークを取り上げた。

「ほら、白石の答えであってる。解答が間違っているだけ」

「そうなの?私の答えであってるの?」

「うん」

「よかった。私、自信なくて・・・、入江くんに言ってもらえて、やっと安心した」


-「サーヤのお父さんって、冗談社の社長なんだって」
-「え?すごい!入江くんのお父さんも、パンダイの社長でしょう?二人とも大会社の社長の親を持つんだ」
-「悔しいけど、サーヤも入江くんに釣り合うくらい頭良いし、顔もね・・・」
-「サーヤって色白で品があるから、日本人形みたいだもんね。男子にももてもてだしね」
-「サーヤになら、入江くんもっていかれても仕方ないかも・・・」
-「もう、付き合ってんじゃない?毎朝、いつもこうして一緒に登校しているし」


ふ~ん。
そんな風に周りから思われているんだ。
と、冷静におれは外野からの声を聞いていた。
確かに最近、おれは白石に声をかけられ、それから一緒に登校することが多くなった。
女子は基本的うるさくて嫌いだが、白石にはそういう意識はない。

「入江くんには、もうこんなワークは簡単すぎるんだろうね。どんな参考書とかで勉強してるの?」

「何もしてないよ」

「ウソ?だって、私には見たことない問題でも、すぐにすらすら解けるじゃない」

「教科書とワーク以外、見たこともないよ」

「そうなんだ。それはもしかしたら基本なのかもね」

しみじみとおれの話に耳を傾けて頷く白石。
他愛のない会話だが、イライラさせる感じはない。
わざと話を振ってきている感じもないし、それに会話が途切れても無理に話を続けようともしない。
正直楽だ。


-「やっぱ付き合ってるよ。だって入江くんが、一緒に歩いて嫌がってないもん」
-「やだ~、付き合ってないって言って~」
-「でも、お似合いすぎて、間に誰も入れないよ~」


女と付き合うなんて、考えたこともない。
だけど中学になって、やたらと周りがそういうことに敏感になってきていることは気づいている。
実際付き合ってるという話を良く耳にしたこともあるし。
おれは女と付き合うとかそういうことには、今は全く無関心で、面倒で仕方がないと思っている。
それでもこれから先、おれだって誰かと付き合う日が来るかもしれないとは思っている。
おれの気持ちや意志とは関係なく、このかれた声のように止められない成長や進化はあるのではないかと思っているからだ。

そしておれが、誰か女と付き合うとき、今一番考えられるのは白石ではないかと思っている。
好きとかそういうのではなく、何となく合っている気がする。
頭も容姿も良く、そして建設的な会話ができ、余計な詮索はしない。とても楽だからだ。
おれの好きなタイプ、いや男なら、きっと白石のような女が好きなんだろうなとも素直に思う。

おれは、白石と今後付き合うのかもしれない--。

あの頃、漠然とだがおれはそんな風に思っていた。




しかしおれと白石は、学校内では付き合っていると言われ続けながらも、特にお互い何も言わず、付き合っている事実もなく、中学の卒業を迎えることになる。
そしておれは、中学の卒業のときに、初めて白石に告白された。


「い、入江くんは、気づいていたかどうか知らないけれど、私は中一のときからずっと入江くんのことが好きだったの」

真っ赤な顔をして、おれにそう告白をする白石を見て、おれはただ単に「ふ~ん、そうだったんだ」と思った。

「せっかくの節目だから、告白しておきたかったの。私ね、高校はカナダに留学するの」

「カナダ?何年くらい?」

「きっと高校の間はずっと・・・。だから、入江くんにも会えなくなるから、勇気をもって告白したの」

「そう」

もしかしらおれたち付き合うのかもと思っていたこともあるのに、告白と同時に別れかと思うと、なんだか気が抜けて、こんな場面なのに笑いが漏れそうになる。
おれはぐっと我慢をした。

「入江くん・・・、入江くんは、私のこと・・・」

「何?」

「いや、何でもない。私は、入江くんを好きだったことだけ、思い出に覚えていてくれたら」

「うん。ありがとう。元気でな」


呆気なかった。
中学の間、誰よりも一緒に登校し、どの女子よりもたくさん話した白石だったが、白石は中学卒業時におれの目の前から呆気なく居なくなってしまった。
春の優しい風を感じさせながら、静かに去っていく姿が、白石らしいなと思ったものだ。



そしておれは高校に入り、相変わらず誰と付き合うことなく過ごしていたが、 ある時を境にある女と噂になることになる。
それは中学の白石との静かな関係とは真逆で、激しく騒々しく、そして熱情をぶつけられ続ける非常に疲れる毎日の始まりだった。
そしておれは今回は、揺らぎない直感を持っていた。

こいつとは、絶対付き合うことはない。
こんな奴とだけは、付き合いたくない。


相原琴子--。


なんで、おれがこんなやつと噂にならなければならないんだ-----!?




**********

ホント、青いっすね入江くん!w
後編へ続きます。

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2014/10/22(水) 18:59 [Edit
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2014/10/22(水) 19:00 [Edit
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2014/10/22(水) 21:09 [Edit
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2014/10/22(水) 21:36 [Edit
コメントありがとうございます

Yunさま

こんにちは。そうか!冗談社ははいからさんにありましたか!wすっかり忘れていました。もう青い入江から青江までの展開がすばらしい!私の方が気づいて、変な「縁」を感じちゃってます。ありがとうございます。はいからさん、大好きでした☆(でも忘れている・・・苦笑)
入江くんの周りって、琴子ちゃんが現れるまで、いや琴子ちゃんが現れてからもどうしてもこういう女性が寄ってくるような気がします。後編もコメありがとうございます。またそちらでも♪


ソウさま

「妄想★青い入江の世界」のはじまり(?)です♪w
お祭り期間中なので、いつもより張り切って創作活動しています♪ソウさん、刺激をありがとうございます。
野獣並の青い入江・・・もうたまりませんね!今回は、表向きの青い入江って感じですね。じゃあ裏向きはどういうものなのか?w
同○会には、本当にそれはそれはお世話になっている(現在進行形ですよw)私であります!今後もよろしくお願いします。私もちょっと最近読んだ漫画に、久々に同○会的な要素を感じたものがあり、それをヒントにぜひ形にしたいと思っているんです(*^_^*)ちなみに青いような黒いような赤いようなものですw
お忙しい中、コメントありがとうございました。


たまちさま

コメントありがとうございます。青いシリーズ、本当にどこかにあったような記憶があってw他サイト様だったかも?もう恐ろしいくらい勝手な忘却と置き換えが怖い私であります(^_^;)
入江くんって激しい反抗期とかはないけれど(壁ドンならぬ壁ボン←穴開けw)、ずっと人生ひねくれ反抗期みたいな男ですからね。とはいえ、本当の思春期反抗期が終わったのが、琴子ちゃんを好きなのを受け入れて結婚したときなのかもしれません。でもすぐに嫉妬とかで第二次反抗期もきてましたがw
入江くんの周りには、かなりこういう白石タイプの女の子がいたことでしょう。入江くんも決して嫌いなタイプではなく、でも・・・特に好きでもないんですよね。でもそれさえ良くわかっていない青江直樹!
まだまだ子供で青くてとんがっている入江くんって、私は結構萌なんです~。なかなかうまく文章では表現できませんが、この続きはまた後編で・・・。


ねーさんさま

気になっていただきありがとうございます~♪
はじめは白石さんとの話を淡々と書いていこうかなとも思っていたんですよ。でもやっぱ、白石タイプってあまりおもしろくない!w・・・ってことで、やはり琴子ちゃんに登場してもらいました。
この頃の入江くんって、人を好きになるってどんなことか全くわかっちゃいなかったと思います。でも少しは異性のことも気にならないわけでもなく、付き合うとか考えたりして?(笑)
また後編でも、お返事しますね。
by 千夜夢
2014/10/27(月) 14:39 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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