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新しい記事を書く事で広告が消せます。 昔の名前で出ています(中)2014.09.04 *Thu*
ご無沙汰しています。 本当にいまさらながらの、続きです(汗)。 もうお話もぼんやりとしか覚えておられない方も多いだろうと思いつつ、最後までなんとか書きました。 少し長くなったので後半二話に分けます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
入江家に向かう途中も、琴子とピッピの話は尽きない。 とても久しぶりに出会った者同士とは思えないくらい、話に花が咲いた。 そして琴子ははたとまた、重要な話をしていないことを再び思い出す。 「そうだ、ピッピ。あたし、さっきも言おうと思ってたんだけど、あたしと入江くん・・・」 「ん?なに?」 「け、けっこ・・・ん」 「琴子ちゃ~~~~ん~~~!!」 そこにまさかの紀子の声が割って入った。 「お、お義母さん!?」 「もう、琴子ちゃんが久しぶりに会った幼なじみを家に連れて行くって電話もらってから、あたし、楽しみで楽しみで~」 どうやら紀子が待ちきれず途中まで迎えに来ていたようだ。 「コッコ、この人が入江くんのお母さん?」 「あ、うん。そう」 「まああ。初めまして。琴子ちゃんの懐かしいお友達のピッピちゃんね。さっきお電話でお聞きしたわ~。まあまあ、琴子ちゃんのお友達だけあって、なんてキュートなお方」 「あ、ありがとうございます。はじめまして」 ピッピは元気よく会釈をした。 そして琴子の耳元で囁く。 「すんごいフレンドリーなお母さん。コッコ、気に入られているんだね」 「あ、あたし、実は入江くんと」 「さあさあ、家はもうそこよ。二人とも早く行きましょう。あたし、女の子ばかりのお茶会が嬉しくって、お菓子をたくさん用意したのよ」 またもや琴子は告白を遮断され、紀子に背中を押されて家へと向かうしかなくなってしまった。 「うわーーーーーっ」 家に入ると、琴子が電話してから間もないというのに、まるでパーティーかのようにお茶やお菓子が用意されていて、ピッピは歓喜の声を上げる。 そんなピッピの様子に満足しながら紀子は言う。 「ピッピちゃん、お茶とお菓子を召し上がったら、次はぜひ琴子ちゃんとお兄ちゃんのお部屋でゆっくりお話してちょうだいね」 「え!?コ、コッコと入江くんの部屋・・・っ!?」 ピッピはお菓子を喉につまらせながら驚く。 突然の紀子の発言に琴子も驚く。 が、想定内。 「お義母さん・・・」 紀子は、来訪者にはいつも琴子と直樹の部屋を見るように促す。 自分がプロデュースした「琴子&直樹の愛の巣」を、いろいろな人に見てもらいたいからだ。 すでに数名が、この強引な閲覧会の被害者(?)になっている。 「す、すごいね日本。いつの間にか、彼氏の家に彼女と一緒の部屋が作られるなんて。なんて先進国なの」 「ピッピ、違うのよ」 「もう、百聞は一見に如かずだから、さっさとお菓子持って二人でお部屋でお話したらどうかしら?」 「わあ、そうします」 「お義母さん、ピッピ」 琴子は困った顔をしたが、紀子に素早くお菓子を渡され立ち尽くす。 そしてピッピはさっさと二階へと上がり始めていた。 そんなピッピに紀子はほくほく顔で声をかける。 「ピッピちゃん、ごゆっくりね~。そしてあとで、ぜひお部屋の感想聞かせてね~」 「は~い。ぜひ感想させていただきます」 紀子は小さくガッツポーズをした。 「・・・・・・」 琴子と直樹の部屋を見たピッピは、言葉を失った。 花柄、フリルで満たされた乙女チックな部屋。 メルヘンなのかロココ調なのか、今ひとつそのコンセプトはわからない。 そして何より、目を奪われたのは・・・。 「・・・ここって、ラブホ代わりに使ってるの?」 「もう、なんで!違うよ」 琴子は真っ赤な顔をしてひどく否定したが、豪華絢爛のダブルベッドを見るとどうしてもそういう感じが拭えない。 琴子と直樹が結婚していることをまだ知らないピッピには、交際中の二人が彼氏の家にこんな部屋を用意してもらっているのだから、そう考えても仕方がないことだろう。 琴子もはたと、その現実に再び気づく。 「ピッピ、今度こそしっかり聞いて。あたし、あたし、本当は入江くんと・・・」 「・・・結婚したんだ、コッコ」 「そう。結婚・・・え?」 ピッピの目をしっかり見た琴子は、ピッピの視線の先を追ってみた。 そこには、鏡台の上に置かれた琴子と直樹の結婚式の写真。 ピッピはゆっくりと、その写真の場所へと歩み寄る。 「そうか。コッコ。結婚してたんだ」 結婚式の写真立てを触りながら、ピッピはしみじみと話す。 「う、うん。そうなの。さっきから言おう言おうと思って、なかなか言えなくてごめん」 「おめでとう!琴子が大好きな人と結婚していて、あたしすごくうれしいよ!」 ピッピは笑顔ながらも、目にうっすら涙を浮かべて琴子の方を見た。 琴子もその姿に、思わず目が潤む。 そして・・・ 「ピッピ・・・」 「コッコ・・・」 二人は見つめ合うと、またまたまたまた・・・ひしと抱き合った。 今回は今までよりも長い長い抱擁だった。 おめでとう。よかったね。うれしいよ。 ありがとう。うれしいよ。しあわせだよ。 言葉は交わさないが、お互いの心が通じ合うひとときだった。 「しかし、ところで」 そしてやっと二人の抱擁が解け、ピッピが少し不可思議な顔をしながら呟く。 「この人が、入江くん?」 写真の直樹を指さし、ピッピが問う。 「うん。そうだよ。カッコいいでしょう」 琴子はのろけたっぷりで、そう答えた。 「そうだね。うらやましいくらいイケメンだよ。斗南大学にもいっぱいイケメンがいたけど、今日見たイケメンの中でも一番のイケメンだね」 「やっぱそう?きゃ~、ありがとう~」 横で頬を染め、琴子は小さくジャンプをした。 やはり最愛の夫を褒められるのはうれしいものだ。 しかし、ピッピの口調はどこか厳しく、顔は険しい。 「確かに一番のイケメン。そしてあたしは、このイケメンを今日一番・・・」 バン――。 そのとき、いきなり部屋の扉が開いた。 思わず琴子とピッピは扉の方に視線を向ける。 「入江くん!」 そこには直樹が立っていた。 歓喜の声を上げる琴子とは対照的に、直樹の顔は少し不機嫌そうだ。 「何してるの?こんなところで」 「あ、入江くん、彼女、あたしの小学校時代の大親友のピッピ。今日斗南大でね、偶然ピッピに出会って、ピッピはオーストラリアに居たのに日本に帰って来ていて」 「そんな話どーでもいいよ。だから、なんで、ここに居るの?」 直樹の顔はさらに険しい。 「え、だからピッピに」 「あなたのお母様にこの部屋を案内されたんですけど」 琴子が直樹に怒られているかのように詰問されているのを見て、ピッピは強い口調で直樹に言った。 直樹はピッピの方を見ると、冷めた口調で言った。 「悪いけど、ここは寝室なんで、他で話してくれるかな。おれ、本読みたいし」 「ご、ごめんねピッピ。ごめんね、入江くん」 琴子が間に入って、二人に交互で謝る。 「琴子は悪くないよ。ここは琴子の部屋でもあるんでしょう?だったら、琴子にだってどうしたいか権利があるんだから」 「権利?」 直樹がピッピの方を睨むように見る。 「そうよ。琴子の部屋でもあるから、あなたがここで本を読みたいのなら、琴子だってここで話したい権利もあるんじゃないの?」 「ピッピ」 「だって~!琴子、いつもこうやってえらっそうに言われてるの?琴子がいつも折れているの?」 外国暮らしが長いせいか、いやまた元々の真っ直ぐな正確のせいか、ピッピは自分の意見をはっきりと直樹に向かって主張した。 「わかったよ。おれが出て行く」 直樹は椅子に座ろうとしていたが、そのまま踵を返して扉の方に歩いて行った。 「え?入江くん、どこ行くの?」 琴子は直樹の洋服を掴んだが、直樹はそれには応えずそのまま前を通り過ぎた。 琴子の指が、直樹の洋服からスルリと離れる。 その直樹の表情は見えない。 「ごゆっくり」 それだけ言うと、直樹は振り返らず部屋を出て行った。 ********** 引き続き後編へどうぞ。 プロフィール
Author:千夜夢
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