08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
<< >>


--.--.-- *--*

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2014.01.28 *Tue*

人魚姫になれなくて (前)



ふとできた時間に、また荒っぽくサササと(^_^;)書き上げました。
少し長くなったので、前後編でお届けします。
・・・・・・・・・・・・


カッコいいな~入江くん。
どんなときでもカッコいいけど、本を読んでいる入江くんは格別。
分厚い本だなあ。難しいんだろうなあ。字もすっごく小さいんだろうなあ。
だけどすらすら頭に入ってくるんだろうなあ。
すごいな~。カッコいいな~。


「静かにしてくれませんか」

「・・・え?」

「ここは、図書館です。しゃべらないで下さい」

「そんなあたし、何もしゃべってなんか。ただ心の中で」

「全部、声になってますよ!!」


学校の帰り、入江くんをストーカー追跡していると、入江くんは家の近くの図書館に入って行った。
もちろんあたしもそれを追いかける。
邪魔なんてしないよ。ただ見つめるだけ。
家で本を読んでいる入江くんを見ることはよくあるけど、だけど「図書館」ってシチュで本を読んでいる入江くんは、またこれは普段と違ってたまらなくステキなんだもん。
窓の外から入ってくる日差しが、入江くんの茶色いさらさらの髪に反射して、キラキラと後光のように照らしてくれる。
金色の髪、白い肌、そして陰影を帯びた端正な顔立ち。
まるで入江くんはギリシア神話に出てくる神様のよう(※適当)。
はああ~、カッコいいな~。頭良さそう。ううん、本当に頭良いの。
あたしの大好きな入江くんは、カッコ良くて、頭が良いのよ~~~!!

それをやや遠目から眺めて楽しんでいただけなのに、あたしは、同じ長机に座っている地味などこかの男子高校生に注意をされた。


「本を読まないなら、出て行って下さいよ。図書館に来る意味がない」

「なっ!」

図書館の人でもないのに、そのジミー(地味男)は、あたしに向かってえらっそうに言う。
ホント、同じ高校生なのに、なんでそんなに頭が固いのかな!(怒)

「本、今から読もうとしていたんだからっ!」

あたしはジミーを睨みながらそう言い放ち立ち上がると、本を探しに行った。
すると懐かしい本を発見!
あたしはすぐに元居た場所へと戻って行った。
本当はあのジミーと同じ机は嫌だけど、この2番の机の位置が一番入江くんを見るには最適な角度、場所なんだもん。



「ぐすん・・・くすん・・・」

適当に取ってきた本だけど、ジミーの手前、それを少し読み始めると涙が止まらなくなった。
こんな、こんな悲しい話だったなんて・・・。
子どもの頃には気づかなかった。
努力すれば報われるがモットーなあたしには、この話の結末がどうしても受け入れられない。

「静かにしてくれって言ってんでしょう!」

またもジミーに怒鳴られる。

「今度は声出してないわよ!」

「泣き声がうるさいんですよ!」

「泣き声まで注意されたくないわ。図書館にある本が泣かせているんだから、仕方ないじゃない。文句なら図書館に言いなさいよ」

「どんな屁理屈ですか!?そんな児童書読むのなら、キッズコーナーに行けばいいじゃないですか」

「はあ?キッズコーナー!?そんなとこに行ったら入江くんが見れない・・・あっ」

その時、あたしの視界に入江くんが立ち上がってカウンターに向かうのが映った。
あたしも慌てて立ち上がって追いかける。



「入江くん!こんなとこで会うなんて、奇遇だね」

「・・・はあ?奇遇?」

入江くんは、いつもと同じくすましたきれいな顔で(※つまり冷たい顔で)あたしとチラリと見た。

「もう帰るの?」

「こんなやかましい図書館、長居できるかよ」

「そうね。たしかにあのジミーやかましかったわね。図書館なのに、場をわきまえないといけないわね」

「・・・・・」

「わ~、その本、全部借りるの?分厚い本ばっかり。難しそうだね」

「おまえもそれ、借りるの?」

入江くんは、あたしの持っている本に視線を向けて言った。

「え、ああ、うん。あたしも入江くんと一緒に借りようかな~えへへ」

知らないうちに、あたしはさっき選んだ本を持って来ていたようだ。

「おまえにぴったりだな。対象年齢小学3,4年生。ぷっ!」

「え?そ、そうなの?」

あたしは本を持ち上げて確かめる。
確かに本の上部にそう書いてある。
すごい。今時の小学3年生は、もうこのくらいの分量の本を読めるんだ。

「じゃ、お先に」

「え?」

そう話している間に、入江くんはすでに本を借りる作業を終えていた。

「入江くん、待って」

その去ろうとする入江くんの腕を、あたしはむんずと掴む。

「・・・どうやって借りるの?」

入江くんは眉をしかめ、ため息を吐いた。

「図書利用券は作ったことないの?」

「ない」

「じゃ。作れば」

「どうやって?」

入江くんはまた大きくため息を吐いた。

「学生証提示すれば手続きしてくれるよ」

「学生証・・・今日、持ってない」

「じゃあ、借りれないな。あきらめろ」

「え、でも!せっかくだから、あたしも借りたい」

「早くしてくれませんかっ!」

そのとき、またあのジミー(※実は後の船津くん)があたしたちの背後から険しい顔で怒鳴ってきた。
入江くんは、チッと小さく舌打ちすると

「これも一緒に」

と、自分の図書利用券を出して、あたしの本を借りてくれた。

「ええっ」

思わぬことに、あたしは一瞬言葉を失った。
しかし、このシチュって・・・



か、か、か、感激―――――――――っ!!///




「入江くん、ありがとう!入江くんの利用券で借りてくれるなんて」

うれしい!夢のようだよ!
入江くんの図書利用券であたしの本も一緒に借りてくれるなんて、まるで恋人同士のようなやりとりじゃない?
あたしはその一連の場面を思い出し、もうもうもう・・・(※感涙)。
涙いっぱいの目で入江くんを見つめ上げると、なんだか入江くんにうんざりした顔をされた。

「・・・あほらし。周りに迷惑かけるから、仕方なく借りただけだ」

「それでも嬉しかった。ありがとう」

図書館から出て、あたしたちは家に向かって歩き出す。
帰る場所が一緒だから、入江くんも仕方なくかもしれないけれど、一緒に歩いてくれている。

「そんなにその本、読みたかったの?」

「え?ああ。まあ」

一瞬何の本を借りたか忘れていた。たはは。
でもそう。あたしは、この本をもう一度しっかり読んでみたかった。

「入江くんも読んだことある?『人魚姫』の本?」

「ああ。それと全く同じ本を幼稚園前にはな」

「幼稚園前・・・これ、小学3,4年生用なのに・・・すごいね」

そしてあたしは高校三年生で、幼稚園前の入江くんと同じ本を読んでいるんだ・・・。

「この本、久しぶりに読んだけど、悲しいね。『人魚姫』って『姫』ってついているのに、『姫』が王子様と結ばれないなんて、とんでもない童話だよ。人魚姫は王子様を助けてあげて、そして王子様に会うために声も失ったのに、王子様は別の女性と結婚したんだよ!しかもその女性に助けられたと思ってだよ。許せないよ!!」

「王子が気づかなかったんだから仕方ないな」

「なんで気づかないの?海の中から助けてくれたんだよ!ずっとずっと王子のことを想ってたんだよ!最後に王子を殺せば、また人魚に戻れるというのに、それでも王子を殺さなかったんだよ。それくらい人魚姫は王子を想っていたのに・・・」

「想っていても、王子が人魚姫のことを想ってなかったんだから仕方がない」

「ひ、ひどい・・・」

無表情で、さらりとそんな残酷なことを言える入江くん。
入江くんも、王子と一緒でひどいと思った。
そしてなんとなく・・・、入江くんも王子と一緒で一生気づかないタイプではないかと思えてきた。

「あたしが、どんなに入江くんを好き好き言っても、入江くんは気づいてくれないんだね。伝わらないんだね」

あたしは寂しく、そう言い放つ。

「おまえの場合は、伝わりすぎだろ。声も出せない人魚姫と一緒にするな」

「伝わってるの!?」

「伝わるも何も、おまえの場合、学校や家族みんなわかっているだろ!?何をいまさら」

「じゃあ入江くんも・・・・あたしのこと好きになったの?」

「なっ、なんで、そうなるんだよ!」

「そうだと思った・・・やっぱ、入江くんは、王子と一緒で、あたしの入江くんを想う深い深い想いを、しっかりわかってくれてないんだ・・・」

「わかったら、みんな好きになるのか?わかっても、好きにならないこともあるだろ」

「ひ、ひ、ひど・・・」


結局そうなんだ。
どんなにあたしが入江くんを好きで、誰よりも好きで、命を捧げてもいいくらい好きでも(※あたしにはそんな場面ないだろうけど)、入江くんがあたしを好きになってくれるとは限らない。
人魚姫のように・・・どんなに王子を想っていても、王子は別の女性と・・・。


「な、泣いてんのか?」

「だ、だって・・・あまりに人魚姫が可哀想で」

あたしが可哀想で・・・

「ひどいと思った王子のことを、入江くんは『わかる』とばかりに言うし・・・。やっぱあたしがどんなに入江くんを好きでも、入江くんは好きになってくれることはないって、この話が教訓的に言っているみたいで・・・」




**********

船津くん!w
後編に続く。

プロフィール

千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆



カテゴリ



FC2カウンター



FC2カウンター

現在の閲覧者数:



最新記事



最新コメント



リンク

●Swinging Heart(ぴくもん様) swingingheart
●のんきもののお家(わさこ様) no banner
●日々草子(水玉様) 日々草子
●kiss shower(幻想夢 影菜様) kiss-shower
●雪月野原~snowmoon~(ソウ様) snowmoon
●初恋(miyaco様) no banner
●HAPPY☆SMILE(narack様) HAPPY☆SMILE
●イタズラなkissの二次創作マナーを考えよう!(イタkiss創作マナー執筆者X様)
●みぎての法則(嘉村のと様) no banner
●Embrasse-moi(ema様) no banner
●φ~ぴろりおのブログ~(ぴろりお様)
●真の欲深は世界を救う(美和様)
●イタKiss~The resident in another world ~(九戸ヒカル様)
●むじかくのブログ(むじかく様) no banner
●つれづれ日和(あおい様) no banner
●Snow Blossom(ののの様) no banner



素材拝借

 ミントBlue様               



Copyright © こんぺい糖と医学書 All Rights Reserved.
テンプレート:サリイ( ブログ限定配布版  / 素材: ふわふわ。り )     
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。