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2009.12.28 *Mon*

日だまり



「飽きないもんだな」

入江くんが言う。
あたしは、その入江くんを見ることに、全く飽きない。


琴美の小さな指をちょんちょんとつつくと、琴美の小さな掌がちょっと開いて、入江くんの指をぎゅっと掴む。

その時、あたしはすぐに入江くんの顔を見る。

見たことないようなとろけるような顔。
入江くんをこんな顔にさせる琴美に思わず妬いちゃうくらいだけど、その琴美はあたしから産まれた。
そう思うと、この入江くんのとろけるような笑顔は、半分あたしのものでもあるんじゃないかなあ。
そう勝手に思い込んで、あたしは最高にうれしくなる。



「あ、見て、入江くん!琴美がパパ見て笑ったよ」

琴美が入江くんの指をぎゅっと掴んだまま、入江くんの方に視線を向けて、にっこりと笑う。

「まだ、生後1ヶ月ちょっとで笑うわけないだろ」

「でも、笑ったよ。さっき見たでしょ。笑ったって」

「あれは、口元の筋肉が動いて、笑ったように見えただけだ。まだ笑う月齢じゃない」

「・・・・そうなの?・・・・」

本当に笑ったと思ったんだけどな・・・。
でも、入江くんが筋肉がなんたらと言うなら、そうなんだろう。
入江くんはお医者さまだから、赤ちゃんのことだってなんでも知っているから。
入江くんがいてくれると、あたしもすごく安心だ。




「あ、吐いたぞ!」

入江くんがいつもの冷静な顔を崩して、慌てて指を離す。

「よく、吐いちゃうのよね」

あたしは、琴美の口元にガーゼをあてて、そっと拭き取ってやる。

「琴子、おまえ、ちゃんとげっぷさせてるのか?」

入江くんが、ちょっと眉を顰めて抗議するように言ってくる。

「させてるわよ!さっきも思いっきり、げふって琴美したもん」

「じゃあなんで、こんなに」

「赤ちゃんって、げっぷさせても、お乳吐いちゃうこと多いらしいわよ。理美やお義母さんにもちゃんと聞いたんだから」

入江くんがちょっと納得してないような顔をしてあたしを見るけど、あたしは真剣な目でうんうんと頷いてみせる。
入江くんは小さくため息をつく。
そのため息はなんなのよ・・・・。



ぷぅ。


「やだ、琴美、パパの前なのに、ぷぅしちゃった」

あははと笑いながら、またあたしは入江くんの顔を見る。

「元気なんだな、琴美」

またとろけるような顔をする入江くん。
ぷぅだけで、入江くんをこんな顔にさせる琴美って、本当にすごいと思う。

「今、見た?脚あげて、ぷってしたよ」

「かわいいな」

「かわいい?こんな格好してもかわいいんだ?」

すっごく不思議な感じ。
入江くんってこんな「かわいい」なんて言葉を容易く遣う人だった!?
あたしには、そんな「かわいい」を、まるで遣い慣れたみたいに話す入江くんの方が、ずっと新鮮でかわいく思えるんだけど・・・。

「この頃から羞恥心があってどうする?この人間そのままの本能だけの姿の今がいいんだ」

「そうなんだ・・・」


あたしは入江くんの顔を見ながら、さっきからずっとにやにやしている。
入江くんったら、あたしのことは全然見てなくって、琴美のことばっかり見てる。
ちょっと寂しい気もするけど、それはそれで都合がいい。
だってあたしが入江くんをずっと観察のように見ていることも全然気づいていないみたいだから、あたしはずっとずっと入江くんの琴美を見るまなざしを見ることができるんだもん。



「母親ってさ、赤ちゃんのう○ちも臭くないんだろ?」

「今は、まだそんなに臭くないけど、離乳食始まると臭いらしいよ」

「でも、自分の子供のは臭くないんだろ?」

「臭いもんは臭いでしょ」


入江くんがやっとあたしの方を向いてくれるけど、その顔はなんだかすごく不審そう。


「なによぉ・・・」

あたしはちょっと口を尖らせてつぶやいてみる。


だって、理美が言ってたんだもん。
臭くないって、そんなの勝手に周りが言った母親神話なんだって。
臭いものは臭い。これ常識。

ただ、それが苦痛かというと、そうでもないらしい。

まだあたしは琴美のお世話をして1ヶ月ちょっとしかたってないけど、確かにお世話は大変だと早くも痛感している。
でも、お世話したい。
お世話してる自分に満足する。
でも大変。
たまにイラってくる。
でも、やはりあたしがお世話しないと気がすまない。
なんだか、今はそれの繰り返し。

まだあたしは、新米ママだから、理美のようには全部わからないけど、それでも理美の言ってることは、多分あたってるような気がする。

臭いもんは臭い。
しんどいもんはしんどい。
でも、それは、全部が苦痛ではない。



・・・・あれ?
どうやら、いつのまにかあたしは、ぶつぶつと自分の世界で話してたみたいだ。
入江くんがあたしの顔を覗き込んで、苦笑いしている。




「まあ、がんばってくれよな」


入江くんがあたしの頭をぽんぽんと軽く叩いて、やっと琴美のいるベッドから、身体を起こして立ち上がる。

琴美が産まれてから、いつもちょっと早く起きて、病院に行く前にこうして琴美との時間を作ってくれている。
あたしは、そのことがすごくうれしい。

入江くんの鞄を持って、あたしもパタパタと玄関までお見送りに行く。
あたしが靴べらを渡して、入江くんが靴を履く。
あたしも病院に行ってる時は、こうしてゆっくり入江くんを見送ることはあまりなかったから、こんな光景もすごく新鮮だ。

入江くんが靴べらをあたしに返す。
今度はあたしが「はい」と入江くんに鞄を渡して、「うん」と鞄を入江くんが受け取る。
この「うん」に、今からお仕事がんばってきますよ、って気持ちが込められてる気がする。
「うん」に入江くんの「パパ」としての貫禄を感じてしまうのは、あたしだけだろうか。



「また、帰ってきたら、いろいろ聞かせて」

「うん」

「俺、頭、ガチガチみたいだから」

「・・・・へ?」

「さっき、琴美、確かに笑ってたかもしれないな」

「え!?ほ、ほんと?やっぱり~~?やっぱ、笑ってたよね~~~っ!」

ほら、ほら、ねえ、やっぱり笑ってたよね。
パパ見て笑ってたよね。

あたしは、すごくうれしくなって、靴べらをぎゅっと握ったまま、玄関でぴょんぴょん飛び跳ねてしまった。

入江くんがそんなあたしの頭を両手で掴んで、あたしのおでこのあたりに自分のおでこをグリグリってしてきた。

「うう・・・い、痛い」



そして、入江くんはちょっとふっと笑って、そのまま振り返らず行ってしまった。




「いってらっしゃい」


入江くんは頭がいいから、時々何について話しているのか咄嗟にあたしにはわからないことが多い。
でも、まあ・・・・いいんだ。

ふふふ、やっぱり琴美笑ってたよね♪




あたしはまた、パタパタと琴美のいる部屋まで小走りで戻っていった--------。






(この話は「イタKiss何でも書いてみよう!」に投稿させていただきました。)

**********

ほっこりものが書きたくて書いたのが、この作品です。
幸せな様子が伝わってたら、本当にうれしいのですが。

結構最近気づいたのですが、私はどうやら赤ちゃんフェチらしいのです(笑)。
テレビやCMに赤ちゃんが出てたら、思わず動作STOPして観てしまいます。
そして、しあわせ~~な気分になる。
なので、これは琴美ちゃんを想像して、とっても幸せな気分で書けた話でもあります。





COMMENT

拍手コメントへのお返事です
>Rさま

拍手コメントありがとうございます。
温かくなってもらえましたか。ああ~~よかったです!!うれしいです(*^_^*)
我が子のせめて赤ちゃんの頃は、直樹もメロってなってもいいんじゃないかと、かなり直樹ソフトになってますが、描いてみました。
未完で、琴美ちゃんとのエピは本当に想像でしかないですが、こんなのもありと思っていただけたら幸いです。
こういうほのぼのしたものも、これからも時々、自分を浄化するためにも(笑)書いていきたいです。
by chan-BB
2009/12/29(火) 18:10 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
舞さま

はじめまして。もう、いつのお話でもこうやって拍手やコメントもらえることは、ものすごくうれしいです!!大大大歓迎です~(^^)/ありがとうございます。このお話は、いつもバタバタしている私のお話の中でも、かなりゆったりまったりとした時間を意識して書いた記憶があります。そして、琴美ちゃんに愛情を持って♪(笑)琴子のママぶりや、とろけそうな直樹を感じてもらえて、とてもうれしいです(*^_^*)そしてキリリクなんですが!まさにこのGWに毎日のように考えておりました!そろそろ記事を書かなくちゃと思いつつ・・・、今日まできてしまいましたが(^^;)、チャレンジしてみようかと思っておりますので、またどうぞご参加よろしくお願いします♪今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
by chan-BB
2010/05/06(木) 18:09 [Edit
優しい入江くんの笑顔とそれを見守る琴子ちゃんの幸せそうな笑顔を想像して、私もすごくほっこりとした気持ちになりました!
by なぎ
2014/08/12(火) 07:05 [Edit
コメントありがとうございます。

なぎさま

このお話でほっこりしていただきとてもうれしいです(^∇^)緩く温かい気持ちになることをイメージして書いた覚えがあるので、それが伝わってたならなによりです。
こちらこそ温かいコメントをありがとうございます。
by 千夜夢
2014/08/16(土) 14:18 [Edit

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こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
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私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
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まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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