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2011.01.05 *Wed*

たこあげ


新年明けましておめでとうございます。
今年も一年、chan-BBと「碧の小瓶」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

もう5日になっちゃいましたね。かなり遅くの新年のご挨拶ですみません(^^;)
本当は元旦にこのお話UPしたかったのですが間に合わず、今日になってしまいました。

去年のお正月に「ふくわらい」ってバカバカしいお話で幕を開けた当ブログですので、今年もバカバカしく「たこあげ」というお話で幕を開けたいと思います。
新年早々、本当にバカバカしいお話で申し訳ないですが、かる~く読んでいただけたらうれしいです♪(無駄に長いです、すみません・・・)

・・・・・・・・・・・・・・・



「は?電線に凧がひっかかった?」


元旦の午後―。

元旦にしては暖かく、入江家のリビングには春のような陽が射し込んでいる。
その中で一人、直樹はソファに座って正月早々難しそうな本を読んでいた。
そこに珍しく一緒にどこかに出かけていた琴子と裕樹が家に戻り、がっくりと肩を落として直樹の元にやってきては、凧が電線にひっかかったと言ってきたのだ。


「おまえら一緒に近くに買い物でも行ったのかと思っていたら、凧揚げになんか行っていたのか?」

有り得ないというような目で直樹は二人を見上げる。

「う、うん・・・」

いつになく元気なさげに琴子が答える。裕樹も元気がなく・・・というより、琴子よりももっと顔が青ざめて調子が悪そうな表情をしている。

「凧揚げっておまえらいつの時代の子どもたちだ!?・・・っていうか、琴子おまえもう大人だろ?なんで凧揚げなんか・・・」
「ねえ入江くん、電線に凧がひっかかったら電力会社に電話しなくちゃいけないの?」
「お兄ちゃん、僕が電力会社に電話しなくちゃいけないって言うのに、琴子が、琴子が自分で取るってきかないんだよっ!」

やっとここで裕樹が直樹に絞り出すような声で訴えた。どうやら二人の話の本題はここにあるらしい。

「自分で取るなんてもってのほかだろ?電力会社に電話して、取ってもらわないと危ないに決まっているじゃないか!?」

と言っては、あまりの馬鹿らしい話にさっさと終止符を打ち、直樹は再び本に視線を戻した。

「ほら、見ろよ」

裕樹が琴子を軽く肘でつつく。

「入江くん、電力会社の人ってすぐに来てくれる?連絡したらすぐに凧取ってくれるのかな?お正月も電力会社はお休みでない?」
「・・・なんでそんなに必死で聞いてくるんだ?」

直樹が再び二人を見上げるように聞くと、琴子と裕樹は顔を見合わせてなんともバツが悪そうな顔をした。

「何があるんだ?だいたい凧揚げなんておまえたちがすること自体おかしいよな?何を隠している?」
「「・・・・・・・」」


「ただいま」

ちょうどその時、玄関から重雄と重樹の声が聞こえてきた。
二人は朝はゆっくり家でお節料理とお酒を楽しみ、午後から一緒に初詣へと出かけていたのだ。

「ママ、ママはいるかい?」

重樹の声に、紀子が二階から下りてきた。

「何?あら、パパたち帰って来たのね?」
「ママ、今そこの山本さんの家の前、すごい人集りだったんだよ!」
「まあ。何?事故?何かあったの?」
「それが・・・電線に凧がひっかかっていて・・・」

「「「!!!」」」

琴子と裕樹、そして直樹はその言葉に一斉に重樹たちの方を見た―。


「あ、な、直樹、いたのか・・・」
「直樹くん・・・」

直樹の顔を見て、重樹と重雄の顔色が咄嗟にさっと曇ったのを直樹は見逃さなかった。

「『凧』がどうしたんですって?」

直樹はリビングの入口にいる重樹たちの方を見て、鋭い目つきで質問をぶつけた。

「え・・・いや、凧が電線にひっかかっていて・・・」
「凧が電線にひっかかったくらいで、どうしてそんなに人集りができているんですか?」
「そ、それは・・・」

重樹と重雄がさっきの裕樹と琴子のように、なんともバツが悪そうに顔を見合わせてはもごもごと言葉を濁す。

「言って下さい!なんでそんなにみんな『凧』に注目するんですか!!?」

直樹がソファから立ち上がり、かなりの剣幕で詰問する。
それはこの話には何か絶対裏があると確信して、“おれには知る権利があるんだ!”といわんばかりの迫力だった。


「ご、ごめん!お兄ちゃん、ごめん!」

その迫力に押されたのか、裕樹が床に座り込んで、まるで土下座でもするような姿で謝罪の言葉を吐いた。

「・・・なにが『ごめん』なんだ?」

まさか裕樹に謝られるとは思っていなかった直樹は、少し驚いて裕樹に視線を向けた。

「ぼ、僕、つい好奇心で・・・琴子と・・・」
「こ、琴子となんだっ!?」

まさかと思うが琴子と何か過ちでもあったのか!?と、直樹は咄嗟におかしな妄想にとらわれて、くわっと激しい鬼の形相で裕樹を睨みつけた。

「ち、違うの!あたしが凧揚げなんてしたことなかったから、裕樹くんに頼んで公園に凧揚げに・・・」

その様子を見て、慌てて琴子が口をはさむ。

「公園?それがなんでこんな住宅街の電線にひっかかっているんだ?」
「それがすごいのよ!手に凧を持っていただけなのに、風がぴゅ~っと吹いたら、凧が思わず手を放れてぴゅ~って飛び上がって、あっという間に電線にひっかかってしまったの!!」
「そ、そうなんだ!本当に風がぴゅ~と吹いたら、凧がぴゅ~って!!僕もあまりの凧の性能のよさにびっくりしてしまって、さすがにお兄ちゃんの凧だけあるって」
「・・・はあ?おれの凧?」

「「!!!」」

裕樹と琴子が揃って口を覆ってお互いの顔を見合わせる。
直樹はその様子を見て、何かよからぬ予感がした。
間違いなく自分がこの一連の電線にひっかかった凧と、想像もつかないがどこかで関係しているのだと確信した。

「おやじ!お義父さん!その凧についてちゃんと教えて下さい!」

直樹は再び重樹と重雄の方を向いて、詰問する。

「そ、それは・・・ア、アイちゃん、説明してやって」
「直樹くん・・・その凧っていうのが・・・なんというか・・・初めはまさかと思っていたんだけど、よく見るとその・・・」

突然直樹の父重樹に話を振られ、舅の立場で重雄がしどろもどろで話をし出す。

「お義父さん、続けて下さい」

直樹は冷静な声で重雄の会話を促す。

「いやその・・・その凧っていうのが、実は直樹くんの顔になっていたんだよ・・・」
「はああ!!?おれの顔~?」
「そう、直樹の顔写真の凧なんだよ。だから近所の人もいっぱい出てきて『これ入江さん家のお兄ちゃんの顔の凧じゃないか?』ってなんだかざわざわと・・・」
「まああああ素敵!!そんなお兄ちゃんの顔写真の凧があったなんて、早速その電線にひっかかったレアな様子を写真に撮りに行かなくっちゃ!!」
「マ、ママ・・・」

と、重樹がこれ以上直樹を煽ってはいけないと妻の紀子をたしなめた。


「琴子っ!!」

直樹がこの一連の事件の張本人であろう琴子の方を、キッと睨みつけた。

「は、はいいっ!」
「説明してもらおうか」
「あ・・・うん・・・」

もうここまで来たら・・・勘弁するしかないと、琴子は腹をくくって事の次第をぼつりぼつりと話し出した―。




「また今年も桔梗の仕業か・・・」

ぷるぷると眉間の皺を寄せて直樹は目を瞑った。
そして脳裏には、去年、幹が作った直樹の顔の「ふくわらい」がしっかりと浮かび上がっていた。

「モトちゃん・・・なんだかパソコンスキルが年々あがっちゃって、今年はスキャンですごいのできたって、入江くんの顔写真を焼き付けた凧をくれたの」

琴子が肩を窄ませながらやっと事の真相を話し出す。

「裕樹はなんでそれの荷担を?」

いきなり質問をふられて、裕樹は軽くびくんと飛び上がった。

「ぼ、僕は・・・その凧自体が手作りっていうから・・・どんな感じに飛ぶのかと・・・、いや前に僕、自分で凧を作ったけど全然飛ばなかったから。この凧は飛ぶのかなって気になって・・・それで・・・」
「止めて欲しかったな。琴子のこの暴挙を」

と、直樹は残念そうな目で裕樹を見た。

「ご、ごめん・・・」

大好きな兄をがっくりさせてしまったことで、裕樹は改めて自分の行いを悔いて落ち込んだ。

「琴子」
「はい」

再び直樹が琴子の方を見て話す。

「すぐに取ってこい。その電線にひっかかった凧をすぐに取ってこい」

低く冷静な声で、直樹は無理な難題を琴子にふっかける。

「え?でも・・・電力会社に電話しなくちゃダメだって」
「だったらすぐに電話しろ!すぐに取り来いって頼めよ!」
「う・・・わかった。でもお正月ですぐに来てくれなかったら・・・」

と、琴子は上目遣いで直樹の顔を見た。

「だったらおまえが、取ってこい!」

直樹は頭の中で、自分の顔写真を焼き付けられた凧が電線にひっかかって、近所の人たちに見上げられては失笑されている光景をイメージした。
いやイメージでなく、それは間違いなく今近所で繰り広げられている光景だろう。
そう考えると、直樹の口調もついつい荒くなってしまう。

(なんでおれが・・・なんでおれが、新年早々こんな恥をかかされなくちゃいけないんだ・・・)

直樹はソファに座りながら、ぷるぷると膝を震わせた。


「お兄ちゃん!!愛する妻に言い過ぎよ!!」

紀子が直樹の無理な注文にとうとう口を挟んだ。
重樹、重雄、裕樹の男性陣は、その紀子の言動に直樹がどんな反応を示すのかとびくびくしながらも、何も言えずただその様子を窺っている。

「世界中探しても、夫の顔写真入りの凧を揚げようって妻は琴子ちゃんだけよ!お兄ちゃんは、いつも琴子ちゃんに愛されすぎていて、そのありがたみがわかっていないんだわ!」
「は?愛?おれは正月早々、『愛』どころか『恥』をかかされているんだよ!」
「きっと近所の人たちも、お正月から琴子ちゃんのお兄ちゃんに対する『愛』を感じて、きっと電線見ながら感動しているに違いないわ」
「馬鹿なこと言うな!そんなわけねーだろ!?」


・・・そんなわけ絶対ないだろうな、と重樹、重雄、裕樹の男三人衆も思った。

しかし紀子の言いたいこともわからないわけではない。
琴子の直樹に対する一途な気持ちは誰が見ても一目瞭然で、琴子ならば本当に純粋な気持ちで夫の顔入り凧を喜んで揚げようとしたのだろうということは容易に想像できる。
悪意があったわけではない。本当にちょっとした事故だったのだ。

でも直樹の気持ちもよくわかる。
正月早々、近所の電線に自分の顔写真入りの凧をひっかけられて、みんなから好奇の目で見られているという事実・・・。
凡人でさえもこれは恥ずかしい。それが天才の異名をとる直樹の身におきているのだから、どれだけ恥辱、屈辱な出来事かと・・・男三人衆は直樹の心中を察してはキリキリと胸が痛んだ。


―プルルルル


その時、その張り詰めた空気を破るように、一本の電話が鳴った。
直樹の顔を見ながら、紀子がその電話にでる。

「はい。入江です。あ・・・山本さん」

電話は紀子の近所の友達山本からだった。いつも長電話をしている二人だけに、話が長引きそうだと、皆が少し張り詰めた空気から一息吐いた。


「入江くん・・・本当にごめんね。あたし後でがんばって電柱に上って取ってくるから」

紀子との言い争いに心を痛めた琴子が、直樹の顔を覗きこんではすまなさそうに申し出る。
誰も本気で電柱に上って凧を取って来いなんて思ってやしない。
琴子の真っ直ぐなその目に悪意がないことはわかる。いや、そんなことは直樹には初めからわかっていた。
わかっている・・・わかってはいたけど・・・。


「え!!?凧が勝手に電線から外れて落ちた!!?」

紀子の大きな声にみんながいっせいに電話の方に振り向く―。


「わ、わかったわ。すぐに取りに行くから!」

紀子は慌てて電話を切って、みんなの方を向いた。

「聞いたと思うけど、お兄ちゃんの凧が電線から落ちたそうなのよ!!」
「す、すげーーーっ!!あんなに絡み合っていたのに、自然に落ちるなんて、さすがお兄ちゃんの凧だけあって一筋縄ではいかない・・・」

と、興奮しながら裕樹は話出したが、直樹の渋い顔を見て思わず言葉を噤んだ。

「琴子、聞いたか?」
「う、うん!」
「じゃあ何するかわかるよな?」
「え・・・ああ、うん。入江くん、おめでとーーーっ!」

そう言って琴子はぎゅうっと直樹に抱きついた。

「ち、違うだろっ!早くその凧を拾って来いって言ってんだよ!!」

思わず琴子に抱きつかれ、家族の手前もあり驚いた直樹は、琴子の絡みつけた腕を解いた。そしてそれをかき消すかのように、慌てて琴子に凧を取ってくるように促した。

「そ、そうよね!すぐに取って来なくっちゃ」

琴子は今さらハッと気づいたような表情をした。

「琴子ちゃん、あたしも一緒に行くわ」
「琴子・・・僕も行くよ。僕にも少しは責任あるし・・・」
「よし、イリちゃんわしたちも一緒にそのお兄ちゃんの凧を取りに行こうか」
「そうだな。みんなで取りに行こう。電力会社に正月早々お手数かけさせなかったなんて、さすがに直樹くんの凧だけあるなあ」

重雄はどこか本気で感心している様子だ。

「サイコーだわ!家族全員一致団結で凧を取りに行くなんて、なんて素敵な新年なんでしょう。ほら、お兄ちゃんも一緒にレッツゴーよ!!」

と、紀子が手を挙げて嬉々として直樹も誘う。

「行かねーよ!!」


・・・だろうな、と男三人衆は顔を見合わせて苦笑した。

いくらなんでも直樹が自分の顔写真の凧を自分で拾いに行くなんて、あまりに滑稽すぎると男三人衆は納得する。
そして直樹以外の家族は総出で、直樹の凧を取りに出かけて行った―。




「琴子ちゃん、そんなに泣かないで・・・」

ほどよく時間がたって、直樹以外の家族が帰ってくると、なぜか琴子が直樹の凧を胸に抱きしめてしくしくと泣いていた。
他の家族は、その様子をなんとも切なそうに見守っている。

「どうしたんだ?」

事の次第がわからない直樹はそう問うしかなかった。

「入江くん・・・ごめん・・・ごめんね・・・」
「琴子ちゃんのせいじゃないわよ。ほら、琴子ちゃん泣かないで」

この二人の抽象的な会話ではいつまでたっても埒があかないと思った直樹は、裕樹に問いただした。

「なんで泣いてるんだ?何があった?」
「あ・・・それは・・・凧が・・・」

裕樹もバツが悪そうにそれ以上をなかなか話さない。

「入江くん!!ごめんなさい!!」

急に琴子が直樹の腕を取り、再び謝ってきた。

「だからどうした!?」
「凧が・・・・あたしが、電線にひっかけてしまったために・・・道路に落ちて・・・」

と言いながら、琴子が胸に抱きしめていた凧をそろりと直樹の方を向けて見せた。
そこには先ほどから話題になっていた、顔写真の直樹凧が確かに存在し、そのリアルさに思わず直樹は顔を背けそうになるが、それ以上に目を見開くようなものがそこには映っていた。

「入江くんが車に轢かれて!!わああん~~」

凧には、明らかに電線から落ちた後に車で轢かれたであろうタイヤ痕が直樹の顔の上を走っていた。

「そ、そ、その上・・・入江くんのおでこに、小鳥の糞が~~わああん~~」

そして琴子の言うように、直樹の額のど真ん中に緑色の鳥の糞であろうものがホクロの如く存在していた。

「・・・・・・」

言葉を失う直樹。
たかが凧で自分とは関係ないものとわかっているが・・・このあまりに踏んだり蹴ったりの仕打ちは、さすがに直樹も新年早々気持ちのいいものではない。

「大丈夫よ、琴子ちゃん。この額の糞は、まるで見ようによったら大仏様みたいじゃないの?むしろお正月から、これは縁起がいいことに違いないわ!きっとこれはお兄ちゃんにとって吉兆よ」
「・・・・そうなんですか?」


・・・なわけねーだろ?と男三人衆は顔を見合わせて苦笑した。


「もう、いいから。早くそれ処分しろよ」

直樹は呆れてソファに座りながら、やるせなさそうに言葉を発する。
正直、そんな汚れた縁起でもない凧を早く無いものにしたかった。

「え!?処分!?」
「そうだよ。初めから拾ってきたらすぐに処分するつもりだった。なんでそんな気味の悪い凧なんか・・・」
「無理よ。無理!」

琴子が直樹の凧を抱きしめて、首を横にブンブンと振る。

「無理って・・・」
「無理に決まってるじゃないの!入江くんの顔をした凧だよ?しかもあたしのせいでこんなにひどい目に遭ってしまって、もうあたしますます手放せなくなっているんだから!」
「はあ?」

琴子の必死の形相に、直樹は思わず拍子抜けした声を発した。


「さすが琴子ちゃんだわ!元旦からお兄ちゃんへの愛をしっかりと貫き通すなんて!!」
「本当は・・・入江くんの凧が大空高く上がるところが見たかったんです・・・でも今はこんな姿になってもう見ることできないし、せめてあたしの傍で大事にしておきたいです・・・ううっ」
「うんうん、わかるわ琴子ちゃん!すごくその気持ちわかるわ!」


―入江くんの凧が大空高く揚がるところが見たかった

そういや琴子にはなぜ凧をわざわざ外に揚げに行ったかをしっかり聞いていなかったと、直樹は今さらながらに思った。

(まさか、こんな単純な理由とは・・・)

あまりに琴子らしい、それ故にどこか琴子らしいやたらと説得力のあるこの理由。
直樹は思わず目を瞑ってため息をつき、天を仰いだ。

「ねえ入江くん、この凧、持っててもいいよ・・・ね?」

琴子がお得意の上目遣いで再度直樹に懇願してくる。

この一連の琴子と直樹のやりとりを、入江家の面々は固唾を呑んで見守っていた。
正月早々から、あまりに入江家らしいこの光景。琴子が何かをしでかしては直樹を困らせ、怒らせる。幾度この光景は繰り広げられてきたことだろうか。
だけどみんなはどこかで知っている。この光景にぴったりのいつもの結末を知っていて、そしてそれを望んでいる。


「好きにすれば」

ソファに座ったまま、琴子に視線をやることもなく直樹が呟く。
それと同時に琴子の顔がぱああっと輝く。

「あ、ありがとう、入江くん!!」

琴子がソファに座っている直樹に向かって、ダイビングするように抱きついた。
慌てて思わず琴子を支えてしまった直樹。琴子は直樹をきらきらと輝く笑顔で見上げていた。

「やはりこの『凧』は去年の『ふくわらい』と一緒で、間違いなく福を運んでくれるものだったのね」
「いったいどこに“福”があるのか」
「きゃ~~今年もなんだかいいことありそう~~」

直樹の腕を掴んではぎゅうぎゅうと締め付けて、そしてぶんぶんとその腕を振る琴子。
直樹の険しかった顔もいつの間にか緩み、そして琴子の単純な思考に思わず笑みがもれてしまう。


「ったく」

呆れた声をあげながらも、直樹は腕にしがみつく琴子の頭を撫でてやると、入江家のみんなが顔を見合わせてホッと胸をなでおろした。
この光景こそが入江家のしあわせの象徴で、望んでいた結末だと、新年早々縁起のいい出来事に家族みんなに笑顔がこぼれた。




**********

ははっ。
どんな話やら?(笑)

昨年はいろんなお話を書いてきましたが、本当にどのお話も温かく見守っていただきありがとうございます。
今年もこんなバカバカしいどたばた話も含め、その時に書きたいな~と思った話を書いていきたいと思っています。
好みのお話、好みでないお話もあるかと思いますが、お付き合いくださればとてもうれしいです。
今年もよろしくお願い致します(*^_^*)

☆そしてもうすぐ閉めるのですが、「裏・書庫」の方も過去作を追加しましたので、よろしかったらどうぞ♪

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2011/01/05(水) 15:54 [Edit
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2011/01/06(木) 12:44 [Edit
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2011/01/06(木) 14:33 [Edit
コメントありがとうございます

ぴくもんさま

明けましておめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いしますね~♪去年は本当に公私にわたっていろいろとありがとうございました。楽しかったです(*^_^*)
ちょうど仕事始めの日に会社で読んでくださったのでね(*^m^*) 反対に前日夜に仕事を終えたばかりの私は、やっとの解放感でついつい朝からこんなお話をUPしてしまいました(笑)。
こういう話はテンポが肝心と思いつつ、ついついあれもこれもいれたくてこんなに長くなってしまったのですが、もうぴくやんが「笑った」とのコメントくれたから、めちゃくちゃホッとしてうれしかったですよ~~。
好きなんですね、私。琴子によっていろいろと災難をかぶる直樹が( ´艸`)ムフ
でもぴくやんのコメントで思わずハッとしたのが、現物がそこにいるのに、凧に執着している琴子・・・これは、直樹的にはおしおきですよね?(そんな発想?笑)
なんだかんだで、いつも仲良しのイリコトとそしてそれを見守る家族たち。今年もそんな感じのお話書けていければな~と思っています。山本さんも(笑)、また使えたら使いたいです。あとはぴくやんの方での活躍も楽しみにしています~~♪


藤夏さま

藤夏さん、今年もよろしくであります~~♪
そして新年早々、うれしいコメントをありがとうございます。年間に「ふくわらい」のことを思いだしてくださっていただけでも、もうめちゃくちゃうれしですよ!!
新年早々、なんでこんなばかばかしいお話・・・と自分で書きながらも、ついついあれもこれもと詰め込んで、変に楽しく創作してしまいました。
藤夏さんが、このようなお話も大好きでいてくれて、本当にうれしいです!!
そして「人生ゲーム」!!このコメント読んですぐに、なんだか頭の中で「人生ゲーム」してるイリコトたちの姿が浮かび、マジ、私書いちゃおうかと思ってしまったくらいですよ!!
でも、もうごめんっていうくらいに「たこあげ」的な話が頭に浮かんで・・・どうするか検討中であります(^_^;)
山本さんにも反応してくださって、ありがとうございますね~オリキャラの中でもかなり異色ですが(笑)、現在ぴくやんの方にも出没中ですので、変なツボをぜひとも楽しんでいただけたらうれしいです。
これから春まで、確かに私かなり忙しいのですが・・・妄想だけは枯らさずにがんばっていきたいと思います♪藤夏さんも、あっちもこっちも(笑)妄想は持続しててくださいよ~~☆


吉キチさま

吉キチさん、明けましておめでとうございます。昨年は、本当にたくさんの癒しコメントをありがとうございました。今年もぜひよろしくお願い致します(コメの要求ではありませんからね~(^^;))
新年早々、こちらのお話で笑っていただき、すごくうれしいです~~♪もう直樹の顔写真の凧っていうところで食いついてもらえなければ、このお話、最後までつまんないだけであって・・・(^^;)なので、直樹凧にツボっていただけただけでも、大感謝であります!!
そしてなにげに入江家の日常もしっかり感じてくださって、家族全員総出演させたかいがありましたよ!(笑)ありがとうございます。
タイトルの「映像で見たい光景」っていうのもうれしいな~。私は結構頭の中で勝手に流れている妄想映像を、そのまま文章にしているところがあるので、その様子が読んでくださっている方に見えるようでしたら、下手なりに文章にできた!っていうやり遂げた感みたいなものを感じさせてもらえます。
年のはじまりに、他所も含めたくさんのコメントをありがとうございました。
by chan-BB
2011/01/08(土) 13:03 [Edit
拍手コメントありがとうございます

まあちさま

あけましておめでとうござます。今年もぜひぜひ怪しくて全然かまいませんので(笑)、お時間ある時は楽しいコメントよろしくお願いします。
大晦日、「悶漏」で私を笑わしてくださったあとですか?大変な年末年始でしたね・・・お疲れ様です。まあちさんの働きぶりが目に浮かぶようですよ。
そして「たこあげ」では、初笑いしていただいてありがとうございます~(*^_^*)入江家のお正月って感じをもってもらえてうれしいです☆そして裕樹くんがなんだかんだいっても琴子とつるんじゃうのは、琴子に心許していて好きだからですよね。入江くんの凧は、ぜひきれいなまま玄関にでも飾っておくのが、魔除け的にも効果ありそうですよね( ´艸`)
そしてそして、ジーンズを電線にからませたという・・・ジーンズが飛ぶって言うこと自体笑えるのに、物干し竿ってコントの小道具みたいなものまで出てきて!!こちらも初笑いさせていただきました(*^m^*)今年も楽しいまあちさんでいてくださいね♪


紀子ママさま

もうお正月すっかり過ぎちゃいましたが、紀子ママさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。去年は(*^m^*) ムフッとうれしくさせてくださるコメントをたくさんありがとうございました♪
はちゃめちゃな元旦の入江家のお話でしたが、琴子ちゃんの入江くんへの真っ直ぐな思いを感じ取っていただきとってもうれしいです~☆入江ファミリーはどたばたしながらも、いつも幸せでいてほしいですよね。また今年もあんなこんなで、入江家でいろいろ妄想していきたいと思います♪


fさま

fさん、新年おめでとうございます~♪「たこあげ」でそんなに笑っていただけたなんて!!私、新年早々ものすごくうれしかったですよ!!大きな笑いではなく、じわじわとこれでもかこれでもかっていうくらい悲惨な直樹のお話だったと思うのですが(^^;)、琴子にこんな目に遭わされる直樹って、どこか周りから見たらちょっと幸せな感じだったりもしますよね♪
書庫はもうすぐ一旦閉めますが、また気持ちがハイな時には開いちゃうかもしれません(笑)。こっちもあっちも、楽しんでいただけたらうれしいです。こちらこそ、今年もよろしくお願いします☆


TOMさま

新年から、超元気なコメントをありがとうございます~♪「ふくわらい」も以前に読んでくださっていたのですね。系統的にはかなり似るように創作しましたが、入江くんの悲惨感は間違いなく「たこあげ」の方がひどいと思われます(笑)。だけどどうしてみなさん笑っているのでしょうね?(笑)
じわりじわりと加算させていく悲惨さをしっかり読み取ってくださり、私も本当にうれしい限りであります。ついでに琴子の入江くんへのラブや家族愛まで感じてもらえて言うことありませんよ!!いつもしっかり読んでいただき、そしてそんなこんなも含めて褒めていただき(?笑)、ありがとうございます♪
そしてこの季節、お互いにそわそわと忙しい時期ですよね(*^m^*) あっち見たりこっち見たりしながらも今年も楽しんでいけたらうれしいです♪TOMさん、今年もいろいろ教えてくださいね。よろしくお願いします(^_-)~☆


珠さま

明けましておめでとうございます。
いきなりですが、拍手の件ではもう何て言っていいか・・・涙が出そうになるくらいうれしかったです(>_<)珠さん、本当にお気遣いありがとうございます。いつもコメントでもすごく力をいただいているのに、さらにお手数掛けてすみませんでした。でも超うれしかったです!!
そして「たこあげ」♪入江くんの凧って、手作りであってもすごく威厳あり、気品ありのような気がしますよね~( ´艸`)私も見たい!欲しい!デス~☆琴子ちゃんはそれを大空高くあげたかったという、やはりまた違う「愛」を持ってましたからね(笑)。
今年もぜひぜひこちらこそ、よろしくお願いします☆

by chan-BB
2011/01/08(土) 13:04 [Edit
拍手コメントありがとうございます
繭さま

こんにちは。やっと連休も終わり、長い冬休みから解放されたような気がしますよね。
今回お正月には、去年の「ふくわらい」に引き続き、同じようなパターンで「たこあげ」を書こうと去年から思っていました(^^;)ちょっとだらだらと長くなってしまったのですが、細かい部分まで読んでいただき、とってもうれしいです♪
確かによく言えばてんこ盛り状態で(笑)。悪く言えばもうあれもこれものごちゃごちゃ状態で(苦笑)。入江家の人を書いていると、ついついそのキャラ各々の様子が目に浮かんでしまって・・・これは原作のキャラの位置づけが本当にしっかりしているからだろうと思いますが、私も妄想が止まらなくなってしまうんですよ(^^;)
笑ってほっこりしていただけたなら、もうお正月作品としては、大大満足な反応ですので、本当にうれしいです☆そしてこの凧事件以来、近所に顔を出しにくくなった入江くんが琴子のせいにして(本当に琴子のせいなんですけど 笑)おしおきを兼ねた部屋でのおこもり生活っていうの・・・(*^m^*) 繭さん、超ナイスアイデアであります~~さすがです~~♪
by chan-BB
2011/01/11(火) 14:36 [Edit
拍手コメントありがとうございます
denkoさま

はじめまして!昨年からお越しいただいているのですね♪入江くん凧楽しんでくださって、ありがとうございます。入江くん凧、ぜひぜひ描いてほしいです~~(*^_^*)気高い凧になりそうですよね。
どうぞこれからも、ぜひ遊びに来て下さいね。よろしくお願い致します☆
by chan-BB
2011/01/18(火) 19:06 [Edit
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2011/02/03(木) 22:02 [Edit
コメントありがとうございます
くーこさま

「たこあげ」楽しんでくださいました~?(*^m^*) 「遊園地」とは、すごくうれしい言葉です☆ありがとうございます。新年早々こんなバカバカしいお話でどう?と思いつつ、年末から「今年は『たこあげ』だな☆」と決めていた私(^^;)琴子ならば、入江くんの写真入り凧を揚げてくれるはずだと!そんな変な確信をもちながら、こんなお話考えてみました。くーこさん、いつもいいところばかり探してくださるので、本当にうれしいです(*^_^*)ありがとうございます☆
そして、他の方からのコメントで、まだまだ「カルタ」や「人生ゲーム」がいけるなと思っている私であります・・・(* ̄m ̄)
by chan-BB
2011/02/04(金) 23:47 [Edit
拍手コメントありがとうございます

hirominさま

こういう非常にバカバカしいお話もうけつけてくださるのって、すごくうれしいですよ~♪ギャグもいいって言っていただき、ほくほくしちゃいました(*^-^*)ありがとうございます☆
琴子のすることなす事に呆れて怒ったりしながらも、そういう琴子も好きだったりする入江くん(*^m^*) 微笑ましいですよね~。しかし、hirominさんのコメントでものすごく感動したのが、“入江くんの凧を揚げたかった理由が、天国のお母さんに見せたかったからかも”というところ!!わ~~、これ使わせてもらいます~~(笑)『これが理由でした!』と今さらながらに書き足したい気分です~~!!琴子ってそういう純粋な気持ちありますものね☆
昨日は本当にたくさんのお話に拍手をいただき、ありがとうございましたm(_ _)mものすごくうれしかったです。自分でもあんな話、こんな話書いていたな~と少し思い出したりもしました。
こういったみなさんの拍手やコメントなどのお心遣いで、たまに落ち込み気味の時もあるのですが(自分の話のつまらなさ、下手さに時々落ち込みます 苦笑)「また書こう!」と気持ちに切り換えられています。またこれからも、ぜひ遊びに来てやってください(^^)/
by chan-BB
2011/02/19(土) 14:59 [Edit

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プロフィール

千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

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