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2009.11.28 *Sat*

FIRST WINTER



今日は俺が久しぶりに大学に顔を出す日。
結婚、新婚旅行と人生のビックイベントを終え、俺は大学を休学したまま、親父の会社で会社を建て直すために働いていた。
コトリンのゲームソフトも完成し、やっと会社の方も落ち着いて来た。
今は残務処理のためだけ、会社には顔を出している。
来月大学への復学へのめどがつき、教授から今後について一度ゆっくり話をしたいと申し出を受けて、この日は朝から大学に行く予定にしていた。


当然我が家のカレンダーには早々と
「祝☆入江くんと結婚後初登校の日☆☆」と書かれて、琴子のテンションは日増しにあがっていくのが目に見えてわかる。

「ああ~ん、たのしみ~♪」
「あと5日!!がんば!」
「緊張してきたよぉ・・・」

・・・誰に向かって書いてるのか・・・毎日黒く埋め尽くされていくカレンダーが痛々しい・・・。


なのに、今朝の琴子は機嫌が悪い―――。


「いってらっしゃい、琴子ちゃん♪ほらほら、お兄ちゃん、夫婦なんだから、手を繋いで行きなさいよ~!」
「お義母さん、いってきます」

おふくろには、いつもと同じように笑顔であいさつをするが、俺には視線を合わせない。
時折、俺が見ていないでいると思える時に、ちらりと俺の方を見ている様子がうかがえるが、その視線はいつものように甘い、熱いものでないことは、痛いほどわかる。
ゆっくりと視線の方向に目をやると、わざとぷい、と視線を外すのがよくわかる。
明らかに俺にわかるように視線を外し、抗議しているのだろう。
でも、あえて俺は何も言わない。
想定内だから。


久しぶりの大学に入ると、足下の朽ちた黄色や紅の落ち葉が、幾分か減ったものの、まださくさくと音をたてる。
つい最近まで、時折春のような陽気な日もあったのにと思いながら、気がつくと息が白くなっているこの季節。
とうとう、こんなところまで、一言も話さず来てしまった・・・。
あんなに楽しみにしていた日なのに・・・、琴子、今日は辛抱強いな。
お互いの学部への分岐点も近い。
ざくざくと枯落ち葉を踏み、荒い音をたてる琴子の足下から、未だ何か訴え叫ぶ声が聞こえてくるようだ。

「・・・俺が悪いのか?・・・」
珍しく、琴子の後ろを歩きながら、何も言わないつもりだったのに、琴子の創り出す「ざくざく」という音に不快極まりなくなり、思わず声をかけてしまった。

「・・・気がついてたの?」
少し口を尖らせて、後ろを振り返る。

「その態度見てりゃ、わかるだろう。ふつう」
「そうよ!入江くんが悪いのよ・・・」
「・・・」
「理由はなんなの?ねえ?」


―――元はといえば、おまえが悪いんじゃないのか!?

今日、早朝の一番気温の下がる時刻に、俺はあまりの寒さに目を覚ました。
俺は布団も被らず寝ていたようだ。
滅多にないことだと思いながら、まだ眠気から覚めないぼんやりした状態で手探りで布団をひっぱり自分に掛けようとするが、布団を掴むものの、いっこうに動かない。
なんだよ、これは!全く動かない布団に、思わず勢いつけて身体を起こす。
ぐるぐるに布団を巻き付けて、布団からまるで犬の「お手」状態で手だけを出して、寝ている琴子を見て、ため息をつく。
・・・ったく!
布団の端を見つけて、そこから、くるくると琴子を回転させながら、布団を引っ張り上げやっと自分に布団を掛けることができた。
ううう~ん・・・。それでも、全く起きない琴子。
どういう神経しているのやら。

布団に入り、冷えた身体を琴子にくっつけて、温めてみる。
冷たい俺の身体を押しつけられても琴子は起きない。
すごいやつだな・・・と苦笑しながら、さらに冷えた足を琴子の足に絡めてみる。
温かい。
琴子の体温と布団の中の温もりで少しずつ冷えた身体の体温が上がっていく気がする。
もう少し眠れるだろうか、目をつぶり、顔を琴子の柔らかい髪の中に埋めて、再度眠りにおちようと試みる。
・・・が、どうやらすっかり目が覚めてしまったらしい。

指に琴子の髪の毛をくるくると巻き付けながら、寝顔をしばらく見てみる。
口をぽかんと開けている。
こいつ、口呼吸してるんだな、ぷっ・・・。
無防備に開けた口に俺の掌をあててやると、案の定息苦しそうに顔をしかめて、んんん~・・・と寝返りをうち、俺に背中を向けた。
背中から抱き枕のように琴子に抱きついて、体温を自分に移させようとする。
しばらく体温を求めていたが、体温への欲求が満たされると、今度は抱き枕があまりに気持ちよくて、別の欲求が芽生えてくる・・・。


―――――どれくらいたっただろう。
「えっ、えっ??・・・入江くん?」
「・・・起きた?」
「な、なななな、何してるのっ!!???」
「朝から、でかい声出すなよ」
「で、で、でかい声って、きゃあーーーっ!!なに!?そっちは、朝から何してるのよ?」
「何って・・・わかってるから、おまえでかい声出してるんだろ?」
「なっ!!」


そう・・・。
琴子の聞きたい理由は、全部この早朝の件だろう。
でも、ここは大学の構内。
ただでさえ、電撃結婚したばかりの俺たちに、人の目は集まり易く、今も二人で登校している様子を何人もが振り返って見ている状態。
そんな状態で、こんな問答をしてられるか。
あまりに赤裸々過ぎるだろうが。

「じゃあな、おまえはあっちだろ」
ちょうど二人の学部への分岐点となる校舎の前で、俺はそっけなく手を振り、琴子を追い抜いて後ろをふりかえらず、校舎の中に歩き出した。

「もうっ!入江君ひどいっ!あたし、理由聞かないと、今日一日講義が耳に入らないよ~!」
もともと、しっかり講義を聴いている日があるのか。

突然、腕をがしっと掴まれ、琴子が必死の形相で語気を荒げて俺に話しかける。

「じゃあ、どっちかだけ教えて!け、今朝のことは・・・、あたしが『好き』だから?それとも・・・」
顔を真っ赤にしながら、さっきまで真っ直ぐに見ていた目を、下に反らせ
「それとも・・・、あれは、ただの・・・せ、せ、せい、・・・」と言い出したところで、これは爆弾投下の予感を感じ、とっさに琴子の口を手で思いっきり覆った。

「うぐっ・・・」
「大きい声を出すなよ、ここは大学だろ!」
思わず、周りを見回してしまう俺。

「ぐ、ぐるじいよぉ・・・」
少し手を緩めてやると、今度はいつものねだるような目で俺を見上げ
「・・・欲だったの?・・・」と呟いて、今度は落ち込んだような目で、足下に視線を落とした。


どれだけこの短時間でころころと表情が変わるのか――――。
「もう、授業始まるぞ」
「ええっ?」と自分の腕時計を見て、今度は慌てる表情をする琴子を、俺は少し口元をあげて笑うと、医学部に向かう暗い廊下を歩き出した。
「あ、入江くん!答え、まだだよ~~!」
「・・・」

何度かうまくかわしたつもりが、今日の琴子は意外にしつこい。
「入江くん、教えて!!」
「両方」
「え?・・・」
「じゃ」

多分、呆然としているであろう琴子を背後に想像しながら、また堪えきれず笑みを浮かべ、ポケットに手を入れて俺は進む。


「じゃあ、それって、『好き』だから我慢できなかってことだよねーーーっ!!??」
少し遠くなった俺に聞こえるように、誰が聞いても弾んだ声で叫ぶ琴子。
朝のまだ冷たさの残る校舎の壁、廊下に思いっきり響き渡るその声と内容は、全くもって想定外!!!
また、周りを見やる俺。
いつから、こんなに人目を気にするようになったのか。


「もう、これ以上話しかけるなっ!授業始まるぞ!!」
琴子の声を消すように、校舎の冷たい壁に向かって俺も大声で冷たく吐き出すように叫んだ。

「きゃあ~~~っっ、うれしい~~っ♪」

・・・話が噛み合ってない・・・。
周りから見たら、怒鳴る夫に「うれしい」と驚喜する妻にしか見えないだろう。
変態夫婦か。もう周りを見回すのも情けなくてできない状態だ。
だいたい、好きで結婚したんだろうが!
しかも結婚式をあげたのが、数週間前!
この前はコトリンの完成祝賀会で、妻と紹介して、すごく喜んでたじゃないか!
それを今さら確認する必要が俺にはわからない。
そして、夜がよくて、なぜ朝だとこんな詰問されなければいけないのか!?
「好き」にだけ異常に反応した琴子が、琴子らしいというか・・・。


背中から、琴子の熱を持った視線を感じながら、ぱたぱたぱたと走り去る音が聞こえてその音が遠くになっていくと、やっと安堵した。
ざくざくという枯落ち葉の音が、なぜそんなに不快だったのかと考えながら、
―ま、理由なんて、結局どうでもいいんだけどな
―あいつと出会ってから、すべてにおいて、理由なんてあってないものだ
俺は寒い廊下を再び歩き出した――――。



今は冬の始まり。そして初めての冬。





(この話は「イタKiss何でも書いてみよう!」に投稿させていただきました。)

************

初めて書いた二次創作です。
できた時は「やった~!」という達成感があったのだけど・・・。
後で、読み直すと、もう超恥ずかしい(>_<)!!
下手だし、ベタだし・・・。
でも、やっぱこれも残しておかないとね・・・って感じです。



COMMENT

蓑虫琴子
          こんにちは
 琴子の布団寝姿・・・蓑虫みたいですねぇ・・・。 いやぁ~自分では分からないが私もそうみたいです。 自分のは着ずに隣に置いて取るらしいです。でも寝てるんだから 知らないよぉ~だぁ。 
 好きだから、直樹の中では欲情するのに時間なんて関係ないんですよねぇ。 もう思い立ったらマッシグラァ・・・ 琴子は そうじゃないみたいですがぁ・・・。 両方・・・ごもっともです。理由なんてないですよねぇ・・・。好きで愛してる気持ちが動かしてるんだから。
by 吉キチ
2010/11/19(金) 16:51 [Edit
コメントありがとうございます(*^_^*)
吉キチさま

こんにちは。なんとまた、懐かしい作品を読んでくださったことか!!(笑)この作品は、私が初めて書いた二次創作であります。拙すぎる文体ですが、なんとなく私の書きたかった部分は想像していただけたのではと・・・( ̄m ̄*)天才だって、人を愛しちゃうし、天才だって欲情するってところですかね(^m^ )
そして吉キチさんの私生活まで教えていただき(笑)なんだかすっごくお得な気分であります♪いつもありがとうございます☆
by chan-BB
2010/11/22(月) 14:49 [Edit
入江くん、本能で生きる?!笑
いつも楽しませて頂いてます。ありがとうございます!
久々に以前のお話も読みたくなりまして、勝手に復習させて頂いてます。
若い新婚夫婦のイチャイチャな朝が初々しくて、大好きなお話です!
今日もまた幸せな気分をごちそうさまでした!笑
by REE
2011/09/05(月) 16:39 [Edit
コメントありがとうございます

REEさま

なんと懐かしいお話(初めて書いた二次創作です)にコメントを!
ありがとうございます。いつのお話にコメントいただいても、とってもうれしいです~♪
文章が堅くて堅くて・・・うまく自分の描いているように書けなくって、何日もかかった作品です。
それだけに新婚夫婦の朝のイチャイチャを楽しんでいただけて、とってもうれしいです(*^_^*)
by chan-BB
2011/09/06(火) 17:54 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆

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