08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
<< >>


2010.06.10 *Thu*

夢の階段 A


―「ここでキスのお題」―

1.朝の食卓
2.午後の屋上
3.雨の車中
4.夕方の公園
5.夢の階段

配布元:COUNT TEN.

今回は「夢の階段」で書きましたが、これは二つ話が浮かびました。
全部視点を変えて書く予定なのですが、急に思い浮かんだのが琴子視点で、先にこっちを書き上げてしまったので、今回「夢の階段A」としてUPしたいと思います。
短文じゃないです・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


朝起きたら、愛する人が隣で眠っているの。
その寝顔を見て、あたしは幸せを感じる。
そして目を覚ました愛する人から、「おはよう」がわりにキスを一つ。
これが世界一しあわせな目覚め。
世界一素敵な朝。


あたしはそんなシチュエーションにずっとずっと憧れていた。
朝って一日の始まりで、一日で一番心がピュアな時だと思うの。
そんなピュアな朝の空気の中でもらえるキスは、何の雑念もない本当にピュアなキス。
心から愛されていると感じられるキス。
だから・・・だから・・・。


―入江くん、お願いします
―あたしに、朝のキスをしてください


あたしはベッドの中で、ぎゅっと手を組んで祈っている。
今、隣で寝ている人に、この思いが届きますように・・・。
あたしはベッドの中で身体を硬直させて、真っ直ぐ上を見ながらひたすら祈る。

目の上、視界の先に見えている高い天井には、きらきらと朝のまぶしい光が部屋にはいってきて、いろんな色を映し出していた。
それはまるで宝石みたい。
いつもの家の朝の風景とはやはり違う、ハワイの朝の風景―――。


昨日、あたしと入江くんは・・・・・・・夢のようなことをした・・・・きゃあああ////。


思っていた以上に・・・・あたしのせいで手こずったけど・・・、入江くんが思ってた以上に優しくて・・・・なんとか、なんとかあたしたちは、結ばれました・・・///。
はああ・・・、でも思い出しただけでも、恥ずかしい・・・・///。

ちらっと横を見ると、まるでタイミングを計らったみたいに、入江くんがごろんとあたしの方に身体を向けて寝返りをうってきた。

ひぃぃ。

こんな変な奇声をあげるなんてみっともないけど、本当にこんなに近くで入江くんを見ることができるなんて・・・。
前にバレンタインの日に入江くんのマンションで一緒に眠ったことがあったけど、あの時とはまた全く状況が違う。

だって昨日の夜は、この入江くんの切れ長の目があたしだけを熱く見ていて、入江くんのこの唇があたしを・・・・・、このきれいな指があたしを・・・・・きゃあああああ///。


「・・・・朝から妄想かよ」

目を瞑ったままの入江くんから、そんな声が聞こえてくる。

「あれ?あたし、幻聴?」

「幻聴じゃねーよ。現実だ」

横を向いたまま、ぴかって光るように入江くんが目を開けた。

「きゃああ」

なんだかすごくまぶしいものを見たような気がして、あたしは手で自分の目を覆った。


「ばーか」

呆れたような入江くんの声が聞こえてくる。


・・・・確かに、バカな行為だと思った・・・。

入江くんはあたしの旦那さまなのに、旦那さまを見てまぶしいって目を覆うなんて・・・。
本当にあたしって、いつまでたっても入江くんを王子様のように見ているんだなって、少し情けなく思ってしまった。
昨夜はこの王子様とあんなことしたのに・・・・いや~ん///。


ダ、ダメーーーーー!!
もう、何もかも、昨夜のことに結びつけるのは、ダメーーーー!!
あたしって、あたしって、すごくいやらしい女の子みたいじゃない///。


「一人で、妄想続けてろよ」

すうっとシーツが軽く浮かんだと思ったら、入江くんがあたしの横から抜け出して、ベッドから下りていた。

「い、い、い!!///」

「おまえも、おれがシャワー浴びてる間に、何か着とけよ」

入江くんはあたしに背を向けて顔だけ振り返り、笑いながらシャワー室の方に歩いて行ってしまった。
何も着ずに・・・・きゃあ///。


あ。
朝のキス!!


はあああん・・・・・。
もう、こんな意味不明の妄想と会話している間に、朝のキスをしてもらえなかった・・・・。
かなりショック・・・・。


でも落ち込んでいるわけにはいかない。
今しなくてはいけないことは、とにかく何か着ること。
入江くんのシャワーの音がしている間に何か着なくっちゃ。
入江くんが出てきたら、こんな状態じゃベッドから出ることもできない。
あたしはとりあえず的に、ベッドの下に落ちていた、昨夜着ていたTシャツやズボン、そして下着を拾ってそれを着た。
あとであたしもシャワーを浴びるから、今はこの格好でいい。

あたしが全て着替えると同時に入江くんがシャワー室から出てきた。
ちゃんとバスロープを着てくれている。
なんだか、ほっ。


「朝飯どうする?部屋に持ってきてもらう?食べに行く?」

入江くんが髪をタオルで乾かしながら、本当にごくごく普通に、いつもの入江家での朝と変わらないような態度で聞いてくる。

「え・・・どっちでも・・・・。あ、あ、やっぱり食べに行く!!」

今、この部屋に誰かが入って来ることが嫌だった。
この空間だけは、帰るまではあたしと入江くんの二人だけの空間にしたかったから。

「じゃ、おまえもシャワー浴びて、早く着替えろよ」

「あ、あ、入江くん、その前に・・・」

「何?」


―朝のキスしてほしいな・・・・


と言いたいけど、タオルで髪を拭きながら、ちょっと気だるそうにこっちを見る入江くんに、とてもじゃないけど、言い出す勇気があたしにはなかった・・・。
それに、これは頼んでしてもらうものではなく、できたら、入江くんに自発的にしてもらうことがあたしの夢であって・・・・。

「時間なくなるぞ。早くしたら」

「あ、うん・・・」

結局せかされて、あたしは急いで着替えを用意する。
そして、シャワールームへと向かった。


シャワーを頭から浴びながら、いろいろと考える。
ここ最近のあたしは、すごく欲張りになっている。
六年間もの片思いを経て、やっと入江くんと両思いになれたことでもすごくしあわせなのに。
さらにそれからすぐに結婚することになってしまった。
そして、憧れのハワイに夢にまで見た入江くんと一緒に来ることができた。
もうこれだけでも、六年間の片思いの代償としては、おつりがくるくらいのしあわせだ。

身体中に泡立てたソープをシャワーで落としながら、明るい照明の中で、自分の白い肌を確かめるように見る。
ところどころに残る赤い印は、きっと入江くんに由来するものだと思う。
そして、少しひりひりするような痛みも・・・、入江くんに由来するものだと間違いなく思う。
昨日の朝とは違うしあわせのしるし。
たった一日でもこんなにたくさんある。

よかった。
本当によかった。
入江くんがあたしのはじめての人になるなんて、本当に本当に片思い時代のあたしから考えると夢のような出来事だよ。

最高にしあわせ―――。


ジェットコースター的に過ぎていったこの数週間。
この数週間で、たくさんの階段を上がりすぎて、あたしは本当に欲張りになってしまっている。
だから、朝のキスくらい、まだまだおあずけにしてる方がいいよね。
―うん、そうだ。
いっきに夢を叶えすぎると、頂点が見えちゃうと、楽しくないもんね。
―うん、そうだ。

そう自分で言い聞かせながら、あたしはきゅっとシャワーの水を切った。


「遅いな、ホントに」

シャワーを出て、軽く髪をドライヤーで乾かし、軽くメイクをして出てくると、入江くんが腕を組んで仁王様みたいな顔で待っていた。

「ご、ごめん」

女の子の支度はいろいろかかるんだよ・・・。

「お腹すいた。早く行くぞ」

入江くんに腕をひっぱられて、ドアの方に向かう。
ところがいきなり入江くんが立ち止まるから、あたしはドンと入江くんの背中にぶつかってしまった。

「やだ、なに~?」

おでこをぶつけて結構痛い。
こぶができたんじゃないかと、手でおでこを触っていると、くるっと入江くんが振り返った。


「その服・・・清里でも着てたよな?」

「え・・・」

「あのときおまえ、寝てたけど」

入江くんのくすっと笑う顔が、目の前で認識されたと同時に、ふうっと軽くのけぞるように身体が後ろに反った。
のけぞる支点になったのは、あたしの唇。

入江くんにキスをされた。




朝のキス・・・・・・・・。



バターン



「こ、琴子!大丈夫か!?」

自分でも「バターン」という音がしっかり聞こえた。
ちょっと血相を抱えた入江くんの顔が、あたしの上にきらきらと朝の光と一緒に見える。

「なんで、ここで倒れる?頭は打ってないな・・・。脳貧血か!?シャワーが長すぎたんじゃないか!?」

入江くんがお医者さんの卵らしく、あたしの脈を取りながらあたしの顔を覗き込んでいる。
ちょっと心配したその顔も、入江くん、すごくセクシーだよ。

でも大丈夫。
問題ないよ。

あたし、いっきに階段を上りすぎて、ちょっと息があがっただけ。
まさか、こんなに夢が全て叶うとは思っていなかったから・・・。

ハワイのホテルの天井は、本当にきらきらと宝石みたいな光が入ってくる。
そのきれいな宝石みたいな光と一緒に、今あたしのそばにはちょっと心配顔した入江くんが見える。
すごくきれい。

ありがとう神様。
こんなにたくさん夢を叶えてくれて。
もう、あたしはこんなに頂点まで登りつめて、思い残すことはありません。

「入江くん、ありがとう」

あたしは、心地よい光のベールをまとい、ゆっくりと目を瞑った。



ペチッ


「った!」

「早く起きろ!飯、終わっちまうぞ」

「もう~~~~っ!!デコピンすることないじゃないーーーっ!」

「こんなところで、ぐずぐずしてるだけ無駄だ!ほらさっさと立て!飯行くぞ!」

そう言って、入江くんはあたしの腕をひっぱって、勢いよくあたしを起き上がらせた。

「もう・・・」


でも確かにそう。
入江くんの言うとおり。
こんなところで、もう登りつめたからとぐずぐずしてたら、あたしたちのこれからには何があるの?
上がったり下がったり・・・・、これから先、きっといろいろまだあるはず。
だから、ぐずぐずしているなんてもったいない。
それにあたしはこれ以上欲どおしいと思うけど、やっぱりもっともっと入江くんと夢を見続けていきたいだもん。


あたしは背を向けて歩いて行く入江くんの腰のあたりに、ぎゅっと手を回してくっついた。
入江くんは全く動ぜず、そのままずるずると腰にぶら下がるあたしをドアの方までひきずっていく。
ドアの前まできたら、入江くんが腰に回したあたしの手に、自分の手を重ねてくれた。
あたしは、じ~んと心が熱くなる。
そして調子にのって、また懲りずに祈ってしまう。


―入江くん
―朝のキスは起きてすぐにベッドの中でするのがベストなんだよ
―次はぜひそのシチュエーションでお願いします


まだまだあたしの夢は終わらない・・・。




**********

また琴子視点・・・今回はちゃっかり者の琴子って感じでしょうか?(^^;)
さらにまたシャワーでてきてるし・・・(マイブーム?苦笑)。
新婚旅行から帰る日に、原作で琴子は清里で着てたサマードレスを着てましたね♪
あれが印象に残ってたので、今回ちょっと触れてみました。

「夢の階段B」は別キャラ視点でまた後日、書き上がったらUPしたいと思います。

でも甘めのものを続けて書いたせいか、今度は辛めのものを書きたくなってきたなあ~( ̄m ̄*)


COMMENT

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
by
2010/06/11(金) 13:32 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
ぴくもんさま

こんにちは。なんですか~!?今回のコメントのかわゆさは~~(*≧ε≦*)ぴくもんさんのコメントだけで、きゅうんとしてしまいました(*ё_ё*)このちゃっかり琴子に原作を思い浮かべてもらい、もうもったいないお言葉です!そして琴子のこんなシチュエーションにこだわるところも「あり」と思ってくださって、うれしいです~♪そしてさらに私はぴくもんさんのコメ読んで、入江くんの引き締まったお○りを想像して(笑)、私の方こそかなり楽しませてもらいました( ̄m ̄*) 新婚旅行の帰りの服が清里と一緒だと、やはり気づいてました~?これ、多田先生も敢えてそうしたような気もしますよね?(*^_^*)あの服を着て、直樹にもたれかかって機内で眠っている琴子を見て、あの時とは違う二人を感じて私もしあわせな気持ちになりました☆


maroさま

こんにちは。同じですよ・・・パ○ラッシュ思いだしたの(笑)。そう、まさにそれを頭で思い浮かべながら、その場面書いてましたから・・・なんかこのリンク恐いですよね・・・(;・∀・)そして、直樹がシャワー浴びて出てきた時、私も琴子と同じくバスロープでホッとしましたよ!!ここでついついいつもの調子で、直樹が腰タオルで出てきた日にゃ~(>_<)ま、こんなさわやかな朝はないでしょうね!(爆)そして、何のために直樹、焦らし作戦!?(笑)もう、その説にえらい笑わせてもらいました!!そしてまたまた、私が好きそうなネタをたくさんと・・・今、私、妄想が頭の中をいろいろ舞ってますよ、そしてカチカチと・・・( ̄m ̄*)私大好物ですよ☆琴子の要求に嬉し恥ずかしのっちゃって、そしてガツーンと貶められる直樹・・・ふふふ(`∀´)薔薇をもったまま、うーんと失・・・(そろそろ・・・)。


くーこさま

こんにちは。今回は、ある意味かなりハードルの高かったあの日の翌朝のお話でした~(*^_^*)そうなんです。その初めての夜は、私は書いたことないんです。いやもう、そこは私にこそハードル高すぎて(^_^;)くーこさんのかわいい要求を読むとぐら~ときそうですが(笑)、なかなかなかなか・・・(笑)。今回も朝はあまり甘くない入江くんで、物足りなかったかもしれませんが、私の中ではいざという時だけ、入江くんはデレ~としてほしいので、やはり「夜」がその頻出度は高いと妄想しております( ̄m ̄*)ギャップ萌えは、私も大好きです☆
by chan-BB
2010/06/12(土) 12:49 [Edit
コメントありがとうございます(*^_^*)
藤夏さま

こんにちは。今回は私は意外に書いてそうで書いてなかった、あの日の朝の様子でした♪「夢の階段」ってタイトルで、こんな話が浮かんだんですけどね(^_^;)仕上がってから、こんな日の朝だから、直樹がもう少し優しく甘い言葉を囁いた方がいいのかと思いつつ、ちょいと小憎らしい感じになってしまいました。でも、「ばーか」やデコピンに直樹らしさを感じてもらえてよかったです☆でもこの言動って、もしかしたら照れ隠しも入っているのではないのかな?って、原作を読んでいても時々思っちゃう私です( ̄m ̄*)この日で琴子の大きな夢は叶いましたよね~。でも、この先、まだまだたくさん二人で作り上げる夢はあるはずで・・・。そんな思いをいれて書いてみました。Bは藤夏さんも書かれたことのあるあの方で、考えています~(^_^)v甘いの書いたら辛いの、辛いの書いたら甘いの・・・反動ってありますよね(^_^;)
by chan-BB
2010/06/12(土) 13:06 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
繭さま

こんにちは。コメント読ませていただいて、繭さんの中でもこの新婚旅行の次の日の朝のお話がしっかりあるんだな~ととても興味深く思いました(^^)恥ずかしがる琴子に少しからかう直樹。そうだなあ、原作からだとそんな感じだなと改めて思わせてもらいました。琴子のワンピースは、まさに清里で着てたワンピースでしたよね♪確認してくださって、うれしいです。でも二人の初めての朝の次の日には、ぴったりのアイテムだったと私は思います(*^_^*)原作ではそれほど詳しく描かれていない、新婚旅行から帰る日の話。「恋」という点ではかなり階段を上がった二人ですが、「結婚」という点では本当にこの日にやっと階段一段目を上がったって感じですよね(*^_^*)
by chan-BB
2010/06/14(月) 16:37 [Edit

Comment Form


秘密にする
 


プロフィール

千夜夢

Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
ここは、私の超個人的な妄想話置き場です。

原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
また、ブログ内の全ての文章・いただきものを含む画像等の無断転載・転用を固くお断りします。

まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
よろしくお願いします☆



カテゴリ



FC2カウンター



FC2カウンター

現在の閲覧者数:



最新記事



最新コメント



リンク

●Swinging Heart(ぴくもん様) swingingheart
●のんきもののお家(わさこ様) no banner
●日々草子(水玉様) 日々草子
●kiss shower(幻想夢 影菜様) kiss-shower
●雪月野原~snowmoon~(ソウ様) snowmoon
●初恋(miyaco様) no banner
●HAPPY☆SMILE(narack様) HAPPY☆SMILE
●イタズラなkissの二次創作マナーを考えよう!(イタkiss創作マナー執筆者X様)
●みぎての法則(嘉村のと様) no banner
●Embrasse-moi(ema様) no banner
●φ~ぴろりおのブログ~(ぴろりお様)
●真の欲深は世界を救う(美和様)
●イタKiss~The resident in another world ~(九戸ヒカル様)
●むじかくのブログ(むじかく様) no banner
●つれづれ日和(あおい様) no banner
●Snow Blossom(ののの様) no banner



素材拝借

 ミントBlue様               



Copyright © こんぺい糖と医学書 All Rights Reserved.
テンプレート:サリイ( ブログ限定配布版  / 素材: ふわふわ。り )