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2010.06.02 *Wed*

雨の車中


―「ここでキスのお題」―

1.朝の食卓
2.午後の屋上
3.雨の車中
4.夕方の公園
5.夢の階段

配布元:COUNT TEN.

今回は「雨の車中」で書きました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ほら、雨があたるから、早く二人とも乗りなさい」

わしは直樹と琴子ちゃんを車の後部座席へと促し、自分は運転手の横に座った。
直樹は、すごく不満そうだ。
今日ここで仕事を中断して、家に戻ることが不満で仕方ないのだろう。
大泉会長からの援助をいただけることになり、会社はいい軌道に乗ってくれるとは思っているが、それだけにいろいろな問題は山積みで・・・、病み上がりのわしの代わりに、そして急に決まった結婚のために・・・。
直樹のかかえる仕事の量は、半端でない。


「入江くん、ごめんね・・・。あたしが会社に来ちゃったために」

琴子ちゃんは機嫌の悪い直樹の顔色をうかがい、バツが悪そうに後部座席で小さくなっている。

「直樹、わしが連れてきたんだよ。最近おまえは、家にも全然帰って来ないし、もうすぐ結婚式だというのに、琴子ちゃんと顔をろくに会わせていないからな」

「その結婚式のために、余計に仕事を今進めないといけなくなってるんだろ!今日だって、家には戻るつもりはなかったのに・・・」

少し語気を荒げて、苦虫を潰したような顔で直樹が言う。


直樹には本当に申し訳ないと思っている。
わしの社長としての手腕が未熟だったために、こんな会社の混乱を起こしていること。
そしてわしの体調不良のために、まだ大学生の直樹に大きな負担をかけていることを、心から申し訳ないと思っている。
本当に自分の不甲斐なさが情けない。

しかし直樹は、我が息子ながら、すばらしく優れた人材だ。
直樹は子どもの頃から、逸脱した頭脳と冷静さをもっていた。
だからこそ、今回もまだ20歳そこそこの大学生でありながら、今会社を建て直し、うまく軌道をのせてくれようとしている。
その冷静さと判断は、いつも間違うことはない。
今回の直樹の働きぶりをみても、本当に直樹が何においても完璧だということがよくわかる。

ただ我が息子ながら、頼もしい反面、前からこれでいいのかと思うところが一つあった。

――人としての感情の面だ。

直樹は大きく感情を表すことがなかった。
そして、本心が何なのかも・・・親のわしでさえなかなか掴めなかった。
直樹は感情さえもコントロールして生きているのだろうか。
この子はずっとこのままで、楽しいのだろうか、幸せなのだろうかと、どこかいつも気になっていた。
しかし今回、この会社の再生の際に、直樹のいつもの揺るぎない判断と感情が乱れた瞬間をわしは初めて見た。

今、後部座席の直樹の隣に座る琴子ちゃん。
直樹ともうすぐ結婚する琴子ちゃん。
彼女だけが、直樹のいつも冷静な感情を揺さぶり、そして直樹の冷静な判断を狂わせた張本人。



「入江くん・・・・雨、降ってる・・・ね?」

「そんなの、見りゃわかるだろ!」


ちらちらとミラーで後部座席を見ると、まだ直樹の機嫌は悪いのか、婚約者だというのに琴子ちゃんに優しい言葉ひとつもかけてやってない。
ママが琴子ちゃんを会社に連れて行ったら、直樹もきっと喜ぶというので連れてきてみたが・・・、かえって直樹の予定を狂わせてしまい、直樹を怒らせてしまっただけのような気がする。
なんだか琴子ちゃんに気の毒な感じがしてきた。
直樹があんなに欲して止まなかった琴子ちゃんなのに、本当に今日はいったいどうなっているのやら・・・。



「先週も突然のひどい雨でしたけど、今日もかなりの雨量ですね」

運転手が私に話しかけてくる。

「ホントだね。この時期に先週といい、今日も珍しい天気だね」


先週の雨の日とはまさに、直樹が琴子ちゃんを連れて帰ってきて、結婚を宣言した日―。

怒濤の一日だった。
わしは、あんな情熱的な直樹を生まれて初めて見た。
これが直樹の心の中にあった熱い本心と感情なのだと、あの時わしまでもが胸が熱くなった。
先週はあんなに、しっかりと琴子ちゃんへの思いを家族にも打ち明けてくれたのに・・・今日はなぜにそんな態度が悪いのか・・・。
わしはまた、ちらりとミラーで後部座席の二人を確認する。


「・・・・・・・・・」



「なに?」

直樹とミラー越しに目が合う。

「いや・・・、ただ、後ろの席は寒くないかな?と思って。空調は問題ないかな?」

「問題ないよ」

「そ、そうか。わるかった」

冷たい息子の返事に、もうミラーで後ろを見るのはやめようと思った。



「社長、雨の音うるさいですよね。何か音楽かけましょうか?」

運転手が気を利かせて私に聞いてくる。

「いや、いいよ。わしはこの雨の音もいいBGMだと思っているんだ」


しばらく雨の音を聞き車を走らせていると、時折、後部座席から琴子ちゃんのくすくすと小さな笑い声がもれてくるようになった。
くすぐったいようなかわいい声だ。
どうやら、直樹の機嫌も直って、仲良くやっているようだな。


しかしまあ。
前の席に親のわしがいるというのに、直樹のやつは・・・。
さっきは、ミラー越しに思わず固まってしまったわい。


息子が彼女にキスしてる姿をこんな場所で見ることができるとはなあ。
なんとも・・・///。


直樹が普通の20歳の男子に戻るとき。
直樹のこんな姿を見ることができようとは、琴子ちゃんが現れるまで、本当に思ってもみなかった。
女性はおろか、人間にさえも、関心があるようにも見えなかった直樹が・・・。

天才天才と周りから騒がれ、非凡だった直樹も、今は平凡な幸せや愛情をしっかり噛みしめているに違いない。
なんだかんだいっても、こんな会社の大変な時期にママが勝手に決めてきた結婚式を、直樹は一度も「やめる」とは言いださなかったからなあ。
それが全てを表している。

それだけに、今の忙しさとストレスは半端じゃないことだろう。
それでも、その先にある琴子ちゃんとの結婚式にために、こんな過酷な労働を日夜している直樹。
琴子ちゃんだけは、直樹も一刻も早く自分の傍におきたいんだろう。

今日も予定を狂わされて直樹としては不本意だったようだが、結局は琴子ちゃんの姿を見て、普通の20歳の男子に戻ってしまっている様子が今はしっかりうかがえる。
直樹の心が安まるとき。
ママのいうとおり、今日は琴子ちゃんを連れてきてよかった。



「・・・ゃだ。こんなとこでぇ・・・」

「しっ、黙れよ・・・」

「んー-、もぉっ・・・きゃあぁ・・・///」



何とも言えない二人の甘ったるい会話が後ろから聞こえてきて、恥ずかしいくらいだ、全く・・・///。
何をしているのやら・・・、ホントにさっきまでの機嫌の悪い直樹はどこにいったのか・・・///。

さすがにもうミラーを見る勇気もないわしは、二人の会話にどぎまぎするばかり。
どうやら先週の雨といい・・、雨は直樹を素直にしてくれる力をもっているようだな。

くすくすと絶え間なく聞こえてくる二人の声。
しかしこの二人の囁く声と雨の音が、わしの心を癒してくれる。
そして、今回も直樹の土壇場での判断が、間違いなく正解であったとわしに確信させてくれる。

直樹に愛する女性ができたことが、わしは何よりも代えがたくうれしい――。


もう少しで家に着く。
今日の後部座席での出来事は、ママには内緒にしておいてやるから、短いが二人の時間を楽しんでくれ。



このお話の「直樹Ver.」はこちらから→  
**********

「雨宿り 狂想曲」では、入江パパをあまりにひどい扱いにしてしまったので・・・(>_<)
今回は、せめてものお詫びの意味をこめて、珍しく入江パパ視点のお話にしました。
重ちゃん、この前はごめんなさい☆ゴロゴロゴロ~


COMMENT

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2010/06/02(水) 21:56 [Edit
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2010/06/03(木) 00:10 [Edit
スッテキー(≧▼≦)
おはようございます♪←もうこんにちは、の時間ですかね(汗)

直樹パパ、気まずかったでしょうねぇ…(笑)

直樹と琴子の、短い婚約期間の中に、こんなステキなエピソードが隠れてたとはv
ラブラブですねぇvv


入江くんが、どうやって機嫌がなおったのか気になりますね☆
このお話の直樹か琴子サイドのお話なんて…あったりしませんか?←熱望vvv
by 愛結美
2010/06/03(木) 09:56 [Edit
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2010/06/03(木) 12:24 [Edit
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2010/06/03(木) 16:37 [Edit
コメントありがとうございます(*^_^*)
りきまるさま

こんにちは。入江パパのお詫びで書いた話といいながらも、パパを居心地悪くしている話ともいえるという・・・( ̄m ̄*)どちらにしても「狂想曲」で入江パパが「使える」と気づいてしまったんでしょうね、私(笑)。
なぜ機嫌が悪かったのに、機嫌が直ったのか?
後部座席で何をしていたのか?
一応、理由は考えて書いてました(^^)パパ目線だったので詳細は書かなかったのですが、入江くん目線のお話も希望していただいているということで・・今度書いて見ようかな~と思います(^_^)v
ちなみに、後部座席ではたいしたことはしてません。こ、こんな幼稚なこと?(笑)です。


ぴくもんさま

こんにちは。入江パパ目線は、確かに珍しいですよね。入江パパをターゲットにしちゃったのも、「狂想曲」からの流れなんですが、私の勝手な想像であの怒濤の10巻あたりをパパになったつもりで考えてみました。
お題が「キス」なんで、当然「キス」は入れないといけないので、あんな後部座席で、ふふふ~♪
ホント、何が「なに?」だよ!!?「このむっつりがっ!!」って、きっと運転手は思ってるでしょうね(そっちか!?笑)しかも意味深にひそひそとやってるようだし(これは想像で萌えていただけたらと(^^))。
私もPCが空いてる時間が少なくて・・・非常に困ってます。こうやって昼間すればいいのですが、仕事さぼってばかりもおられず・・・お互いうまく時間みつけてがんばりたいですね♪


愛結美さま

こんにちは。愛結美さんの元気なコメ読むと、こっちまで元気いただけます~♪ありがとうございます。本当は婚約時代でなくて、琴子がパンダイにアルバイト行ってた頃の車中でのことにしようかと思ってたんです。でも、この時代に「キス」はちょっと早いかな~と思い、婚約時代に変更しました。
直樹サイド、ご要望ですか?(笑)りきまるさんにも言っていただいたので、調子にのって書いてみようかな~と思います(*^_^*)そのときはよろしくお願いします~♪


藤夏さま

こんにちは。はい、素早いフォローでした(笑)。やはり入江パパをゴロゴロさせたあとだったので(^^;)ちょっとはいい役割をと・・・。第三者のいるところでの「キス」って、私も結構好きです。いつもと違ってどこか秘密的な萌えを感じるというか・・・( ̄m ̄*)藤夏さんの直樹にいろいろなものを与えた琴子を通して、入江パパが相原パパにも感謝してるっていう感想は、本当にそうだなってじ~~んときちゃいました(T_T)親友の娘が自分の息子にこんな素敵な世界を運んでくれてきたなんて、考えただけでたまりませんよね(>_<)
藤夏さんはいつも素敵なコメしてくれますよ。たとえ若干壊れているときでも(笑)。ありがとうございます~♪


舞さま

こんにちは。キリリクではお世話になりました~(^^)/入江パパ視点は、私も珍しいと思います。でもこの場面ではなかなかのぴったり人物ではなかったでしょうか?(自分で言うのもなんですが(^^;))入江パパだからこそ見て見ぬふりをしてくれたのもあり、ついつい直樹も後部座席で・・・って感じがありますから(笑)。何をしていたかは、また書いてみようかと思ってますが、ハードなことはしてませんので、ご安心下さい(^^;)琴子がやってくる前の入江家って・・・本当に考えたことなかったです!!しかし、かなり興味ありますよね!?う~妄想の範囲広がりそうです~ありがとうございます(^^)
by chan-BB
2010/06/04(金) 12:54 [Edit
拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
maroさま

おらにゃん~~~!!!本当に失礼しました、私、最近忘れていました、おらにゃんのこと(>_<)「おらにゃん推進運動」をすると前に言っておきながら・・・。おらにゃんを知らない方は、ぜひ検索を~!・・・ということで、今回はまさに直樹おらにゃん状態でしたね♪(笑)そっか、直樹は琴子だけに来てほしかったからすねてたんですね~(笑)。つまり重ちゃんは邪魔だったと!(そこまで書いてないですね)あ~でもmaroさんのコメ読んでたら、私までにゃんにゃんな直樹に萌えてきました~(いまさら)。またいろいろ提供(?)してくださいね☆


まあちさま

こんにちは。あ~~、びっくりしました!!直樹が「私と一緒で本能の人」って!思わず、まあちさんも車中でいつもこんなことしてるのかと!!Σ(゚∀゚*) 爆弾宣言!?・・・いや、誤読でした・・・一般論でしたね・・・失礼しましたm(_ _)mでも、直樹も本当にパパがいるけど、ついつい本能に負けていちゃって、ついやっちゃったんでしょうね(^m^ )天才も普通の20歳の男子にもどるとき♪パパが優しく黙ってくれるから作れた時間かもしれませんね。楽しんでいただいて、私もうれしいです。コメの〆具合も、すばらしくて感動しました(笑)。


RuRuさま

こんにちは。本当に超レアかもしれません、入江パパ視点は(^^)入江パパの優しさを読み取っていただき、うれしかったです。そして、直樹が葛藤していた頃は、やはり家族全員がとてもつらかったと私も思います。そして琴子は「入江家の天使」~~~♪もう、めちゃくちゃ賛同します~~~(*^_^*)天才直樹の一部欠けたところを、しっかりとうめてくれにやってきたのが、この天使ちゃんだと私も思います。そんな天使ちゃんに後部座席で情熱的に・・・(笑)。よかったのでしょうか?いや、それでも「ほのぼの」と言ってくださり、私もとてもうれしかったです。ありがとうございました(*^_^*)


繭さま

こんにちは。確かに個性の強い入江家で、もしかしたら一番オーラが弱いかもしれない入江パパ(笑)。でも、静かにいつも見守ってくれてる感は、原作でも読み取れますよね(^^)今回のコメでさりげなくガン見してしまったのが、後部座席での描写を繭さんがしっかり書いてくださってて(笑)。そうか~繭さん的にはこんな風に二人がいちゃつきだしたと妄想されてるんだな~と、かなり萌えさせていただきました(^m^ )二人の囁く声と雨音をBGMに車中は優しい時間が流れている様子も感じとっていただき、とてもうれしかったです。ありがとうございます。

by chan-BB
2010/06/04(金) 13:35 [Edit

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Author:千夜夢

こんにちは。
素敵なイタキスの二次創作をたくさん読ませていただき、ついつい自身も二次創作なるものを書いてしまいました。
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原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
私の勝手な妄想話であるため、原作のイメージを大切にされる方、二次創作が苦手な方、二次創作が理解できない方は、ご遠慮ください。
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まだまだ拙い文章しか書けませんが、以上の注意をご理解いただき、読んでもいいかな~と思われた方のみ、ご閲覧下さい。
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